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はすぬま温泉に行ってきた話


昼間っから大田区の銭湯をはしごしている日。
もみあげ百貨店と夜に合流予定だったものの、時間があり余ったので蓮沼にある改正湯、池上にある桜館を堪能。

時間は19時近くになる。

携帯の充電が、あぶない。
こういう日に限ってモバイルバッテリーを忘れてしまう。せめて充電器を持っていればマックで解決するのに。軽いから充電器を持っているとして、それを刺すためにうろうろさまよったり、マックに行く労力を考えたら、重いけどいつでも充電できるモバイルバッテリーを持つのとそう大差ないと思う。僕はモバイルバッテリー派。
ただ、今日はどっちも持っていない。

んん。

キャリアショップがあれば充電できる。
そう思い立つ前に右往左往しすぎて気づけば20時をすぎていた。
キャリアショップは早く閉まるんだよなぁ。

ドンキはどうだ??
たしか西葛西のドンキは二階の駐車場からの入り口前に無料充電器があったはずだ。
よし。

入店。
ただ、人見知りを遺憾なく発揮したので店員さんには聞けず、一旦トイレへ避難。うんちをしながらスマホで調べる。
「蒲田 ドンキ 充電」
→「蒲田のドンキで充電できるの最高!」
あるじゃんツイートが。

(2016年◎月×日)

消してくれそんなツイート。
一生必要ない。

最近の発言は見つからなかったが、くまなく探し回ってみるも、発見できず。
諦め。

たしか、今世の中にはレンタルモバイルチャージがあるぞ!!!
めげない現代人。
調べる。
「コクミンドラッグ蒲田店」にあるらしい!!!!

向かう。
着く。
探す。
・・・?
ドラッグストアすぎる。
人見知りを遺憾なく発揮したので誰にも聞けず、あきらめて退店。
なにをしてるんだ私は。

電池を使わずに待つしかない。
原始。

本屋へ。
顔面の筋肉の本が欲しいんだけど、ないもんだなぁ。おすすめあれば教えてください。
そろそろ白地図買おうかなぁ。

そうして時間と電池をつぶし、ようやくもみあげが合流。
二軒の情報交換と感想の共有をしながらいざ、蓮沼温泉へ。

駅から100mくらい歩いて右に曲がるとズドーンと出てくる、幻想的な宮造り。
これは、圧巻。
ただ、狭い路地にあるから写真が撮りづらい。銭湯あるある。全景いれるためには前のおうちの駐車場にちょっと入らないといけない。
やっぱ大通り沿いって高いのかな。
よく見ると、だいぶ新しい。2017改装か。

「これよ、ステンドグラス。」

ほお。
目線の窓にカラフルなステンドグラスがほどこされている。
これはあまり、見ないな。
古臭いという銭湯のイメージを芸術的に昇華させるいい工夫。

下駄箱を右に折れてすぐにフロント。
明るいおばちゃんがお出迎え。
明るい。
フロントはまぁきれい。木造で美しく光っているさ。
「つるくん、これ。」
ああ!!噂のデジタル金魚!!!
床にモニターが埋まってて、水面の絵が映し出されていて、中に鯉が泳いでいる、あれ。
子供と一緒に足で踏む。

中へ。

脱衣所、いい。
言うまでもなく清潔感。木造で清潔感あったらもういいのよ。それ以上いらないの。
ロッカーも木造。
そして見上げた天井にも抜かりなく柱の模様。ひし形。わかってる。ここはすべてに手を抜かない。

浴室へ。

オレンジ目の照明をうけ、中央に連なる浴槽。
普通関東の銭湯は入って手前にカラン(体を洗うところ)があり、その奥、壁に沿うように浴槽がある。
だがここは左右の壁に沿ってカランがあり、中央の壁から手前までずらっと浴槽が並んでいる。
パッと目に入るのは、その浴槽の一番奥、お湯を出している大きな石造だ。よく見れば壁画の滝が、上からバーッと流れてその石造に入り、石造から浴槽へお湯が流れ出すように見えるではないか。
昔から銭湯は壁画、タイル絵、浴槽という壁の層がつくられていて、特に壁画が富士山、その下が海になっていることが多い。さらにその下のタイル絵も鯉や金魚といった、水系が多く扱われる。これは、湯船が壁の絵と地続きになっていると思えるようにというアイデアだ。没入感。
その古来の流れを踏まえ、進化したのがこの石造ではないか。
ナイスアイデアすぎる。

石造を見て、カランへ向かう。女湯との境になっている壁に向かうが、その壁にも円形の絵が。
木造の壁に貼られる日本の花や鳥を描いた円形の絵。風流すぎる。
しっかりシャンプーリンスもあるし。

からだを洗って風呂へ。
石造の湯がぬるめのお風呂、その隣が炭酸泉、そして一番入口に近いところが水風呂となっている。すべて温泉だ。
はすぬま温泉はもちろん天然温泉なのだが、どれも黒湯ではない。ナトリウムー塩化物炭酸水素鉱泉、らしい。詳しくなくてごめんなさい。
いづれもの湯舟も家で入る温度になっており、浅い腰かけゾーンもあるためストレスなく長湯できる。
つかりながら見るステンドグラスは、これまたたまらない。
水風呂は比較的あたたかめ。源泉かけ流しだからだろうか。
ただ、お湯の方も熱くないのでちょうどいい。

いくらでもいれてしまう。

この全体を包む温かい感じ。
安らぐ。

お湯、水、炭酸、水、出る。

颯爽と着替えてフロントへ。

椅子の数は多いものの、人気のため角に座る。
銭湯関連の本棚がやっぱりある。テレビもあるし。ここでもステンドグラスが見られるし。
コーヒー牛乳もあるが、おすすめのリンゴジュースがある。濃厚で最高。こういうのがいんだよ。こういう、イレギュラーもおいてる気遣い。

帰りに東京浴場組合のスタンプをもらう。
「どちらからいらしたんですか?」
「僕は、品川の方です。」
「あらぁわざわざ。」
「でもこっち(ツル)もっと遠いですよ。」
「僕江戸川区です。」
「えぇ~わざわざありがとうございます。」
「いやぁとんでもないです。来てよかったです。僕ら結構回ってるんですよ。」
「あらぁそうなんですか。」
「この人(もみあげ)すごいですよ。」
「これでスタンプ85です!」
「あらぁ。そんなに行ってるの。」
「色々回りましたけど、ここが一番です。」
「またぁ!!上手なんだからぁ!!!」
「ほんとですって!笑」

上手なんだからぁっていうおばちゃんなんか好きでしょう。
着飾ってない、年の取り方。
最後の最後にダメ押しの人情だもの。これは惚れるわ。

素晴らしすぎた。
確立されてる。大正ロマンテイストをここまでやるとは。
今井健太郎さん、恐るべし。

帰りは恒例の「家に飯があるのに飯に付き合わされて結局夜2食たべる」やつ。意味ないったらない。
がっつり濃いめのらーめんを食わされ、帰宅。

ちょっとね、

噂以上だった。
はすぬま温泉。

一度行かないとだめだあれ。
銭湯の概念が広がる。

心からおすすめします。

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