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タマシイ☆エボリューション

はるか遠い昔。

日本がなんとかまだ景気が良かった時代。

僕は自分の不注意で大きな事故をしてしまい

半年近く入院しました。

その後なんとか退院したものの、なかなか満足には歩けず

通院リハビリの生活を送っていました。


そんな悶々とした時間を送っている間

杖をつきながら足を引きずる僕の姿が憐れに映ったのか

「コイツならイケる!!」

などと思ったのかどうか知らないけれど

多種多様、入れ替わり立ち代わり、あらゆる宗教の勧誘を受けました。

病院に行くためにタクシーに乗れば、運転手さんがすかさず

「コレ、ぜひ読んでみて」

と、教祖様の書いた本を気前良く3冊くれたり。

バス停でバスを待てば、素朴な女の子が

「今ちょっと時間ありますか?」

∑(゚Д゚)逆ナンか!?

ドギマギする私の期待をバッサリ裏切る「奉仕」についてのお話。

部屋でゴロゴロしていれば、小さな子供を連れた若いお母さんが

「理想の世界と終末」について熱心に僕に語りに来た。

語りかけられてる間、僕はずっと子供の顔を見ていたのを覚えてる。

元クラスメートの女の子から電話がかかってきて

「ちょっと会えないかな?」

なんて言われて、ホイホイ出かけて行ったら

「北島くん、今なんか信仰ってある?私のトコロのはさ、かけもちでも大丈夫なやつだからさ、ちょっとやってみてよ。今度、体験会があるから、ぜひ来てみてよ」

「かけもち?そんなのでいいの?」

「いいのよ!!」

「うーん・・・ちょっと考えてみるよ」

「気軽でいいから」

そんなこんなで、身体も回復し

事故の保険金なんかが結構あったので

しばらくのんびりしようと思い

単身イギリスへしばらく行ってみた。

そこで出会って仲良くなった女の子が

「行きたいトコロがあるの」

なんて言うので、ホイホイ付いて行ったら

日本のローカル宗教の日本支部だった。

ガ━━(;゚Д゚)━━ン!!

やれやれ、こんなトコロまで来ても

またコレか…

その後もいろんな宗教に誘われたけれども

僕は特定の宗教に入信せずに

無宗教のままでいる。

神様も仏様も特に信じていない。

だけども信じていることがひとつある。

人間の中には、あるいはすべての動物の中には

タマシイというものがあるということ。

そして、タマシイは大きくなったり小さくなったり

輝いたり黒ずんだり

暖かくなったり冷たくなったり

自分の行動や思考で変わるのだと信じている。

もちろん自分の思考は他人の影響も大きく受ける。

タマシイを昇華させる方法は人それぞれで

他人に優しくしたり

健康な生活を送ったり

身体を動かしたり

目標に向かって邁進したり

ただ眠ったり

何かに祈ったり

特定の神様のルールに従ったり

自分にあったやり方をすればいい。

自分にあったやり方を見つけられた人は幸せだと思う。

本当にそう思う。

僕はどうだろう。

実際よくわからない。

自分のタマシイを想像すると

とてもザラザラとした丸い灰色のカタマリが頭に浮かぶ。

もっとつるんとしたものにならないかな…

ぷにんと弾力があって、みずみずしいハリがあって…

なんてことを昨日

どうどうと風が吹いて、バタバタと大きな音を立てて揺れるテントの中でずっと考えた。

(特定の宗教を否定する気持ちはありません)

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