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going(誤飲)my way

インドでの出張もあとわずかとなった頃

日本から、仕上がった機械の調整にTさんという70歳になる技術者がやって来ました。

Tさんは若い頃からこの機械に携わっていて

長年の経験で、音を聴いただけで調子の良し悪しや

どこに問題があるかわかってしまう達人です。

朝一番に挨拶した時、Tさんの声がかすれていました。

「どうしたんですか?風邪ですか?」

「やっぱりインドは埃っぽいね、喉がちょっと荒れたみたいだよ」

「そうですか、そうだ、良かったらコレ使って下さい」

と日本から持ってきていた

プレコール のどスプレーを渡しました。

「コレいいですよ、のどの奥に直接シュッシュってやって下さい」

「ありがとうね、じゃ遠慮なく」

「差し上げますんで、持って帰って下さい」

ソレを何回か使ってからTさんは現場へと向かいました。

その後私は、仕事の報告書を作成する為に事務所にこもっていたのですが

そこへ以前から一緒に仕事しているMさんがやって来ました。

「お!もうすぐ帰る人間はいいねぇ、余裕だねぇ」

「ははは・・・もう、あんまやること無いんですよ」

「そっか、良かった良かった」

Mさんゴソゴソと自分の荷物をさぐってナニカを探したりしてます。

ゴソゴソ・・・

「あああ!!」

Σ(゚Д゚;ビクゥ!!

「びっくりしたぁ!!どうしたんですか?」

「北島君!!アリが大量にわいてる!!」

見に行くとダンボール箱のまわりに大量の赤いアリが。

そしてよくよく廻りを見るとアチラコチラいろんなところにアリがいます。

「うっわぁ、まいったねぇ」

「まいりましたね、そうだ、コレ使ってみましょうか」

自分のカバンから

おすだけベープという蚊よけに持ってきたスプレーを出し

部屋中にシュッシュとふりました。

「なんかコレ強力みたいなんで、しばらく部屋から出てましょうか」

Mさんと一緒に部屋を出て

休憩所でチャイなんかを飲んで、30分ほど時間を潰してから

部屋に戻ってみました。

「スゴイよ北島君!!まったくアリがおらんようになったよ!!」

「思った以上の威力ですね」

「スゴイねぇソレ、オレも買おうかな」

「ココに置いておくんで、好きに使って下さい」

そう言って、机の上に置いておきました。

次の日・・・

朝一番に部屋に入って、部屋中を見て回るMさん

「北島君!!効くねぇ、今日もまったくいないよ」

「効きましたね、念のために現場出る前にもっかいふっときますかね」

と、スプレーを置いた場所をチラリ

・・・あれ?ないよ・・・

Σ(゚Д゚;ハッ!!

まさか・・

Tさんのほうを見ます。

その手にしっかりとおすだけベープが!!

ギャアァァァァ━━━(|||゚Д゚)━━━!!!!!!

「北島君!!コレすごく効いたよ。もうぜんぜん喉が痛くないよ

 ありがとうね。もっかいやっとくね」

アカーン!!

死んでまーう!!

ダッシュでTさんの手からおすだけベープをもぎ取り事無きを得ました。

みんながいないトコロで使う可能性もあったかと思うとゾッとします。

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