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連載:ポートランドの公園に行こう #10 アーバー・ロッジ・パーク

全米一住みたい街、ポートランド。その街の魅力のひとつにもなっているのが「公園」です。市内には300あまりの公園があり、市民の生活に溶け込んでいます。本連載では、現地調査や政府公開情報をもとに「ポートランドの公園」をテーマにお届けしていきます。

前回連載はこちら↓

尚、本連載は冊子「Go to Porltand Go to PARK ー ポートランドの公園に行こう ー」にてより多くの写真と文章で解説しています。さらに詳しい情報についてはこちらをご覧ください。冊子の詳細・ご購入はこちらから> 連載第10回目は、ポートランド初と言われるユニバーサルデザインの遊び場をご紹介します。

↑ 公園全景

公園のなりたち

閑静な住宅街のなかにあるアーバー・ロッジ・パーク。その中に近隣住民のゴールドバーグさんが障害をもつご自身の娘さん(Harper)も遊べる場所をという想いから実現した、ハーパーズ・プレイグラウンド(Harper’s Playground)があります。2012年にまざまな人の協力を得てユニバーサルデザインの遊び場がリニューアルオープンしました。実際に目にしたユニバーサルデザインの特徴を見ていきます。

↑ 園づくりに貢献した人々の名前が刻まれたサイン

みんなに優しい床

園路をはじめ敷地内に段差がほとんどありません。また、コンクリート、ゴム、芝などの床素材が適材適所で使い分けされています。車椅子やベビーカーの方はもちろんのこと、誰もが快適に移動しやすいと感じる床は一番の特徴かもしれません。

↑ 園内で一番高い築山のてっぺんも緩やかなスロープでアクセスできます

遊び場全体が見渡せる

公園にフェンスがないので、隣接する歩道のどこからでも入れます。道ゆく人から公園の中の様子が見えて、常に近所の人から見守られているような雰囲気。また、園内にも遮るものがなく、色々な遊びをいったりきたりできます。

↑ 敷地境界にはフェンスなどがないので面する歩道のどこからでもアクセスできます

↑ さまざまな子どもが遊べる遊具

車椅子の子ども、障害をもつ子どもも分け隔てなく遊べるような遊具が揃っています。例えば、ブランコ。通常のバンパーシートに加えて、しっかりと捕まることができない子どもでも安心して漕ぐことのできるバケットシートも準備されています。また、身体をダイナミックに使わなくても、見たり、聞いたり、触ったりと五感で楽しめる遊びができるのも特徴です。

↑ ブランコには3種類のシートが装備されあらゆる子どもに対応しています

↑ 小さな子どもも奏でることのできる鉄琴。優しい音色が公園に響き渡っていました

↑ 砂場の周囲にはよく見ると海の生き物の彫刻があり、見ているだけでも楽しめます。

自然遊びができる

メンテナンスの行き届いた緑で溢れる園内。そんな自然にデッキや岩を設置することで、人が自然に触れ合えるようになっていました。子どもたちが遊具だけでなく、足元の植物や生き物にも目を留めて遊ぶ姿がありました。

↑ 公園内には20種類126本もの樹木があり、緑に溢れています

↑ 人が自然と触れ合い、寄り添えるような設えの工夫が多くありました

↑ 自然の生き物や植物を手に取りながら遊ぶ子どもたち

大人も犬も楽しめる

アメリカでは、親や保護者と一緒に公園に行くのが一般的。大人たちも子どもを遊ばせているという感覚ではなく、自分たちもリラックスして楽しんでいるような雰囲気があります。心地よい日陰のある芝生や、ちょっと腰掛けられる場所があることで、大人にとっても良い環境がつくれているようでした。

↑ リラックスしながら子どもを見守る保護者たち

↑ 遊び方を限定しないような遊具で大人も一緒に楽しんでいました

まとめ

公園を訪れて、いろいろな意味で境界がないこと、あるいは境界を感じさせないことは大切だと感じました。物理的にフェンスや段差がないことだけでなく、大人と子ども、障がいの有無、さらには自然と人工も、一体的に感じられることがより多くの人にとって過ごしやすい場所、時間をつくれるのではないでしょうか。

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