流しのグループ【平成流し組合】とは

平成流し組合とは

平成流し組合は、流しのグループです。2014年、私パリなかやま が創設しました。2022年の今、流しが61人おり、全員が個人事業主です。Facebook上のグループページに存在しており、日々連絡を取り合っています。

メンバーの流しは3種類おります。1人で稼働する弾き語りの流し。ペアを組んで動く、単独の歌い手(ボーカリスト)の流し、伴奏師(ギタリスト)の流し。つまり、弾き語り、歌い手、伴奏師、で3種類です。全員がルール共有をし、流し文化が良いかたちで発展するよう日々工夫しながら運営しています。みんなそれぞれ流しの現場から学び、令和の新しい流しの指針を作っています。

流しの組合を作ったきっかけ

パリなかやまは、2008年から流しキャリアをスタートしましたが、当時、まわりに流しをやっている人はいませんでした。自分も街で流しと会ったことは無し。流しの存在は希少どころか、ほぼ絶滅状態でした。

2014年、恵比寿横丁で流しているときに、ある人と知り合いました。代官山ブックスの廣田社長です。廣田氏が「この珍しい流しの男の本を作りたい」と申し出てくれました。アイデアをいろいろ交わしました。本は書くのですが、何の本にするのかは決まっていませんでした。結局、サイコーにエッジの効いたもの(この世に一冊!的な本)を書くことになりました。流し稼業のマニュアル本「流しの仕事術」です。ニッチな仕事のハウツー本です。

平成流し組合は、2014年12月、この「流しの仕事術」出版に合わせて作りました。

「流しの仕事術」を書くことはシンプルに面白いことでした。執筆のノリで、その先の「流しの受け入れ、育成」まで一気に流れを作ってしまった感じです。その時、ちょっと考えました。流し育成が一体なんになるのだろうか、と。

流しのグループを作るメリットは?

結論。流しの業界があり、多くの人が流しとして活躍していたほうが、流しの自分も生きやすいだろうと考えた。社会的に。

自分が流しとして生きてゆけているのは、昭和の時代、日本に流しの文化があったから。いま絶滅状態だとしても「流し」の呼び名があり、ある年齢以上の人はちゃんと流しと言えば伝わる。社会の中で、職業として在ること。その恩恵をじゅうぶん受けてきたと思います。

しかし、この恩恵は、平成に自分しか流しがいないような状況が続くとどうなるだろう。世間の認知、流しの呼び名自体もやがて忘れられるだろう。消えるだろう。するとたぶん流しの仕事がやりにくくなるだろう、と予想しました。これはちょっと悲観的な方向からの話です。

同時に、流しが増えたらの方向に、ポジティブで夢見るようなビジョンもありました。流しを望む街、酒場が多数あって、魅力的な流しが、東京~日本中にいて、賑わっている風景。楽園のような絵が浮かんでいた。これは完璧に楽しく平和な世界だろう、と。夜ごと、流しをやりながら思ったことです。

今、流しが増えて、どうか

いろんな経緯で流しに参入した人がいて、いろんな個性がある。それぞれのやり方で、魅力で、夜の街を盛り上げています。街の人にも、お店の人にもそれぞれの流しが親しまれ楽しまれています。この状況は自分一人で流しを続けていても、絶対にできないことです。だから流しが増えて、やはり良かった。愉快な気持です。

流しを続ける人がいる。それは流し活動がうまくいっている、ということでしょう。現場のニーズがあって、売上があって、やりたい従事者(流し)がいる、ということ。契約も強制なく、職業選択の自由もある中で、このグループで流しをやっているわけです。充実した何かがあるに違いありません。

もちろん、中には去っていく人もいます。事情はどうあれ、流しを経験して色々知ってもらったことでしょう。また、酒場でお客さんに流しの存在を知らせてくれたわけです。両方が貴重なことです。

というわけで、平成流し組合は令和の世になって、まだまだ発展してまいります。一同、宜しくお願い申し上げます。

パリなかやま


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