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連載:ポートランドの公園に行こう #05 タナー・スプリングス・パーク

全米一住みたい街、ポートランド。その街の魅力のひとつにもなっているのが「公園」です。市内には300あまりの公園があり、市民の生活に溶け込んでいます。本連載では、現地調査や政府公開情報をもとに「ポートランドの公園」をテーマにお届けしていきます。

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連載第5回目は、環境先進都市ポートランドを象徴するような公園をご紹介します。

↑ タナー・スプリングス・パーク全景

都市の真ん中に突如現れるビオトープ

都市再生の成功事例として注目されるパール・ディストリクト。タナー・スプリングス・パークは、そのエリアと一体的に開発された公園のひとつです。Atelier Dreiseitl(現Ramboll社) により手がけられ、2010年に完成しました。

↑ 公園内の案内サイン

建物が並ぶ街中に突如広がるビオトープ全体が公園です。敷地は周辺よりも1.8メートルほど下がったところにあり、歩道の端から公園全景が見渡せます。

↑ 歩道から見渡す公園全景

路面より低い位置にすることで雨水を公園の敷地に取り込み、生息する植物などで雨水を浄化するそうです。また、大雨の際の水の受け皿ともなることで、防災対策にもなっているようです。

↑ 公園が面する歩道にある葉の形をしたシェルターも雨水を園内に集める役割を担います


廃線跡地の歴史を感じるアートウォール

公園の歩道の境界には、廃線跡地であることを彷彿させる廃材のレールでつくられた柵がうねりながらレイアウトされていました。

↑ 鉄道のレールで作られた柵

そのレールの一部にはめ込まれたガラスには、園内に生息する生き物の絵が描かれており、細部までデザインのこだわりを感じます。

↑ 柵のディテール

自然に溶け込む休憩スポット

園内には自然を縫うように歩道があり、その空間にあわせて人がたたずめる座る場所がさりげなく組み込まれていました。

↑ 自然の中につくられた憩い空間

↑ 自然に溶け込み、対話も生み出すベンチレイアウト

↑ ベンチデザインも有機的

公園を訪れた人は、思い思いのお気に入りの場所を見つけてくつろいでいました。

↑ 木陰下の芝生エリア

↑ 敷地境界の芝生階段

↑ 芝生階段からは公園全体を見渡しながらくつろげます

↑ さらに引いて、歩道のベンチから自然を眺める楽しみ方もあるようです

環境保全、防災対策、アート発信、歴史の継承、市民の憩いなど街にさまざまな価値をつくりだしている素晴らしい公園でした!ポートランドを訪れる際には、ぜひおすすめしたい公園のひとつです。

街に広がるグリーンインフラ

ところで、タナー・スプリングス・パークと同じように雨水を管理する仕組みは、ポートランドの街中を歩いていると時折見かけます。歩道の一部に小さな植生帯が設けられ、歩道の雨水を浄化しています。ポートランドでは、緑地をネットワーク化することで街全体の環境保全と防災対策に役立てようという動きが盛んです。街の緑化という視点でポートランドの街を観察するのも面白そうですね!

↑ 市内各所にある歩道の植生帯

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