見出し画像

TRUTH ROTS -『さよならテレビ』鑑賞後に見感じる“今”-


「ドキュメンタリーは現実か?」

ある映画の終盤 撮影対象者の一人-記者が

カメラと傍らの監督に向けそう問い掛ける

ここから“ドキュメント”は“反転”し

つくられた“話”だと提示されてゆく

自らの腹を掻っ捌き

腐った内臓を掴み出し

目の前に突き付けるように



カメラが捉えたものは全て本当なのだろうか?



1月初旬 月曜の昼中

東京 人が集まる駅近く

首を括った男性は

現実に存在し

ネットニュースでも伝えられたが

陸橋にぶら下がり揺れるその姿に

スマートフォンのレンズを向けた人々は

“何”を撮影したのか

-SNSで反響を呼ぶ光景を切り取った

    貴重な瞬間をスマホに保存した

    報道番組に売れそうなネタをゲットした

小さな機械の中に

一人の人の死は残されない

彼がどんな人生を経て

この道を選んだのかは

後に新たなネットニュースの一つとして

一部が流れてきても

画像を発信した人も

リツイートボタンを押した人も

アップやリツイートを批判した人も

気付かない

その日の出来事は忘れ去られ

新たな情報を求め探す今日

この日が終われば 又忘れ求める その繰り返し


現実も真実も

SNSに夢中な彼等は興味が無い

どんな形でも誰かと繋がりたい

いいねが増え拡散される快感を味わいたい

苛立ちを誰かにぶつけ解放したい

別の人の呟きを利用しても気にしない

空っぽな身を満たせるなら



昭和時代 バブル期と呼ばれた頃

人を瞞し金を集めた空っぽな男が

ドアの向こうに人が集まる中 刺された

「何故刺すのを止められなかった」と

批判の電話が各報道に集まった という話は

令和時代 不安が世界を包む中

煽る報道や伝えるべき事を伝えないと

匿名で「マスゴミ」呼びして叩く今と

あまり変わらない






血塗れの男の姿を撮影し

写真を週刊誌に送ったカメラマンと

首吊りの現場を撮影し

SNSに載せた通りすがりの誰かは

同じように みえる





なんだ

特ダネも

承認欲求も

空っぽの振りをする実の 本当は腐った中身


君たちも ゴミじゃないのか?




今 撮ろうとしているものに 真(まこと)は残せるかい?





新作にしてライブ・バンド方面は全く関係無い詩が浮かんだきっかけは、サブタイトルに付けた当時公開したばかりの映画、更に数日後にTwitterのトレンドで知った事件。その頃にラフを書きここへの公開を考えて詰めていましたが、禍に流され又前向きになりたい時に上げてもと寝かせていました。6月に見たテレビ番組『アナザーヒストリー』であっと感じ再び取り組みました。報道丸ごとひっくるめてマス“ゴミ”という叩き言葉は嫌いな表現ですが、全てのマスコミがいいとは思ってません。この半年は特にワイドショーはシャットアウト、これからもだけど。週刊誌も嫌いですが、たまに気になる突っ込んだ取材もあるから無視出来ませんわ。アナザーヒストリーを見ていて、発言ツールがだんだん身近になるにつれマスコミにとやかく言う側も同じ行動を手軽に出来ちゃう現代だよなぁ、と1月の事件のTLを思い返しつつ皮肉を炸裂させながら書いた今回です。アナザーヒストリーの実況TLでもお約束みたく「マスコミ擁護番組」と合わせゴミ発言が確かありましたっけ。もっとも、問いは私自身も考えてます。気がつけばあまりスマホの画像は増えず、この半年はメモ帳に見て感じ思ったことをひたすら書く日々でした。トップはそんな頃に撮ったひとつ輝いていた星-金星だったかな? メインタイトルは詩を詰めてゆく中である言葉を英訳してみたらしっくりした次第。
冒頭はその『さよならテレビ』を観ての感想でもあり、映画の最大のキモなんでこの連は終わりに向けてのネタばらしでもあったりしますが、人によっては「茶番劇化した」「白けた」的な感想も多く見ましたから、まあ私はこう感じ心にざっくりと刺さりました。映画自体は名古屋のテレビ局の報道部のありのままの一年数ヶ月を切り取ったドキュメンタリーで派手な内容ではありませんが個人的にお勧めです。️今も一部地域で上映してますし、7月アタマの現時点時期は未定ですが東京中野のミニシアター・ポレポレ東中野が再上映するそうです。今後ソフト化レンタル化配信はありませんよー、そう制作側が言い切ってます。しっかし“密造酒”と比喩されたテレビ版は、どれだけ業界で出回ったんやろなぁ。かくいう私は地元ですからテレビ版も見てます。件の言葉を突きつけた記者氏も、セントレア実質閉鎖前のニュースでレポートしている姿を夕方のニュース番組で見ました。これはゼヒネタではなく、その時の今を伝える報道でした。