「三方六（さんぽうろく）」というお菓子をご存じだろうか？

北海道土産で有名なお菓子メーカーの１つ「柳月（りゅうげつ）」が作っている、バウムクーヘンを小分けにしたお菓子、それが「三方六」。

このお菓子が美味いんだ。

ただ、この三方六はとにかく高い。

要するに、これ１つで６８０円（２００ｇ程度らしい）。

いくら手間暇かけたバウムクーヘンとはいえ、２００ｇ程度のこれが６８０円だぞ。なかなか手が出るものじゃない。俺も普段は滅多に食べないし、そもそも買わない。

が。

この三方六、実は北海道の帯広地方、音更にある工場併設の「スイートピア・ガーデン」でのみ売られている裏メニューがあるのだ。それが

三方六の「お買い得品」。いわゆる切れ端と呼ばれる、バウムクーヘンの端っこの部分の両サイド。

よくサンドイッチ屋さんでパンの耳が安く売られていたりするが、理屈はそれと一緒。大量に製造するバウムクーヘンの、製品化出来ない両端を切り落としたところ。それがお買い得品。

味によって多少値段が異なるが、俺が買いに行った数年前だと、

プレーン味で１ｋｇ　５００円
ショコラ味で１ｋｇ　６００円

だった。たまに、３５０ｇで３００円など、小分けにした売り方もしているようだが、要するに

バカみたいに安い

のだ。さすがお買い得品。正規の製品が２００ｇで６８０円なので、大体３１５０円分の分量が５００円で売られているということになる。

こんなん一度買っちまったら、普通の三方六なんて買えませんて。

初めて買ったのが６年くらい前だろうか。それからほぼ毎年、春だの秋だのに札幌からわざわざ帯広までこの三方六を買いに行っているのだ。高速料金を支払い（友人が）、長時間を運転し（友人が）、ガソリン代をかけて（友人が）。

これはかぼちゃ味。

季節によって味が変わるので、本当は月１回くらいのペースで買いに行きたいくらい。それくらい安いし美味い。

だけどね。

朝５時に札幌を出発して、制限速度を守りながら高速道路をかっ飛ばし、８時にスイートピア・ガーデンに到着し、そこから並んで整理券をもらい、９時にオープンして商品を買う。

ただしお一人様１つ限り。

これがね、納得出来んのですよ。

いや、もちろんね？並んで整理券をもらって買うわけだから、例えば「じゃあ僕は３０個ください」なんてのはダメだと思うのよ。それをOKにしちゃうと、極端な話先頭の人が全部買い占め、別の場所に移動して値段をつり上げて転売することだってできちゃうわけで。それは許せないじゃん？

だけどさぁ。

並んでいる人が買い終わってもまだ余っているなら、お一人様１つ、とは言うけど、２回目…並んでもいいと思わない？

で、こっそり２回目に並んでみたら、店員に見つかり

「お客様…お一人様おひとつとなっておりますので」

って言われるんだぜ。否、言われたんだ…。バレちゃったんだ…。

なんだよ！お前、なんで俺が２回目だって分かるんだよ！ほら、そこに並んでいるあいつ、ジャンパー取り替えてもっかい並んでるぜ！？

なんで俺だけ気付くんだよぉー…

デブでヒゲが生えていたらダメなのかよぉ。

かと思えば、だ。

近所に住んでいるんだろう帯広ナンバーの車の中に、じじ・ばば・父・母・子１・子２の大所帯がさ。父だけ並ばせておいて整理券を配るタイミングでぞろぞろ出て来て、もらったら全部父に渡してまた車に引っ込むんだぜ？なんなら子２なんてまだ赤子で、お前絶対三方六なんて食えないだろ！ってのも、頭数としてカウントされてその父は三方六を６ｋｇ（プレーン３・ショコラ３）抱えて店から出てくるんだ。

(ﾟДﾟ)ﾊｧ?

わざわざ、というのはこちらの都合だから言いにくいけども。札幌から片道３時間かけて、並んでようやく手に入れた１ｋｇの三方六を大事に抱えて帰ろうかという時に、６ｋｇを抱えたご近所のおっさんが出てきたらさ。

腹立つじゃん？もっかい並んじゃうじゃん？

「お客様…お一人様おひとつとなっておりますので」

そっと車に戻って、上着を脱いで列に戻ろうとしたら、

「お客様。申し訳ございませんがｗ」

目ぇ付けられちった。

柳月さん…あの制度、もう少し工夫してもらえません？

「他のお客様にもご購入して頂きたいので」というなら、年齢制限を設けてくれよ。なんで母親に抱えられている０歳児がカウントされて、札幌から来ている人間が２度目に並ぶのがNGなんだよ。１回で５個寄越せ、なんて言ってないじゃん。ちゃんと「まだ買えそうだから」っつって２回目に並んでるだけじゃんか。

悔しい…悔しいよママン…。

まぁ…ね。安く買えるんだから文句言うなって話なんだけどね…。

去年はコロナ禍で自粛したけど、今年は買いに行けるかなぁ…。

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