映画観た:いぬやしき

いぬやしき
監督:佐藤信介
脚本:橋本裕志
原作:奥浩哉「いぬやしき」
公開:2018年
出演:木梨憲武 / 佐藤健 /  本郷奏多


ずっと気になってた映画。
駅でやたら広告されてた時期があったし、タイトルロゴがなんかホラーっぽいから「のりさんホラーも出るんだ」と思ってたらアクションだと聞いてよくわからなくなった思い出。

だってさ、明朝体でいぬやしきのぬが赤字だよ。
ホラーじゃん。絶対なんか井戸から出てくるじゃん。

そもそもこれマンガ原作らしいですね。私は原作を読んでいないのでとりあえずWikiで軽くストーリーをさらってみてましたが、一気に原作の大まかな展開をやった感じなのね。知らんけど。

主人公はうだつが上がらず家庭内でも地位の低いお父さん。
会社からも家庭内からもずっと虐げられていて見ていてすごくつらくなってくる。

なんかね居場所が無い人見てるととても何とも言えない気持ちになる。
あと周りの環境が悪くてずっとそわそわしてしまう。
なんとなくうまくいかない理由を全部犬屋敷さんのせいにしてないかなとぼんやり。でもスポドリ4連続大量発注ミスはどうかと思います。
そのうえガンがみつかって余命3か月とか言われる。しかもそれ家族に言おうとしたら地位が低すぎてみんな聞いてくれない。理解者はひっこしてきた日に迷い込んできた元捨て犬のはな子だけ。

正直ここの描写なんとなく見てて結構きつい(私は)。

ある日なんかの光に包まれて、機械の体になってしまう犬屋敷さんと獅子神さん。仮面ライダーの始まりのようだ…。
その体の燃料となるのは水で、塩は体に悪いので全部吐いちゃうという仕様。そのうえ味がわからなくなる??っぽい。

そのうえ犬屋敷さんは全然体を使いこなせないけど獅子神くんはめっちゃ使いこなす。なんなら獅子神くんはそこを飛んでる鳥を撃ち殺したりしちゃうんですね。
不登校になった友達の子をヒーローになったと言って学校へ連れ出し、いじめっ子たちを撃ち殺そうとするところまで行く。

ここまで見て私はやっと気づいたのです。

あ、これ佐藤健 悪役ですね?????????

ショッカー的なものを倒す話じゃないんですね!!???

俺たちの体を返せーーー!!とはならないんですね!!!!??

映画のポスターでめっちゃクールにキメてたので宇宙と大戦争するんだと思ってた。
こう、ノリさんが1号ライダー、佐藤健の2号ライダーみたいな。
なんなら改造されたの何人かいるんだろうなって思ってた。二人だけかい。

あと私佐藤健高校生役だと思ってなかったよ。

まあ冷静に考えたらノリサンダーは別に仲間いるし電王も個性豊かなイマジンたちと2号ライダーがいるからそっか…そんなもんよね…。

獅子神くんもまあまあ不幸な子で、過去に父親が浮気して出ていったため母子家庭。そして定期的に父親と今月分の養育費?生活費?をもらいにいってしかもおそらく浮気相手とのあたたかな家庭でごはんを食べてる。

温かくたしかに迎えてはくれるけど、どういう顔して浮気相手だとわかっている家に行ってご飯食べなきゃいかんのだ。
そして母ちゃんに挙句の果て「母ちゃんすい臓がんでもう死ぬから向こうの家であなたは暮らすのよ」と言われる。

は~~~~!!地獄~~~~!!

絶対母親と離れる気なかっただろうから、普通に細々と暮らして高校卒業したら働いて、を思い描いてたんだろうけど、きっとつぶされちゃったんだろうしな。
留学とか夢のひとつにあったのかもしれない。

ただ完全に彼の首を絞めたのはかんっぜんに一家惨殺事件を起こしたせいでは…。

正直、指名手配された上にネットが面白がって実家を特定した。そして何よりマスコミが過熱報道した。
これは悲しいけど現代でもよくある風景だなとは思う。
視聴率を取るには恐怖が一番。盛り上がるなら人のディスが一番。
ネガティヴな情報は人を集めるのに役に立つ。

ただ純粋に思ったのはしおんちゃんに匿われていたときに母親が泣きながら囲み取材を受けているシーンを見て「母さんごめんね…」と泣いていたのは純粋にその涙はどうなんだと思ってた。
報道の仕方は確かによくない。だが、母ちゃんが泣いたのはお前のせいだぞ。
母ちゃんが自殺したのもお前のせいだぞ。

世界が自分と母親と友達の小さなコミュニティで出来上がっている少年の逆恨み、といえばそうなんだろうけど。

もしかしたらこのあたりは原作読んだ方が理解できるんだろうか。

犬屋敷さんは犬屋敷さんで病院で人を治して回っている。
生きていれば治療ができる。ただし、死者は生き返らせることができない。
そして死の淵をさまよっている人を回復させ、喜ぶ人の顔を見て「人の役に立ったな」と実感している。
※会社にはいっていない。

しかも家をローンで買っとるこの男。
リストラ候補にまであげられて。

純粋に家計が心配です。

ただ人の役に立つことで自己肯定感をあげて、活力にするのは悪いことではない…のかもしれない…。家族はたまったもんじゃないでしょうけど…。

なんとなく小さなヒーローになって、「助けて」というワードに敏感に反応し、全力で動くようになっていく犬屋敷さんを見ていると、役に立つことが彼にとっての何よりの嬉しいことだったんだろうなあと思った。
だから安堂くんと会えたのはあるが。

安堂くんと会うシーンではな子を抱いて決意の顔をして飛んでいくシーンはちょっと笑ってしまった。
はな子溺愛されとるな…。

安堂くんに修行をつけられるのもまあまあ笑ってしまった。
修行するんだこれ…
しかもその様子をはな子が見ててくれてる。

はな子…おまえは名犬やなあ…。

ただそのあとの獅子神くんとの闘いでなんとなくわかったのが純粋にアナログど真ん中世代とデジタルど真ん中世代の戦いなんだということ。

アナログは突然最新を与えられてデジタルネイティヴ世代に太刀打ちできるか!?みたいな…。
獅子神くんがあまりに的確に攻撃していくので「これがデジタルネイティヴ世代か…」という気持ちになった。

正直的確にツールを使いこなして自分のやりたい事をめっちゃできる人はなんだって強いので、ほんとに犬屋敷さん相手がかなり悪い。
スマホ使ってても確実に電話とLINE以外使いこなせないだろうという感じの人だし。LINEも危ういかもしれん。

そんな感じの二人なのでめっちゃ直接対決するってことはなく、ただただ獅子神くんから逃げる犬屋敷さんの構図が基本なのでばっきばきの直接対決を望んでしまうとちょっと物足りない気はする。

ところどころもやもやするところはあるところはあるのでそのあたりは原作読んだ方がよさそうだなあ。
気が向いたら読んでみよう。




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