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障害者アントレプレナーの可能性

障害者の就労に興味を持ち始めてからリハビリテーション専門職として様々な現場に関わってきましたが、現在タイトルのような障害者のアントレプレナーシップを高め自身の障害特性に合わせた新しい働き方をしていくことに可能性を感じ始めたので、今回はこのようなテーマでコラムを執筆してみようと思います。自分でもこのようなテーマでは初めて考えを書きますので、まとまりのない文章になってしまうかもしれませんがご了承ください。。

まず最初に私が障害者の就労に興味を持ち始めたきっかけとしては障害者スポーツの関わりを通してでした。障害者スポーツを行っている学生が就活をしてもなかなか就職先が決まらない現状を目にして、障害者の就労の現状について調べ始めました。詳しくは↓をご覧ください。

そして、ちょうどそのころ中央省庁における障害者雇用の水増し問題が大きくニュースとして取り上げられました。日本では法定雇用率という仕組みによって障害者雇用制度が形作られていますが、ざっくり言うと中央省庁や教育委員会、民間企業などにおいて全体の2%程度は障害者を雇いましょう、というものです。この問題の詳細な報告は以前まとめたので興味がある人はそちらもご覧いただけたらと思います。

これによって数多くの障害者が中央省庁で働くことになったわけですが、自分の身の回りの話ではこれによって民間大企業が運営する特例子会社に務めていた人が中央省庁で働くことになったため、民間企業ではまた障害者雇用の人数を確保するのが難しくなったり、採用が決まった中央省庁において急に障害者雇用数を増やしすぎたために仕事がうまくコントロールできておらず結局また辞める人が出てきてしまっている、などなかなか各所で全てがうまく回っていないような印象を受けました。

もう一度法定雇用率の話に戻ると現在2.2%の法定雇用率を定められている民間企業において、100人以上の規模での会社に関わらず法定雇用率を満たせていなかった場合1人当たり5万円を支払う規定となっており、その資金は独立行政法人:高齢障害求職者支援機構によって運営され新たな障害者雇用の推進のために使われているようです。このような仕組みはあるものの、障害者を1人雇うくらいならこのお金は払っている方が負担が少ないと考えてしまう企業も一定数いることも大きな問題ではあると思います。

そしてこの機構においては障害者自身へのサポートや、事業主向けのサポートなど様々な取り組みが行われているため、障害者雇用に関する疑問点や問題がある場合はまずこちらに相談するのが良いかと思います。機構でのサポートを受けつつ最終的にはハローワークを通して障害者雇用を具体的にすすめることが多いですが、その際のトライアル雇用制度や、障害者を雇用にするにあたって職場の環境調整を行う際には様々な補助も受けられるので、そちらも確認しておけると良いと思います。

ここまでアントレプレナーの話はまだ出てきませんが、もう少し障害者支援の現状について深堀りしていきたいと思います。現在私は障害者職業能力開発校という障害者が職業スキルを身につけて就労を目指す施設において健康管理に関する授業をさせてもらっています。

このような場所で健康管理について学んでもらうことには非常に意義があると個人的には考えています。それは就労準備性ピラミッドというものをみるとその意義を感じていただけるかど思います。図は以下の資料から引用させていただいております。

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障害者に限ったことではありませんが、働くということにあたって必要なことをピラミッドによって示してありますが、その根底に健康管理というものが入ってきます。その他日常生活管理、対人スキル、基本的労働習慣、そして職業適性も働くことにおいて重要なことでありますが、何よりもまず健康管理ができてないことには始まらないので、そのような内容のレクチャーをさせてもらっています。

働く前段階できっちり健康管理の方法を学んでおくことで、働いた後もし不調が起こったりしても自分で解決する、もしくは適切な方法で支援を受けて働くことを継続するための管理が行っていけるようになると思います。障害は一般的に身体・知的・精神に分けられますがそれぞれによって起こる問題は様々あります。全般的な健康管理の方法を学びつつ、自身の障害に合わせた個別の健康管理法を確立できると良いと思います。

そしてもう一度障害者就労に関する現状に戻りますが、就労のマッチングに関してはハローワークのような無料職業紹介事業だけでなく、民間の有料職業紹介事業所も現在ではいくつか存在しているためある程度の職業スキルを身につけてそれ以外の就労準備性ピラミッドの要素も満たせば就労先は見つけていくことができるでしょう。

また最近では日本財団において障害者就労の支援が多く行われていたり、その他でも障害者就労の現場サポートを行っている組織があるため以前まとめた資料は下に紹介しておきます。

あと他にも就労継続支援A型、B型、就労移行支援、就労定着支援など国の定めた様々な事業所も世の中にあり、民間企業で運営しているものや、社会福祉法人によって運営されているものなど様々なものもあります。

社会には多くの障害者がおり、様々な就労支援サービスや事業所も存在する中でまだまだ解決ができていない問題があることを知って他の方法を考えたときに、今現在タイトルにあるような障害者アントレプレナー教育も必要なんじゃないかと最近思い始めました(やっと到着しました笑)

現在世の中では大企業における終身雇用の制度が崩れはじめて、1つの企業に所属し続けずに転職をするハードルが下がってきたり、個人事業として働く、起業して働く、というような方向がどんどん増えてきているかと思いますが、個人的にはそれは障害者においてもあてはまるんじゃないかと思っています。実際の障害のある方が起業を立ち上げて経営をされている会社も世の中にはいくつか存在しています。

民間企業では障害者雇用を推進するために法定雇用率を定めて、次第にそれを満たす割合も増してきてはいるものの未だに達成していない企業も多くあると共に、働けていない障害者も多くいると思います。中にはどうしても障害者雇用だからといって恵まれた待遇をされていない障害者もいるのではないかと思います。

そこで個人的には障害者であっても残された能力をもっと活かして最大限の生産性を発揮してそれに見合った評価も受けて対価としてお金を受け取れるような方向性に進んでいくことはいいことだと思っています。何らかの障害があったとしても逆にそれ以外の機能が発達することもあると思うのでどうにかそれを活かせる形もあるんじゃないでしょうか。

また、障害者であるがゆえに雇用されてその組織の就労時間や環境に合わせる必要性が出てきてそれに対応できずに仕事が続けられない状況になることもあるのではないかと思います。そこで個人事業主や自身が経営者になることによって自分の障害特性に合わせた働き方を作ることで自身の能力を最大限に発揮することが可能になってくることも考えられます。自身の障害を改善するための方法も新しい商品開発のアイデアになるような可能性もあると思います。

もちろん自分で事業を管理していくことにはリスクもあるし、仕事として何をするかの選択も重要な要素になってくるでしょう。そのために障害者自身も多くのことを学ぶ必要があると思います。私自分も今まで多くの仕事は雇われる形で仕事をしてきて、今年始めて株式会社を立ち上げて法人としての活動を始めたためまだまだ知らないこともありますが、時間の使い方は自由に選択できたり、仕事の内容・ペースも自由に選べる状況は障害者であっても働ける環境として参考になる部分もありそうだと感じています。

自分自身の力もまだ弱く大きな影響力を生み出すには時間がかかりますが、コツコツ活動を進めて障害者を含む多くの方が満足人生をおくれるように頑張っていけたらと思います。ここまでかなり長文になりましたが、読んでもらってありがとうございました!

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