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Foam写真美術館:アムステルダム(オランダ)・・ヨーロッパ放浪記(31)

カイザー運河沿いにある写真専門の美術館「foam」に行きました。

南アフリカの黒人フリーランス写真家Ernest Coleの ”House of Bondage”を中心に見ました。モノクロのフィルム写真のネガ・ベタから大きな作品まで、Ernest Coleの世界を堪能しました。彼の手書きのメモが書いてあるベタ、試し焼きに、いまにも薬品の匂いがしそうな、「暗室」の興奮が蘇ってきました。

南アフリカのアパルトヘイトを被差別者側から静かに告発する作品は、ユージン・スミスを彷彿とさせるものがありました。両者とも、被写体の日常生活に入り込んで撮っているのが凄いところです。Ernest Coleの写真から、黒人労働者たちの汗と涙が迫ってきました。

他の写真家の展示コーナーもあり、Foam写真美術館の新しい展示スタイルに感動しました。
日本では体験できない展示でした。これでいいんだ!という目から鱗でした。狭い敷地で、数階の建物の特徴をよく利用し尽くした展示の仕方でした。Ernest Coleと「同居」するのは日本では「ありえない!」というフォトグラファーのぶっ飛んだ写真の斬新な展示!凄い!さすがオランダ!

フィルム、しかもモノクロならではのErnest Coleは、膵臓癌で49歳の若さで他界したとのこと。60-80年代の世情を反映したマジ社会派で、デジタル以前のErnest Coleの写真・・いまの世代は、どう見ているのでしょうか。少なくない若者が真剣な眼差しで見ていたのを見て思いました。

ちなみに、前回訪れたドイツのライカミュージアム、今回のバウハウスと、Foam写真美術館、それぞれの「写真」に対する向き合い方が当然違っていますが、「Foam」がいちばん真摯で、好感が持てました。久しぶりに「写真」にエキサイトすることができました。それだけに、「写真」について、しっかり対峙することを迫られました。

3つのミュージアムを見て、それぞれ「写真」の「進化」?あるいは変化に戸惑っていると感じました。わたしたちのみならず、ミュージアムも、「デジタル以前」と「ポストデジタル」と、日々凄い勢いで「進化」?あるいは変化していっている「写真」について戸惑っているのではないでしょうか。
どう考えていったらいいのでしょうか!?

わたしはフィルム時代が大好きで大好きでたまりませんが、単純にノスタルジックになっていてもしようがないでしょうから、自分なりの「落とし前」をつけなくては!と思ってます。
早すぎ!・・です。
デジタルの変化は。「進化」とは決して思いません。

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