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「勉強しろ」とは言いません。中高生の内に秘めたやる気に真摯に向き合いたいからです。【北欧教育とパラリアの比較ー⑥】

前回に引き続き、北欧の教育システムとパラリアを比較してみます。前回の記事はこちらです。

このブログでは、「堅苦しい話をできるだけ無くし、可能な限りラフに行こう」ということで、敢えてアカデミックな要素は気にせずに書いていこうと思います。

また、どちらが良い・悪いを言うつもりもありません。比較することによって、「パラリアとはどんな学び場か」という問いに対して、また別の捉え方ができるようになることが目的です。

ひとまず「北欧 教育」と検索し、一番最初に出てきたこちらの記事をもとに、北欧の教育とパラリアを比較していきたいと思います。

(※本当はこの記事自体にも多くのツッコミどころがあります。出典がほとんど書いていないため、情報の信頼性は未知数です。しかし、そのあたりには一度目を瞑って進めます。)

こちらには、フィンランドの特徴が11にまとめられています。(2019年3月19日)

特徴1:全員への給食の提供
特徴2:教育費はタダ
特徴3:フィンランドの学校は公平
特徴4:教師という職業が尊敬されている
特徴5:指導法に厳しい基準が無い
特徴6:最適なタイミングを強調
特徴7:教育学の研究が重要視されている
特徴8:やる気を重要視
特徴9:学校内の特別教育
特徴10:遊んで学ぶ
特徴11:宿題は少なくて授業日数は短め(本文ママ)


これらについて、一つずつ比較していきます。


アクティブラーニングは、言うほど簡単ではない

特徴10:遊んで学ぶ

記事によると、実践での学びに重点を置き、学びの喜びを感じてもらうことによって、受動的学習者から能動的学習者に変化していくそうです。


最近は日本でもアクティブラーニングが叫ばれ、多くの教育者がアクティブラーニングにチャレンジしているようです。


しかし実際には、遊んで学ぶことをデザインするのはとても難しいです。

アクティブラーニングの解釈は人によってさまざまあり、学習デザイナーの力量に大きく左右されているのが現状です。


そういった浅い学習設計は、参加者である中高生に一瞬で見抜かれてしまいます。直接聞いたことのある感想では「答えはないと言っておきながら、先生が最後に答えらしきものをずっと話していた。しかもそれに自分や友達は納得できなかったから、ただただイライラした」等もあります。

これは中高生に限ったことではなく、教育現場全体に存在する可能性があります。私自身も、超有名企業のセミナーで、全く同じような浅い設計のグループディスカッションらしきものをやらされたことがあります。


アクティブラーニングがただの遊びになってしまったり、参加者がただイライラするだけのものになるというリスクを知っている人は、そう簡単に「アクティブラーニング」という言葉は使わないのではないか、というのが私の個人的な考えです。



一方パラリアでは、勉強も遊びも取り立てて推奨していません。フィンランドのような、学びになる遊びを提供しているわけではありません。他の塾と異なる点は、遊びそのものを否定していないことです。


実際のところ、ゲームや遊びが学習に全く良い影響を与えないとは言い切れません。

RPGゲームの技名はほとんどが英語なので、ゲーム中にカタカナで読んでいた単語が英文で出てきて初めて意味に気が付くことも頻繁に起こります。

私も、戦国時代を舞台にしたゲームをかなりやり込んでいたため、戦国大名と当時の地名の知識に関しては、学校のテストで困ったことがありませんでした。


ゲームや遊びそのものに意味を見出す必要すらなく、パラリアではリフレッシュ時間の管理も全て含めて学習を考えます。

ゲームを一切我慢して、否が応でも机に縛り付けて、集中していない状態をひたすら続けているよりは、メリハリをつけて勉強と休憩を繰り返す方が、学習効率とメンタルの両面において有効であることは明白です。

勉強時間が増えればいい、ゲームをしなければいい、等といった短絡的な話しでは絶対に片づけません。


まとめますと、フィンランドのように遊びを学びにするものは、パラリアににはまだありません。

しかし全く否定せず、学習の糧になっているかそうでないかをフラットに判断する姿勢を保ちます。


パラリアは明確にモチベーション重視の学び場

特徴11:宿題は少なくて授業日数は短め(本文ママ)

高校に通う現役生からすると、日々の勉強は①宿題と、②自分がやりたい勉強とのせめぎ合いです。

大抵の場合、①宿題が優先されます。「先生に言われたから」という思考停止な理由もあれば、「やらないと先生に怒られるから」、「提出しないと点数がこないから」、「授業中に当てられて、答えられなかったら恥ずかしいから」等の理由も良く聞きます。

この中に、自分の学習のことを考えた発言はありません。

次に多いのは「やった方が良いと思うから」です。「やった方がいい」については、以前考察しました。

そして受験学年になればなるほど、②自分がやりたい勉強が増えてきます。しかし、上記のような理由で①宿題を優先させる必要があり、②自分がやりたい勉強がどんどん後回しになります。これが現在の高校生によく見られる状態です。



パラリアはフィンランドと同様、やりたい勉強を優先しています。中高生の「これならやる気が出る」をとても重要視しています。


やる気が出ないものは進度も遅くなりがちです。

そんな逆風の中、自分以外の人から与えられた「これをやれば学力が上がるらしい」というものを信じて、嫌々勉強するのは、学習が嫌いになる可能性を高めるものだと考えています。


他力本願ではなく、学習方法・学習スケジュールの責任を自分で持ち、「これをやれば学力が上がるはずだ」と自ら考えて信じたカリキュラムを、自分自身でこなしていくことによって、カリキュラムに対してコミットメントする可能性も高まると考えています。





以上の考えから、パラリアが「勉強しろ」と言わない理由が少しでも表現できていたら嬉しいです。


●まとめ:パラリアが「勉強しろ」と言わない理由
学習内容だけでなく、遊びや休憩時間もすべて自分で管理する権限を与え、目標に向かって自力で努力することをサポートすることによって、自己効力感が高まりモチベーションが維持されると信じているため

次回、北欧の教育とパラリアの比較のまとめを行います。

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