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破天荒画家カラヴァッジョ

明暗対比と同時に人殺しの画家として有名なカラヴァッジョ

本名はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョでレオナルド・ダヴィンチと同様にカラヴァッジョ村のミケランジェロということで、敢えてミケランジェロと同じ名前にはしたくなかったのかもしれない。

ユーロ以前のイタリアのお札10万リラにも描かれる程で、子供の頃から絵が上手く特に植物・果物・少年は秀逸であった。 
現代においても専門家によれば果物を見るだけでどんな種類のもので、どんな病気に罹っていたのかがわかるとのこと。
 
私が最初に惹かれた彼の作品はアイコンにもしている「音楽家たち」である。
圧倒的な画力、妖艶な少年たち、半開きになった口、何とも言えない絵の魅力に引き込まれた。
 
これまで絵画には一切興味がなく、美術館に行くこともほぼ皆無。
記憶に残っているのはイタリアへの海外旅行でウフィッツィ美術館にいったときくらい。
有名な作品である、ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」があるわけだが、ただ有名な作品を“見た”で終わってしまった。
 
今思えば、その絵画の背景にあるものは、ルネサンス初期の歴史的背景であったり、キリスト教とギリシャ神話の融合であったり、ボッティチェリ自身もその後は古典的な宗教画家へ回帰していくわけだが、ソクラテスの言葉にもあるように「無知は最大の罪である」とは正にこのことであると実感したわけである。
 
話をカラヴァッジョに戻すと、この音楽家たち以外にも数多くの作品を残し、ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会に飾られる「聖マタイの召命」や「ゴリアテの首を持つダヴィデ」などがあるが、それと同時に傷害罪や殺人罪で逃亡生活となり、最後はイタリアのポルト・エルコレという村で38歳という若さでなくなるわけである。
 
因みにこの「聖マタイの召命」はフランチェージ教会とあるようにイタリア語でフランスを意味し、フランス人枢機卿のマッテオ・コンタレッリのために描いたものであるが、マタイ3部作のうちの一つの「聖マタイの霊感」については、元々描かれていたのはマリア様が余りにも色っぽ過ぎたり、枢機卿が短パンであったりと何度も書き直されているようである。
 
その他にも娼婦であったフィリーデ・メランドローニが描いたりもしており、当時としてはかなり斜め上を行く存在であったに違いなく、「宗教×リアル×色っぽさ」を圧倒的な画力で表現していたようだ。
 
死因は逃亡途中に負った怪我による敗血症といわれているが、現代のDNA鑑定等によれば鉛中毒で当時の筆記具の影響があり、もしかすると破天荒な性格の原因であったのかもしれない。
 
38歳という若さであったが、その後、カラヴァジェスティ(カラヴァジェスキ)と呼ばれる熱狂的なファンを生み、「ダイヤのエースを持ついかさま師」で有名なジョルジュ・ド・ラトゥール他、数多くの画家に影響を与えている。
 
まだまだ絵画ド素人ではあるが、40代になった今、また新しい楽しみを見つけられることは幸せだなとつくづく思う。
 
芸術の秋、学ぶことの面白さを更に深掘りしていきたい。


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