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マーカス・ラッシュフォードがプレミアリーグ月間MVPを受賞

マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォード(24)が9月度のプレミアリーグの月間最優秀選手(Player of the Month)に選出された。

ラッシュフォードは9月、1日のレスター・シティ戦で1アシスト、4日のアーセナル戦で2ゴール1アシストを挙げ、マンチェスター・ユナイテッドが9月に記録した全4ゴールの全てに直接的に関わる活躍を見せた。

9月のユナイテッドは9日のイギリス君主・エリザベス女王2世の崩御を受け、7節のクリスタル・パレス戦(A)と8節のリーズ・ユナイテッド戦(H)の2試合が延期となったため、プレミアで試合を行ったのは上記のレスター戦とガナーズ戦の2試合のみ。それでもラッシュフォードがその他5人の猛者と言える候補者を抑えて月間MVPに選ばれたのは、やはり第6節でアーセナルをホームで撃破し、開幕からの連勝記録をストップした試合での活躍のインパクトが強いからだろう。

ラッシュフォードのプレミア月間MVP受賞は2回目

ラッシュフォードにとってプレミアリーグの月間最優秀に選ばれたのはキャリアでこれが2回目。前回は2019年の1月に受賞。この時は4試合で3ゴール1アシストを挙げていた。

ラッシュフォードのコメント


プレミアリーグの月間最優秀選手を受賞できてとても嬉しい。これを実現させてくれたチームメイトとすべてのスタッフに感謝している。

Murcus Rashford MBEの公式Instagramアカウントより翻訳

すごく気分がいいよ。(開幕2連敗した)シーズン当初はうまくいかないこともあったけど、その後に4連勝できたのはとても素晴らしいことだ。まだ監督(エリック・テン・ハーグ)とは仕事を始めて日が浅いし、彼の望むことをより良く実行しないといけないと思っている。だけど、まだまだ先行きは長いし、グループとして力を合わせて取り組むことを楽しみにしているよ。
9月で最もお気に入りの瞬間は(ゴールではなくて)アシストなんだ!(アーセナル戦で)アントニーがデビューゴールを決めた先制点、あれは物凄い得点だったし、あのゴールが僕らにパワーと勇気をくれたんだ。彼(アントニー)がチームに加わって、すぐにゴールしたのは本当に大きな意味があるよ。

Premier League公式HPより翻訳

ラッシュフォードの人間性

上記のコメントにラッシュフォードの人柄がまさに滲み出ている。自身が4ゴールに関わってプレミア月間MVPに選ばれたというのに、最もお気に入りの瞬間はチームメイトへの「アシスト」だとあっさりと言ってのける利他的な性格。そしてラッシュフォード個人のことを質問されているのに、気づけばデビューゴールを決めたアントニー(He)やチーム全体(We)に話が移っている。こういった人柄、周囲との協調性や自身が育ったクラブに重きを置くラッシュフォードの姿勢から学ぶところは本当に多く、彼がオールド・トラフォードでいつも最大の声援を受ける理由、人気ぶりもよく分かるというものである。

その他の候補者

ちなみに、ラッシュフォードと並んで9月の月間MVPにノミネートされていたのは以下の5人。

・フィリップ・ビリング(ボーンマス)
・ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)
・ピエール・エミール・ホイビュルク(トッテナム)
・アレックス・イウォビ(エヴァートン)
・ジェイコブ・ラムジー(アストン・ヴィラ)

なお、8月度のプレミアリーグ最優秀選手には衝撃のデビューを果たしたアーリン・ホーランが選ばれている。プレミアデビュー直後ということで、当然初受賞であった。

また、これも補足だがマンチェスター・ユナイテッドの9月のクラブ月間最優秀選手にはクリスティアン・エリクセンが選ばれている。ただ、これはプレミアに加えて2試合を戦ったヨーロッパリーグの出場、成績、活躍も加味されているので、リーグ全体でMVPに選ばれたラッシュフォードの受賞と何ら矛盾するものではないので念のためここで触れておく。(ラッシュフォードは後述の理由でUELの2試合はともに欠場)

ラッシュフォードのこれから

まだ2022-23シーズンが始まったばかりで気が早いが、ラッシュフォード個人としてはプレミアリーグで過去に挙げた自身のシーズン最多得点数を上回ることが分かりやすい目標になるだろう。ラッシュフォードのリーグでのシーズン最多ゴールは19-20シーズンの17ゴール(31試合出場)。怪我もありフォームを崩した昨シーズンは25試合4ゴールに終わり、シーズン2桁ゴールも3年連続で途切れた苦しい1年だった。だからこそ、今シーズンのこのスタートダッシュおよびMVP受賞はラッシュフォード本人にも、サポーターにとっても幸先の良い出来事と捉えて差し支えないだろう。実際、復活の狼煙と見ているサポーターも多いはずだ。

クリスティアーノ・ロナウドのフル稼働が見込めない中、ラッシュフォードが過去イチのパフォーマンスを披露し、維持し続けられるようであれば、プレミアでTOP4フィニッシュ(=来季UCL出場権の獲得)、ヨーロッパリーグ制覇(=来季UCL出場権の獲得)、さらにFA杯制覇あたりも現実的な達成目標になってくるだろう。クラブとしてこれらのタイトル獲得あるいは最終順位の達成、そして個人としてシーズン20ゴールの到達についても現在のラッシュフォードの調子、そして彼を支える2列目にアントニー、ブルーノ・フェルナンデス、ジェイドン・サンチョ、ボランチにカゼミーロとエリクセンを擁する今のスカッドの実力(総合力)を考慮すれば充分達成可能と捉えるのも大袈裟ではないはずだ。

W杯出場の見込み

もう一つラッシュフォード関連で気になるのはイングランド代表でのプレーだろう。上述の通り、昨季は負傷の影響もありシーズンを通して不安定だったこともあり、代表には去年夏のUEFA EURO 2020を最後に招集されていない。好調を維持していたため、今回の9月のインターナショナル・マッチウィークでは久々に代表復帰も囁かれたが、残念ながら9月4日のガナーズ戦後に筋肉系のトラブルが発生したことを受け、同じく復調してきたサンチョと同様に選外となった。1年以上代表招集を受けておらず、直前のラストチャンスも新たな負傷で参加できずーー、ここまでくると普通であれば11月に開幕するカタールW杯への選出・出場は厳しいとみるべきだが、以下のファクターを理由に個人的には現時点であきらめる理由は全くないと考えている。

①代表にはハリー・ケインとデクラン・ライスを除いて絶対的なレギュラーがいない(そもそもシステムすら固まっていない)
②ウイングはスターリング、フォーデン、サカ、グリーリッシュなどメンツはいるが誰も確固たる地位を築けていない
(スターリングは正直固いと思っているが…)
③ケインのバックアップを務められるCFが皆無
④イングランド代表は現有戦力で直近6試合連続で勝利なし
(0勝3分3敗)
⑤今大会は23人→26人に登録メンバーの枠が拡大

これらラッシュフォード個人にとっては追い風(本大会のメンバー入り)になりうる要因が現実に存在し、ラッシュフォードにウイングとセンターフォーワードの両方の適性があり、かつ今回の月間MVPに象徴されるように調子が上向きなのであれば、イングランド国民の世論などを抜きにしても代表監督のガレス・サウスゲートにとって無視できない存在になるはずだ。ネーションズリーグで全く結果が出なかった今、6試合で4ゴールしか演出できなかったサウスゲートが攻撃において局面を変えられる選手、得点を奪える選手を喉から手が出るほど欲しているのは火を見るよりも明らかだろう。
(そもそもユナイテッドでレギュラーでないマグワイアが代表ではスタメンとして選出され、同じチームでエースとしてプレミアの月間MVPにも選ばれるラッシュフォードが選外になる世界線の方が非現実的な気もするが…)

そういった目前に迫った代表の一大イベントなども頭の片隅に置きながら、代表ウィーク明けのラッシュフォードのプレー、およびマンチェスター・ユナイテッドの試合運びをフォローするのも楽しみ方の一つだろう。現在は重くない負傷からの復帰を目指しており、まずはお隣さんとのダービー・マッチが控えているが、果たして…

ラッシュフォードの負傷からの回復状況

現地紙マンチェスター・イブニングニュースの報じるところによると、ラッシュフォードは同じく負傷を抱えていたマルシャルとともに金曜のトレーニングを問題なくこなしたそう。シティとのダービーに間に合う(起用できる)可能性は高いようで、もし先発で出場できるレベルにまで回復していればユナイテッドにとっては大きな後押しとなるだろう、とのこと。ダービーだけでなく、W杯を目指す奮闘、そしてその先も続くであろう活躍まで含めてとんでもなく楽しみである。

※カバー画像はManchester United公式Twitterアカウントより引用

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