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【イベントレポ】オフィスって必要?これからのオフィスデザインと働き方を8人の専門家と考える

こんにちは。parkERsブランドコミュニケーション室の矢崎です。

7月26日(金)parkERsが主催するトークイベント「Indoor Park Talk Show」の第10弾を開催しました。「人と地球の未来を考える」というテーマで、気になるコトやモノを取り上げて行なっているこちらのトークショー。

▼「Indoor Park Talk Show」について詳しくはこちら▼

記念すべき第10弾は、未来のワークスタイルとオフィスデザインをテーマに開催。ゲストに6名の専門家をお招きし、なんと過去最大のお申込みをいただきました。当日の会場は増席を行なったものの立ち見のお客さまが出るほどの賑わい。お越しいただいたみなさま、ありがとうございます。

このnoteでは、「もうちょっと聞きたい!」と思うほど、大盛況のうちに幕を閉じた豪華な一夜のレポートを掲載いたします。

6名の豪華ゲストの登場

イベントスタート前から、会場は超満員!モデレーターであるparkERsブランドマネージャー梅澤と、parkERsディレクターの城本がオープニングのご挨拶をいたしました。

梅澤「ソクラテスは『無知の知』を唱えました。知っていることもあるかもしれませんが、ぜひ新鮮な気持ちで人生のヒントに役立てていただければと思います。」

「朝まで生テレビ!」のオープニング曲とともに、6名のゲストが登場。

(写真:左から梅澤(parkERs)、遅野井宏氏(株式会社オカムラ)、
山田雄介氏(株式会社オカムラ)、塩田健一氏(月刊商店建築 編集長)、
佐藤航氏(コクヨ株式会社)、藤岡麻実氏(Gensler(ゲンスラー)、
城本(parkERs)※齋藤敦子氏(コクヨ株式会社)は第2部からの参加 )

塩田健一氏は建築やインテリアデザインの潮流という観点から、遅野井宏氏、山田雄介氏、齋藤敦子氏はワークスタイル研究の専門家として、そして佐藤航氏、藤岡麻実氏にはオフィスデザインのプロフェッショナルとしてご登壇いただきました。

この6名に梅澤と城本を加えた8名で、豪華なトークセッションが始まります。

▼ゲストのプロフィールはこちらから▼


第1部:ゲストのみなさんの働き方は?

限られた時間の中でゲストのみなさんのお話をお聞きするため、第1部はIndoor Park Talk Show初の試みである“フリップトーク”形式で展開。

ワークスタイルとオフィスに関する疑問を梅澤が投げかけ、1分で答えを記入いただきます。最初のお題は「ゲストのみなさんの1日のスケジュールを円グラフで書いてください」

梅澤「他人の働き方やオフィスを作っているみなさん。実際に1日にどのくらいの時間を仕事に割いているのか?聞いてみたいと思います。」


佐藤さん「睡眠時間は6-7時間。寝ないとダメなタイプです。悩みのタネは、まとまった時間がないこと。退社は、早ければ18時、遅いと24時とか1時、2時になりますね。」


塩田さん「仕事が長いから寝る時間があまりないです。会社を出るのは23時過ぎることが多い。仕事で1日が埋め尽くされている感じ。でもいいものを作ろうとするのは楽しいからやってしまうんです。」


藤岡さん「1日の最初と最後はぼーっとする時間を設けています。必ず2匹の猫と30分間じゃれあいます。
昔は残業が多かったけど今は遅くても20時くらいには退社しています。でも仕事のことは常に考えているので、たとえば外で朝食をとる時間をインスピレーションを高めることに使ったり、メールチェックを行なったりしています。」


城本「朝7時にジムに行くのですが、その前に5時に起きて2時間仕事をするようにしています。会社に来た後は打ち合わせだらけ。なるべく会社にいないようにしています。(笑)人が増えて席がないことも原因ですが。だいたい19時か20時には退社して飲み会に行くか、子育てをするか。家族との時間は大事にしたいと思っています。」


遅野井さん「6時過ぎに起きてpoint 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)(※)に出勤して見学対応。最近はオフィスにいると珍しがられます。19時くらい退社して21時くらいに食事。高校2年生と中学2年生の子供の勉強の面倒を見たり、家事をしたり、最近は筋トレをして、だいたい2時に寝ています。一番の問題は睡眠時間が足りないことですね。」

(※point 0 marunouchi は、株式会社オカムラ、ソフトバンク株式会社、ダイキン工業株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、三井物産株式会社、ライオン株式会社が共同発表した、空間データの協創プラットフォーム『CRESNECT』を活用した会員型コワーキングスペース。parkERsは植栽コーディネートで参画しています。


山田さん「普段は、睡眠が足りない。22時から24時くらいまでぼーっとする時間を作っています。海外にいるときは、『遊ぶ』を大切にしています。」


第1部:ここ数年でお客様がオフィスに求めるものは変わった?

梅澤「次は、作る側の目線で聞いてみようと思います。ここ数年でお客様がオフィスに求めるものはどう変わりましたか?」


塩田さん「“対外的にブランディングしたい”だったり、“社内向けにはコミュニケーションを活性化させたい”だったり。以前は、会社の内と外がはっきりしていたのが、ここ5年でその境界を曖昧に設計してほしいと依頼が来ることが増えているように感じます。」


藤岡さん「5年〜10年前は、オフィスのヒエラルキーの象徴をデザインするものが多かったです。最近はそうではなく、会社の「らしさ」を表現する傾向があります。面白かった依頼は、『オフィスが好きでここで恋愛してここで結婚式したいと思えるような場所にしてほしい』というもの。デザイナーとしてもワクワクするリクエストでした。」


佐藤さん「3Cというのは1.コンセントレーション 2.コミュニケーション 3.カルチャー。カルチャーは最近出てきた考え方です。オフィスを中心にカルチャーを広げることを求める風潮が増えてきました。まずは、社員同士が仲間や家族であると思える場であることが求められています。」


遅野井さん「オフィスづくりはコンサルティングに近くなってきたと思います。お客さんから与えられた命題をこちらが解釈して返すことで、お客さんが意味に気づく。そのプロセスのなかでお客さんとストーリーを紡いでいくイメージです。」


山田さん「どこでも働けるようになった今、企業にとってそのオフィスを作る意味を明確にすることが必要だと考えています。
極端な話、仕事をしない遊べる場所であることがその企業にとってオフィスの意義なのであれば、そういうオフィスを作ればいいと思います。その本質の部分が求められているように感じます。」


第1部:そもそもオフィスって必要?

梅澤「オフィスづくりをしているみなさんは、オフィスを必要だと思うのか?聞いてみたいと思います。」


遅野井さん「テレワークは、会いたい人に会いに行く、行きたい所に行く度が上がるんです。その状態でふとオフィスに行くと多数の人に話しかけられます。そういう意味ではオフィスの中の方がセレンディピティが上がっているのではないか?と思います。そういう場としてオフィスは必要だと考えています。」


山田さん「オフィスはビジネスを進める場所。ビジネスを進めるのに必要なのは信頼を作ること。信頼を作るには、直接会うことが一番大事。一緒の場所にいることで結果的に生産性、創造性が高まると思っています。」


藤岡さん「オフィスは自分と組織をつなぐ場所。モバイルワークが進んで街と繋がるように働くようになってきていますが、インスピレーションは、同じ方向を向く社員がオフィスで出会うことで生まれるようになってくると思います。」


城本「私たちは、“公園”をテーマに空間を作っています。
parkERsのデザインチームで代々木公園に行って仕事をしました。
スタッフの「公園で仕事したときはとてもいいアイデアが出たのにオフィスだとつまらないアイデアしか出ない」という声を聞いていると、外で仕事をすることができる環境がひとつのオフィスの選択肢なのかと思っています。」


佐藤さん「150年前は侍しかいなかった。オフィスはいまは当たり前だけど、形態も変わっていくと思います。」


塩田さん「オフィスは1.集中できる空間であること。 ヒントや刺激が揃っていて、常に変化がある2.気持ちよくコミュニケーションができる空間であること。3.機能と空間が1:1 で対応していない空間であること。この3つの条件が揃っていればオフィスは必要だと思います。」


第2部:ゲストが自由に自分のオフィスが作れるとしたらどんなオフィスを作りますか?

第2部は、sli.doを使った参加者の皆さまからの質疑応答タイム。質疑に答えながら、トークが繰り広げられます。

最初に選ばれた質問は「ゲストが自由に自分のオフィスが作れるとしたらどんなオフィスを作りますか?」。

佐藤さん「原っぱ感。原っぱのように自分たちが自由に遊べる空間。」


遅野井さん「緑と風。心地よく、緑でいっぱいで、風が吹いている空間。今回作ったpoint 0 marunouchi(ポイント ゼロ マルノウチ)ではそれがうまく表現できました。ここにいると空気が美味しくて人間回帰できるオフィスだと思います。」

齋藤さん「バイオフィリアに注目が集まるなか、植物があっていいなら、動物やいろんな人間もいていいのかもしれないと感じます。」


藤岡さん「ドラマっぽいオフィス。“オフィスにドラマを持ってくる”というコンセプトで作られたNYにあるオフィスにとても感銘を受けました。
オフィスのあり方は、組織のあり方と個人の意識が合うことが必要。仕事をすることを無機質なものではなくではなくドラマチックにしたいと考えています。」


塩田さん「身体的な気持ちよさ。生活がシステムに飲み込まれすぎていると感じています。それがちょっと嫌で、人間的なものに戻りたいという気持ちは皆さん持っているものだと思うんです。だからこそ、身体的な気持ちよさがあることが一番重要だと感じています。」


第2部:日本と海外の働き方の価値観の違いとは?

塩田さん「働き方に感銘を受けた企業はありますか?」

遅野井さん「前職のマイクロソフトで良かったところは、信頼して任せてもらえた点。日本の企業と外資系企業の制度設計を比べると、外資系企業は性善説に基づいて作られています。『あなたのこと信頼するから成果出してね』というスタンスで仕事を任せてもらえるんです。」

齋藤さん「私がいいと思うワークプレイスは、ポートランドにあるオフィスです。気候や土地と切っても切り離されない場所がとても好きで、そういうところで働きたいと思っています。」

城本「なぜ、日本と海外は違うと思うのでしょう?」

藤岡さん「アメリカ人は、個性は立っているけどチームプレイがうまいと感じます。会話に中にも色んな人を入れて対応できる点は、上下関係を気にしすぎている日本にはまだあまりないところだと思います。」

遅野井さん「日本企業は社員を子供扱いしすぎなんです。性悪説に基づいて制度設計されているので、できない人という前提で扱われる。責任と権限を与えるのがアメリカの人事です。」

第2部:良いコワーキングスペースの見分け方

梅澤「良いコワーキングスペースの見分け方があれば教えてください。」

齋藤さん「昔のシェアオフィスにコワーキングの看板をつけただけの場所は要注意。コミュニティや、そこにいると何かが起きるのがコワーキングなので、安さや立地だけで見てはいけないです。」

遅野井さん「WORK MILLのコワーキングスペース考察に社会人大学院でコワーキングの研究をしていた時の知見をまとめているのでぜひご覧ください。

良いコワーキングは中の人の営みが生き生きと外に見えるんです。そのためには、コミュニティマネージャーやコアユーザーの発信が必要不可欠。コワーキングの良し悪しは人です。」

佐藤さん「コワーキングに大事なのはユルさだと思っています。
BtoBからBtoCになり、一般の人が買い物のついでに使えるようなコワーキングがあると良いと思っています。例えば東京ヒュッテは、ドミトリーの下がコワーキングになっているライフよりのコワーキングです。」

山田さん「コワーキングは、もっと周辺サービスを連携して作るべきだと思います。地域と連携して、自分の目的に合わせて気軽に全体でコワーキングができるような。」

塩田さん「自分がコワーキングを使うとしたら等々力(とどろき)にある“ふかさわの台所”。民家を改装した場所で、地域の人たちが子ども食堂などをやっている場所なんです。そこなら地域や生活と離れずに日常の延長で働くことができると感じました。」

遅野井さん「一緒に創って行くことがコワーキングの真髄なんです。隣の課がやっていることを全く知らなかったり、社内の中で硬直したコミュニケーションをつなげていくこともコワーキングの役割だとも考えています。

1.お互いのやっていることに関心を持てるのか?2.いかにお互いのためになることができるか?3.そのオフィスの中でどんな効能があるのか?この3つがコワーキングにおいて重要で、これは一般的なオフィスでも当てはまることだと思います。」

第2部:競合のここがすごい!をこっそり教えてください

梅澤「最後に、本日一緒に登壇している競合のここがすごい!をこっそり教えてください。」

noteでは省略させていただきますが、会場内では各社がエールを送り合い普段はなかなか聞くことのできない、まさにここだけの話を聞くことができました。


*    *    *

梅澤「最後に。ホモ・サピエンスがここまで進化できたのは、好奇心と協調性があったから。目に見えているものだけが文化では無いので、もっと好奇心と協調性を持って進んでいくのが正解だと思っています。

ダーウィンは進化論の中で“生き残る種は最も強いものでもなく、最も賢いものでもなく、もっとも変化に適応したもの。”と言っています。

その時代を読み解きながら色んなスタイルに変えていくことが大切だと思います。」

参加者さま同士に交流いただいた懇親会

イベント終了後の懇親会では、株式会社伊藤園さまに協賛いただいたお〜いお茶 新緑をはじめとする、ワークプレイスで集中したりリラックスしたいときに効果的と言われるドリンクをご提供。参加者さま同士で交流していただく時間となりました。

▼「お〜いお茶 新緑」の紹介動画はこちら▼

*    *    *

記念すべき第10回目のIndoor Park Talk Showは、専門家のゲストの皆さまのプライベートな質問から、それぞれの知見が詰まったアカデミックなトークまで幅広い内容で繰り広げられました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

今後のイベント情報は、parkERsのwebサイトで更新予定です。
ご興味がありましたら、ぜひご覧ください。

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この記事を書いた人

矢崎 恵理
park corporation/parkERs 
ブランドコミュニケーション室所属。
武蔵野美術大学を卒業後、
「うっとりする空間を作りたい」という想いのもと、parkERsへ。
parkERsでは、PR関連の制作を担当しています。