ちょっとヤバく、ちょっと嬉しい、でもやっぱりヤバい江東区の状況~その2:解説

前回から続くポストのタイトルですが、「なんでちょっとヤバかったり嬉しかったりするの?」とお思いの方もいるでしょう。
今回のポストでは、前回のタイムラインに解説を加えながら、その疑問に答えようと思います。

昨年(2018年)6月に、「同性パートナーシップの公的承認についての陳情」(便宜的に「承認陳情」と呼びます)が提出されました。
このような陳情が出されていたことを、当時私たちは恥ずかしながら存じ上げませんでした(この陳情は私たちが出したものではありません)。
けれど、このような陳情が提出されること自体は素晴らしいことだと思っています(ただし、私たちのグループは同性の恋人に限定されないパートナーシップの保障を求めているのですけどね)。

しかし、このような陳情に待ったをかけるようなバックラッシュ的な陳情が同じ年度に2件出されました(それぞれ便宜的に「しない陳情1」「しない陳情2」と呼びます)。
これらの陳情は、同性パートナーシップが「社会の安定した秩序と発展を揺るがす」、「青少年の淪落や家庭崩壊に拍車をかける」といった荒唐無稽な主張を展開しています。
けれどむしろ、お互いをケアしあう特定のパートナー同士の生活が保障されないこと、しかもそのような排除が性に関する偏見・差別に基づいていることこそが、「社会の安定した秩序と発展」への妨げです!また、そういった議論は多様な家族のありようを無視することで、「家庭崩壊に拍車をかける」どころか家族の成立自体を阻んでいると言えるでしょう。
また、「しない陳情1」は、意図的かどうか不明ですが、パートナーシップ制度と婚姻制度を混同しています。
実際には婚姻制度でカバーされない人々の生活保障を求めるのがパートナーシップ制度であるにもかかわらずです。
これらの陳情は誤解や曲解に基づいていると判断せざるをえず、私たちはこれらを知ったとき、「ヤバいよね」と率直に危機感を抱きました。
内容のおかしさはもちろんのこと、その手段が2000年代前半のジェンダーフリー・バックラッシュにもつながるように思えたのです(ヤバい陳情とジェンダーフリー・バックラッシュとのつながりについては、稿を改めてお話しできればと思います)。

結局、2018年度の最後の区議会企画総務委員会では、「承認陳情」が「趣旨採択」、「しない陳情1、及び2」が「継続審議」扱いになりました(「趣旨採択」とは、「採択」よりも弱めの表現のもので、様々な理由により実現が困難なものの趣旨には同意できる、という意味の採択です)。
共産党や民政クラブ(旧民主党系会派)は、「承認陳情」を採択、「しない陳情1、及び2」を不採択にしようとしたものの、自民党及び公明党の反対があったため、このような結果になったのです。
私たちからすれば、このような決定は満足できるものではありませんでしたが、同性パートナーシップ制度を求める陳情が「趣旨採択」とはいえ認められたこと、「しない陳情1、及び2」は形式上「継続審議」だが年度末のため実質的には審議打ち切りであることは、(ちょっとだけだけど)嬉しいものでした。

けれど、今年度6月、地方選後初の企画総務委員会で、またしても「同性パートナーシップを創設しないよう求める陳情」(これは、「しない陳情1」の陳情者がほぼ同一の文面で提出したものなので、「しない陳情1-2」と呼んでみます)が提出されました!

やっぱり「ヤバい」のです。

私たちは状況を少しでも好転できるよう活動していきたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?