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FUSIONミーハーが『TRUTH』や『ASAYAKE』だけじゃないよとみんなに熱っくるしく推したい私的大切なJ-FUSION3曲について

昔、30年位前に音楽方面とは別の仲間が作っていた交流誌に寄稿する際、毎回自己紹介で“FUSIONミーハー”と書いた。今ちゃんと調べたら“ミーハー”は、にわか或いはライトファンという意味合いらしい。確かに楽器とか音楽用語は詳しくないけどそのジャンルの音楽が大好き、という個人的な解釈で今回は使う。この思いは高校生時代に芽生え紆余曲折しながらも今日まであり続けている。

さて今回noteの投稿お題で「スキな3曲を熱く語る」と振られ真っ先に浮かんだのは日本のFUSION系を代表する2つのバンドの、此れから語る1曲目と3曲目、で、もう勢いのままに2曲目も片方さんから。わざと今回長ーくしたタイトルに冠したFUSIONを知らない人たちも方々で耳にしている代表的な2曲も好きで、演奏が始まったら嬉々とノりどちらも右腕を振り上げ毎回盛り上がる。ただ今回は此れ等よりも強く思い入れのある3つの曲について、ハマった順につらつらと語ろう、そう熱っくるしく。


1.始まりは『OMENS  OF LOVE』

小中学生時代は姉の影響で富田勲氏や喜多郎氏やYMOと歌の無いシンセサイザーがメインの音楽をよく聴き、音楽番組は余り見ない『ザ・ベストテン』は矢野顕子さんの『春咲小紅』登場だけ、と偏った耳に育っていった。

中学生からこそこそそうしていたが、高校に入学してからはラジオ番組を幾つも熱心に聴いた。特に地元名古屋の放送局・CBCラジオの『小堀勝啓のわ!WIDE』という夜のワイド番組は様々な音楽を知る場のひとつだった。聴きだした1985年の春から始まったトレンド等を取り上げる情報コーナーかな?『Cokeワンダーレイディオ』のオープニングで流れた、シンセサイザーの音っぽいけどなんかなめらかで機械の感じがしない始まりから駆け出したくなるアップテンポな明るい曲調は、今まで聴いたことの無い音に満ち強く惹かれた。タイトルとアーティスト名はすぐにコーナー内で小堀氏が教えてくれた、『OMENS  OF LOVE』でTHE SQUARE、と。

当時は自転車通学で帰りはあちこち道草を食った。タイトルが判るや食う場所にレンタルレコードショップが早速加わり、アルバム『R・E・S・O・R・T』を借りた。この時FUSIONという、楽器演奏をメインにした音楽ジャンルを知りレコードでフルバージョンを聴いて好きになり、ライナーノートを見てあのアタマの音がリリコンという楽器で吹き鳴らしていたと分かった。

(試聴音源は各作曲者自身が選んだ最新のベストアルバムより。3枚目に収録)

ただこの頃は違うものに夢中で楽器を興味を持ち演奏したい方向には進まず、今日まで聴き専。少ない小遣いでレンタルしたアルバムやFM番組でのライブ音源をカセットテープに落とし-録音し聴く止まり。ライブを観たい気持ちはまだ沸かず、バンドメンバーにも深く関心が向かなかった。録音したライブ音源内で、そういう出だしの音だったからって新曲の仮タイトルに「上海混ぜご飯」と付け笑わせるMCをした人が『OMENS~』を作った和泉さんだと一致したのは結構経ってから、だったり。お恥ずかしくも今となっては悔やむばかりの小さな、ずっと記憶に残る昔話。


2.『HALLE』に出会う

耳の偏りが無くなり敏感に好きな音を探すようになった85年の秋、CBCテレビで市民マラソンの参加募集のCMのBGMに思いっきり反応した。アタマのギターの音に心が高揚し強く耳に残った。CMは何度か見たが曲名アーティスト名の表記無し、なのは今思うと所謂非公式だったからか。記憶した音を頼りにレンタルレコードショップで探し、CASIOPEAのアルバム『HALLE』に辿り着くまでに少々かかったけれど、1曲目に入っていたアルバムタイトル曲をフルで聴いた時の突き抜ける明るさがたまらなく気持ち良かった。斯くしてTHE SQUAREと共にCASIOPEAもレコードやラジオで追うように。


高校を卒業し社会人になり歌モノを色々広く聴き道がずれかけた89年夏、名古屋でCASIOPEAとこの頃名を変えたT-SQUAREが共演するライブ『Cheek SUPER FUSION』の告知を新聞で見て気持ちが戻った。まごまごしてたら発売一週間でチケット完売にびっくり&がっくり。8月末にCBCテレビで、このライブを収録編集した番組を見た。

ライブはCASIOPEAの『HALLE』から始まり初めて耳にした時以上に心を捉えた。軽やかに楽しげに奏でられる4人の音、野呂さんと桜井さんがクルッと1回転したのには驚いたけどコレがライブなんだと思った。番組はCASIOPEA、T-SQUARE、2バンドのギターともう一人是方さんが加わったトリオギターユニットOTTOTTRIO、ラストに全員で合同演奏と終始わくわくする音に満ちライブの楽しさが十二分に分かり、次こそは躊躇わずにチケットを取ろうと決めた、その数ヶ月後にCASIOPEAが大きな変化を迎えるとは微塵も知らないまま。


3.『TOKIMEKI』でオチる

変化-桜井さんと神保さんのバンド脱退は、この頃向谷さんがDJをしていたFM番組の新年1回目に野呂さんがゲストで出演した時に知り、以降暫く腑抜けに。夏のライブの告知が新聞に載り前年の決意を思い出した。更に向谷さんの番組に新メンバーの鳴瀬さんと日山さんを交え、新CASIOPEAのライブとトークを聴き、特に以前とは違う骨太でロックっぽさが強い音と鳴瀬さんの楽しい喋りにライブへの期待は高まった。

90年7月19日今は無き愛知勤労会館でのBRAND-NEWツアー初日、CASIOPEA初観覧は生音に面喰いひたすらに圧倒されながらも心も体も踊った。終盤で新作アルバム『THE PARTY』からの一曲『TOKIMEKI』が演奏された時の、4人の表情が嬉しいそのもので。音に気持ちがまんま出ていて会場全体に喜びが広がり満ちて、で、惚れた。今風に云うなら沼オチ。因みにアルバムと同日に出た『THE PARTY VISUALSTACK』(当時はLD、後にDVD化)の『TOKIMEKI』は何回見てもまいる、カメラ目線でにっこりする鳴瀬さんに。もう一カ所、エンディングの誰かさんと誰かさんのカットにもまいったり。

(試聴音源は後で語るライブを収録したCDより)

この時CASIOPEAを中心にしたFUSIONミーハー人生が確立&加速、追っかけをし出した。T-SQUAREで長野飯綱のジャズフェスやら東京の日比谷野外音楽堂へ。桜井さんと神保さんが新たに組んだJIMSAKUを観にこの前年に名古屋に出来たボトムラインでライブハウスデビュー。CASIOPEAもクリスマスにヒルトンホテル名古屋でのディナーショーに思い切って行き、“お茶の間”乱入もここで初めて観たりと、ホールと同じように盛り上がったっけ。

2バンドがメンバーチェンジをしてゆきながらも続くのを何年も追い続けた。振り返るとこの頃『OMENS OF LOVE』をライブで聴けたかは記憶があやふや、和泉さんは98年春でバンドを去りソロ活動へ。『HALLE』はメンバーチェンジ以降一旦取り上げなくなっていたが、96年に櫻井さんのバースデーライブで野呂さん向谷さんとT-SQUAREの則竹さんによる演奏で聴けたのは嬉しかったなぁ。


4.諸々経て再び『OMENS OF LOVE』

1999年から2006年にかけ、訳あってライブへ行かずアルバムも聴かずミーハーを封印していたら、CASIOPEAは活動休止、T-SQUAREは新たな若手を迎えていた。2003年の『CASIOPEA VS THE SQUARE』はライブ開催のCMを偶然見て知ったもののコレも諸般あり断念。『帰還完了報告』と『VS』のDVDを繰り返し見て気持ちを再び取り戻し、すっかり鉛状態の腰を上げ再びライブに行きだした2008年、T-SQUAREがデビュー30周年祝いで現旧入り乱れの大規模編成でのツアーをしていて地元の名古屋の公演に参加、作曲者も交えての『OMENS OF LOVE』の演奏は嬉しかった。動けるメンバーも観客もサビでジャンプし、和泉さんも弾きながら腰を浮かせていた光景は楽しくて、ただ久しぶりで体が追いつかず自分は跳び損ねた。

CASIOPEAは3rdとして2012年に活動し始めた時から何度も観に行った。2019年末に上京して観たメルパルクホールでのデビュー40周年記念ライブの終盤で『TOKIMEKI』が来て喜んでいたところに、ゲストのビッグホーンズビーの皆さんを呼び「敢えて曲名は言いません」と野呂さんが勿体ぶった振りで始まったのが『HALLE』。てっきり『ASAYAKE』と思ったから「え?ウソ!?」と声が上がるくらい驚いたがすぐ嬉々とノった。この2年前から3rdで『HALLE』を何度も演奏していたが、この『TOKIMEKI』と続けての曲順は追いかけてきた30年近くの中で一番好きで最高だった。

数ヶ月後に日本で世界でライブが止まる事態になるなんて、夢にも思わなかった頃の思い出。

上の人が突然口にし出した知らない4文字熟語が広まり、エンタテインメントに音楽に刃物のように突き立てられる中、配信のシステムが広まり画面からライブを楽しむ日々。対策を立て制限ありながらも観客を入れてのライブが少しずつ行われ、自分もひとつふたつと参加。そんな日々が続く今年2021年春、タイムラインに流れてきたツイートに凍り付いた。和泉さんの死を伝える-。

この少し前の2月にT-SQUAREのリーダーの安藤さんがバンドから離れると発表。THE SQUARE REUNION-『TRUTH』発表時のメンバーが集まった、和泉さんも加しているユニットのツアーはしかし名古屋は無し。そのREUNIONも出演する安藤さんの“送別”ライブの情報が出た矢先だった。

自分でも思ってもみなかったくらい深く落ち込み感情を吐き出したく、更に一部のネットニュースやら個人ツイートで作曲していないのに『TRUTH』をはじめに挙げているのがもやもやしてゴールデンウィーク明けすぐ、ラジオ番組に『OMENS OF LOVE』のリクエストを出した。NHKR1『らじるラボ』の『ラボリク』ドライブに合う曲特集宛てに1曲目の語りの内容と和泉さんの事をメールフォームの限界まで打ち込んだら、ノーカットで読んでくれ曲もかかったのはとても嬉しかった。吾妻アナウンサーありがとう。

ここで動画をちょいと挿入。ソロピアノバージョンの『OMENS OF LOVE』和泉さん生前最期の映像を、みてください。



T-SQUAREの安藤さん在籍最後のアルバムのツアーは、ギリギリで決め地元の名古屋を観た。この感想はnoteにアップしたが本編ラストで『OMENS~』が聴けたのは本当に嬉しくも号泣したくもなりながら手を打った。夏、WOWOWの生中継で安藤さんのFAREWELLライブのREUNIONでもこの曲含め和泉さんが作った曲が次々奏でられ胸がずっとぎゅっとした中、ツアーでは白井アキトさんがFAREWELLでは佐藤雄大さんが弾く姿に、こうしてバンドの中で曲が奏で継がれてゆくんだなとしみじみも。和泉さんも喜んでいるかな、それとも-。


CASIOPEA3rdは去年秋からライブ配信を何本か見て『HALLE』も『TOKIMEKI』も其れ等の中で聴いた。ライブは今年の4月辛抱しきれず対策をして急遽ビルボードライブ横浜に当日券で飛び込み、久しぶりの生音を体に浴びたレポートも同じくnoteに投稿済み。観たステージでこの二つは取り上げてなかったが違う時に演奏した模様。次こそはと思っていたら12月に東名阪ツアー決定と先日のブルーノート東京のライブ配信内で発表され歓喜。名古屋に二年振りに来ること、ここで二つ或いはどちらかでも持ってきたら自分はどうなるだろうかと、既に今ぶっちゃけ情緒がわちゃわちゃ。

T-SQUAREもalphaとして10月から新たな人と共に始動する。ここやバンドを卒業した人たちが此れからも安藤さんの曲や『OMENS~』他和泉さんの曲等を奏でるのをみたい。

不安がまだまだ世界中に漂い音楽・ライブやフェスに対して厳しい目が向かれている今こそ、この3曲それぞれに込められた真っ直ぐに突き抜け広がる明るさが“必要大切”だと思う。聴き専なりにこういう投稿に参加し誰かに楽器が歌うFUSIONというジャンルの楽しさが伝われば嬉しく、此れからも微力ではあるがこの音楽を盛り上げてゆきたい。…序でにCASIOPEA3rd VS. T-SQUARE alphaをいつかでもなる早でやってくれー!あ、本田雅人 with VOICE OF ELEMENTS Featuring 安藤正容もご一緒に、なんてぶっちゃけお願いを叫んどいて熱っくるしい話を終える。