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The place I dream of is unbreakable act.3 T-SQUARE@ZEPP NAGOYA



2月にずっとT-SQUAREの中心にいた安藤正容さんが今年のツアーの終わりを以てバンドを勇退、離れると発表して、ライブに行きたいと思い立った。しかし前年で諸々経験し状況を見ていたら又悪くなり踏み出せず。不安な春再びの中でバンド卒業メンバーの和泉宏隆さんの訃報は衝撃を受けた。ラジオ番組に氏が書いた曲でありTHE SQUAREを、フュージョン系音楽を知るきっかけになった『OMENS OF LOVE』を感情のままに書いた文を添えリクエストし採用されたがかかった嬉しさより不在の悲しさが沸いた。悔いるばかりは嫌、地元を盛り上げたい、何より見送りたい。意志を固めチケットを取り、6月20日名古屋へ向かい会場のZepp NAGOYAへ。思えば戻ってからはここでの2008年と2013年のスペシャルバンドしか行っていない、5人体制-本来のバンドは98年以来でごめんなさいと思いながら体温測り消毒をし入場。2階の奥から本当に久しぶりにスクェアを観るのだった。

Zepp系列はサイトではっきり明言していた通り、感染対策をした上で客席は本来の人数を入れる、席を空けてない状態だった。1800人程収容できるNAGOYAはこの日、満席に近かった。


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SEが流れる始まり方はわくわくする。拍手、手を打つ音が会場に響く中5人が現れ始まるは、新作の明るいタイトル曲『FLY!FLY!FLY!』。初っ端からフルスロットル感ある演奏は次の『閃光』で更に走る。後奏のギターソロ、安藤さんはステージ前面に出て弾き倒す。コレは挨拶で伊東さんが「ここはどこ? 私は誰?」になりかけたと漏らす程。

早速「安藤正容“様”」「生まれも育ちも名古屋は覚王山」と振る地元ネタは、東海地方の各ラジオ番組の電話インタビューでも出ていたり。ただその名古屋公演は二年振り、更に「ツアー二日目」と伊東さんも触れたが、本来はここの前に組まれていた札幌公演が中止となり初日の横浜から一ヶ月空いての、だったせいか音が熱く感じた。安藤さんも2曲目で前に出る人だったっけ、と。個人的想像の領域だが思いの丈がどっと出たのだろう、ツアーがライブが出来るという気持ちが。名古屋はブルーノートが閉じREUNIONでは来られなかったこともあるのかな、は想像を広げ過ぎか。

その安藤さんが書いた『ONLY ONE EARTH』から新作曲が続いたのだが、音数がアルバムより遥かに多い、ソロパートも熱い。特にキーボードの白井アキトさんはアップ系は煽り盛り上げスローはじっくり聴かせる。メンバー紹介時に「神サポート」とアマゾンのレビューで讃えられたくらい。そのレビューを書いた人が客席にいるかと挙手を求めたら居たのがにっこり。そして「神ドラマー」坂東さん「神ベース」田中さんとマイクが回り伊東さんに戻ってくると、次の曲の話しで「和泉が在籍していた頃の曲で」と名が出た瞬間、心がぶわっとした。

“THE”時代の名曲『脚線美の誘惑』、アタマのシンセサイザーの音が印象的な『NIGHT DREAMER』は白井さんが音をしっかり作ってありありがたや。更に『TOMORROW‘S AFFAIR』は後でドラマに使われた過去を伊東さんが「古手川祐子主演、安藤まさひろ曲」なんて話したり。2曲目3曲目は多分初めてライブで聴けてこっそり嬉しくも。そして最新作に戻り『回帰星』は、重ねてしまいしんみりと聴いた。この曲の作者の坂東さんのドラムソロが確かこの後に来て、初っ端から音数が多いと感じたがソロは更に炸裂しまー弾けていた。2000年代スクェアを支え、これからのユニットをこの若さが引っ張ってゆくのかと爆裂パワフルソロをしみじみ観た。そこから爽やかな『GLOWING UP』だったかな。あやふやで済みません。

終盤に入る際に伊東さん「僕がいなかった頃、ホンダなんちゃらが」と茶化しつつも名を出し演奏したのは『RISE』、この当時に年一は観に行っていたので懐かしく、この曲はバルセロナ五輪のキャンペーン曲だった、から持ってきたのかなと思いも。ただあの当時よりキーボードソロが長めで“今”を感じる。新作の優しくて切ない新作のラスト曲『JOY BLOSSOMS』の後、耳馴染みどころか染み込んだシンセサイザーのメロディが奏でられてきたのは『OMENS OF LOVE』、両脇に人がいなかったら号泣して座って大暴れしていた、でなくても泣けた、嬉しくて切なくて。楽しくて盛り上がる曲なんだけど胸が強く締め付けられて。田中さんがサビでベースを大きく挙げ伊東さんもEWIを振り上げ吹き、客席も両腕を高く上げ精一杯盛り上がっていた、本当ならみんな立って音に合わせ飛びたい心を乗せ。

アンコール、安藤さんだけがステージに現れギターをかき鳴らす。長いソロ、曲という形ではない、吼えるような熱を帯びた音を心のままに奏でた、そう感じた。やがてこれまた耳に染み付いているフレーズを鳴らし、いつの間に居た他の4人と共に演奏するのは『OMENS~』と同じアルバムに入っている『PRIME』、ギターマガジンのインタビューでも特に好きな曲と語っていたストレートなロックな曲。そしてここで『TRUTH』へ。1階の観客が振り上げる右腕が作る波を、2階から見下ろしていて綺麗だった。ステージでは田中さんが他のメンバーに近寄っては盛り上げと動きまくり、安藤さんも伊東さんも前方で動き背中合わせになって演奏しても。二人の背が離れる刹那、伊東さんが目頭を押さえた光景は心に焼き付いた。単に汗が眼に入ったとか振りかもしれない、けど。でも。そう片隅で思いながらライブは終わった。規制退場もすんなり進み外へ出ると日が沈みゆく頃、あっという間の2時間だった。


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ライブ自体はあくまで新作『FLY!FLY!FLY!』を全面に出した内容、安藤さん勇退を強くは出てはいない。選曲したのがいつ頃かで本編ラストの意味合いは変わってくる、けれどそもそも人気曲のひとつだし過去のアルバムで印象に残る作品のひとつとしてその『R・E・S・O・R・T』を取り上げていたから、かはさてはて。そのインタビューは⬇️のギターマガジンWebを読んでくれい。


『R・E・S・O・R・T』は自分も特に好きなアルバムだったから、こうして話しに出たり今回のライブでここから2曲も聴けたのは嬉しかった。このレポを書いている時は『FLY!~』を繰り返し聴きアルバムがどんどん好きになっていった。個人的には『閃光』がイチオシ。

ライブに行くと決めた辺りから過去のツアーパンフレットやここでちょいちょい名が出る雑誌『ADLIB』を引っ張り出し改めて読んで、結構前から離れることを口にしていたのを気付いたりもして、今回ライブに行って勇退を受け入れられるように気持ちの整理はついた。離れてから安藤さんがどう動くか、今後の伊東さんと坂東さんが中心となり動かす“T-SQUARE alpha”はどうなってゆくか、それぞれに見守ってゆきたいと思う。周年記念には帰って来てね、とも。



さてこのレポを打っている8月7日、東京で安藤さんの勇退を派手に祝うライブが行われる。残念ながら自分は現地に行けないが、心は其処に飛ばす。-どうか笑顔のままで楽しき時を。悔いなきように。