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「今」に名前をつけて


 第99回天皇杯準決勝で宇都宮ブレックスが敗退した日、船橋アリーナからの帰り道でこんなツイートをしました。

 天皇杯で初優勝するチャンスは来年もあるでしょう。でも、「今のチーム」で天皇杯初優勝するためにはあの日勝つしかなかった。
 その事実に気付いてから、ずっと考えていることがあります。


 わたしは2023年のW杯で比江島慎さんを応援しようと思い、その比江島さんがかつて自分の住んでいた宇都宮のチームに所属していることを知り、宇都宮ブレックスを応援しようと決めました。

 アヒルの雛が初めて見たものを親だと思うように、わたしにとって2023-24シーズンのブレックスが「宇都宮ブレックス」です。
 でも、そうじゃないことも分かり始めています。

 オールスターでジョシュ・スコットさんが比江島さんへ楽しそうにアンスポ未遂した姿とか。佐賀戦でチェイス・フィーラーさんがいつまでもにこやかにブレックスベンチに座っていたこととか。
 共に戦った大切な仲間と、いとも簡単に離れてしまうことを少しずつ学び始めています。

 あるいは、YouTubeで見かけたDJと紳司が大阪のユニフォームを着てる姿とか。ギャビンが受け入れてもらえるか心配だったと話したこととか。初代モテ男の称号を手に入れた時の比江島さんは三河所属だったこととか。(だからこそfake newsでナベさんと一緒なのだけども)
 違うチームにいたみんなが今一緒に戦っているように、いつかは別々になる日が来る。

 「今」は永遠ではない。いつかは離れ離れになってしまう。
 でも、わたしがこんなに愛してやまない「今」を永遠にする方法が一つあります。

 それは、「2023-24シーズン優勝チーム」という名前を手に入れること。

 名無しの存在はいずれ世界に埋もれてしまう。でも、名前があれば。
 その名前を覚えている人がいる限り、世界に在り続けることができる。
 ファンは絶対にその名前を忘れることはないから。
 名前をつけられたら、今のブレックスは永遠の存在になれる。

 2023-23シーズンの宇都宮ブレックスに、永遠の存在になってほしいのです。



 ブレックスファンになろうと決めた時、わたしは自分に誓いました。
 健やかなる時も病める時も、喜びのときも悲しみのときも、必ず応援し続けると。わたしにとってファンになるとはそういうことだから。疫病神になってしまったらどうしようという不安はありつつ、とにかくいつでも応援しようと思いました。

 その不安を杞憂だったと言っていいかどうかはわかりませんが、ありがたいことに、今シーズンのブレックスは泥臭く戦って、一勝ずつ積み上げて、今の位置にいます。
 その過程を見守る中で、選手のみんなの言葉を少しずつ知るうちにこのチームに優勝してほしいと強く思うようになりました。

 去年の悔しさ。
 今年にかける思い。
「勝てる」という自分達への期待。

 コート内外で仲が良くて、ヘッドコーチが言うように「いい奴ら」で、それだけでも見ている側は楽しいのに、勝つための努力を惜しまない人たち。
 泥臭く守備を頑張ること、ルーズボールを最後まで追うことなどに象徴されるようなBREXMENTALITYは、ブレックスの一員であることの誇りでもあるのだと思っています。
 自分のチームへの誇り。勝利への執念。ファンへの想い。

 この人たちが、わたしは、どうしても大好きです。
 偶然出会って、懐かしい宇都宮の名前に応援しようと決めて、始まりはたったの半年前だけど。
 だけど、宇都宮ブレックスを心から好きだと言えます。

 日に日にブレックスを好きだと思っています。
 何があろうとファンでいるつもりです。
 いいときはもちろん、悪い時も応援するつもりです。
 でも、それとは別に、今シーズンの「今」のチームに優勝してほしいと願うようになりました。

 わたしが出会った「今」の大好きなブレックスに、名前が欲しいです。
 ブレックスのみんなが今一番ほしいと思っている名前。

 どれだけ時が経とうと、2023-24と言うだけで「あー、あの!」と思い出されるチームになってほしい。ファン誰もが選手14人(+エドワード・モリスさんの15人)を挙げて語り続けてしまうチームになってほしい。
 ブレアリに増えたペナントをいつまでも眺めたい。
 来年度のユニフォームに新しくついた三つ目の星を見るたびに、誇らしいような泣きたいような気持ちになりたい。


 越えなきゃいけない壁はまだいくつもあるだろうし、簡単なことではないのはわかってる。

 それでも、その名前にふさわしいチームだと信じているから。

 その名前で、「今」を永遠にすることができるから。


 残り21試合、そしてそのあとのCS。
 ブレックスのみんなが最後まで怪我なく、全員がBREXMENTALITYを発揮できたと、全てやりきったと思えるような試合ができますように。
 わたしも、最後まで心から応援することを誓います。共に戦わせてください。

 大好きなチームに出会えたことに感謝しつつ。

 GO BREX!!

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