【赤シャツ】感想~あたしでもよくない?~
ジャニーズWEST桐山くんの主演舞台赤シャツを、弟役をつとめるSexy Zoneの松島聡くん目当てでみてきました。感想をかきます
①全体の感想
『やっぱ坊っちゃんはろくでもないやつだよな』
というのが2秒の感想である。
はっきりと申し上げて、わたしは昔から坊っちゃんのことが気にくわなかった。
『親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしている』
という書き出しの通り、
坊っちゃんは自分の愚かな性格を親のせいにするとんでもない野郎なのである。
今回の『赤シャツ』は、
『坊っちゃんという暴力野郎』の一人称小説を裏からみてみる
というやつで、簡潔にいうと、
『めちゃくちゃ思い込みが激しい男2人組が(坊っちゃんと山嵐)が勘違いから同僚2人をぶん殴り、
刑法第270条に触れて2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられるところ、たまたま相手の温情によってなんとかなった』
という物語である。
ようは、夏目漱石の坊っちゃんの適役である『赤シャツ』が、本当は『いいやつ』であり、そしていいやつであるばかりに他人に対して強く反論できず追い込まれ、ついには坊っちゃんたちに殴られてしまうものの、なんだかんだ幸せになる(ほんとに?)という話だ。
赤シャツを救いたい
みていない人で見る予定もないひとのために、一応むちゃくちゃ簡単にあらすじをいっておく。
赤シャツの同僚、うらなりくんが詐欺にあって金を失ったことで、うらなりくんはある日婚約者のマドンナとの婚約を解消する。
うらなりくんとの縁談が破談になったマドンナは、そもそも冴えないうらなりのことを全く気に入っておらず、すぐさま優秀で昇進まちがいなしの赤シャツに乗り換えようとして、町中に赤シャツと自分のあれやこれやないことを吹聴しまくる。
こいつはマジでない。
現代のサークルクラッシャーである
そしてそんなマドンナの暴走の結果、その気はないのに方々で勘違いされまくった赤シャツは追い詰められていく(追い詰められ方がほんとにくるしいし、桐山くんの演技がすごくて気持ちがもってかれてしまう)
そんなこんな不幸な赤シャツは、最後に坊っちゃんと山嵐にぶん殴られボロボロになってしまうも、自暴自棄になって恋い焦がれていた女性に思いを打ち明けることができ、思いを受け入れてもらって表面上はめでたしめでたし、という話である。
ーーしかし、赤シャツは全然幸せそうじゃない。
最後はもう満身創痍で泣いちゃうし『自分のような人間より、坊っちゃんや山嵐のようにまっすぐ信念のある人間のほうがよい』と羨んで己の性格を嘆くのである。
かれは人としてポッキリおれている。
泣ける。
赤シャツ、かわいそう。坊っちゃんたちのほうが必要とされてるなんて………
いや、まじそんなことないから。
マッチングアプリの相手と初デートすることになって、坊っちゃんとか山嵐みたいに変人で話もつまらないし人の話をきかないガサツな人間がきたら20分で帰る。
しかし赤シャツみたいにユーモラスでやさしくてイケメンがきたら私は
『今度うちで鬼滅の刃無限列車編みませんか?漫画も全巻あります』
とカフェ帰りの池袋ウエストゲートパークで粘りまくるわけである。
家に連れ込みたいわけである。
もちろん体格こそ勝てないためむりやり引きずることはできないが、あの優しい赤シャツの性格なら
おそらく粘ればいけると思われるのである。(マドンナの思考)
一度うちにきてくれさえすれば、我が家にはらんま1/2もあるしのだめカンタービレもある。なんならワンピースやこち亀を揃えておくことも可能だ。
それだけあれば、なしくずし的に一緒に住むことができるはずである。
それにしてもマドンナ、うらなりくんを『冴えない男』みたいにいっていたけど、多分素顔がイケメンなの知らないんだろうな…
ばかめ…ちゃんと役者のTwitterまでチェックしないから…
でも赤シャツも正直悪いところはある。
もっとはっきり物事はつたえたほうがいいし、なにもいわずにいきなりふてくされるのはやってはいけないことだ。
もっと土曜日午後のチルタイムみたいなのをBRUTUSとか読んで学ぶといいとおもう。
なんなら週末キャンプとか付き合うし…
かわいい赤シャツの弟
Sexy Zoneの松島聡くんが、今回の舞台では赤シャツの弟(武右衛門)を演じている。
正直かわいすぎて舞台を駆け上がってお駄賃をあげたくなったが、かれは最後に莫大な父の遺産を半分もらうことになったので、正直わたしの好意などはした金にすぎなかった。
聡ちゃんのえんぎはとても一生懸命でよかった。ダンスと同じく動きがおおきくて、目もくりくりなので舞台向きだとおもったし、これからの演技の仕事に大注目である。
ただ、武右衛門にはいいたいことがしこたまある。
武右衛門は妾の子で、帝国大学出の頭のいい兄を慕っていたが、赤シャツが兵役のがれをしていたのを友人にからかわれ、兄を嫌うようになってしまう。
めちゃくちゃわかる。しかしその反動で彼は軍人になるといって、最後は赤シャツから父の遺産を半分もらい、家をでていくことになる。
いや武右衛門、もっと赤シャツの話をきけし
気持ちはめちゃくちゃわかるのだが、まじで人の話をきかないうえに、とんでもないいたずらで坊っちゃんと山嵐をキレさせた張本人なのである。
もっと話をせぇ、武右衛門
しかも、赤シャツに『父上の遺産を半分ずつ分けよう、お前もそれで金をもらって軍人になれ』みたいなことをいわれて『プンッ』とでていくのだが、
しっかり進学に当たっては赤シャツのコネをつかい、しかもこの時代に非嫡出子なのに半分お金をくれる赤シャツに『プンッ』はないのではないか?
というかんじだ。
ご飯をたべるシーンで『このたくあんおいしい』と下女に伝えるシーンはかわいさで胸が震えたが、それでも赤シャツとはもっとコミュニケーションをとるべきだとおもう。そこは私も、厳しくいく。
しかしこの赤シャツという舞台、全体的にとてもよくできたお芝居だったし、正直この数年でみたお芝居でいちばんいい脚本だった。
みなさん演技もうまくて、最高のカンパニーに迎えられた松島聡くんの初舞台だったとおもい、胸がいっぱいになった。
けれど、さすがにちょっと赤シャツと武右衛門は仲良くするべきだ
一度デニーズのランチを食べながら三人で話をしたい。
そのときは私、話きくし。
赤シャツの恋愛
赤シャツは最後に思いを寄せていた芸者の子鈴とむすばれる。泣いてしまった赤シャツを、小鈴はやさしく抱き締めるのだ。
しかし、ここで気になることがある。
その位置、私でもよくないかということである
子鈴は作中、山嵐に恋をして赤シャツの前から去るにもかかわらず、最後はのうのうと戻ってきてちゃっかり嫁になる。
お前、山嵐はどうした?なんかおもった感じじゃないからやめたんか??
それで、ちゃっかり帝国大学出の学士の嫁になるの?
それ、私でもよくない?
だって正直はじまったときから私は赤シャツのことかっこいいなとおもってたし、小鈴が山嵐に惚れてる間も、私はやっぱり付き合うなら赤シャツだとおもってた。
私のほうが彼への思いは強いとおもうし、あまりにも赤シャツが健気なので、後客はみんな
『どけ、あたしが代わる』
といいたくなるくらい赤シャツが好きになっちゃったわけなのである。
もうこれは、池袋ウエストゲートパークで子鈴とタイマンはるしかないわけである。
そのときのわたしは往年のカラーギャングよろしく緑のスカーフを巻こうとおもう(松島聡くんのメンカラなので)
おしまい
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