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パセミヤが南インド料理を作る理由

数年前、個人的な経験で、甲状腺の治療で服用している薬の副作用が強かったりで治療方針が変わりアイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)を受ける際に厳密なヨウ素制限食を2週間ほどする必要があり「食べる」という行為についていろいろ考えるきっかけのひとつになりました。嗅覚受容体など風味知覚の仕組みもあれこれ調べて今はそれがとても役にたっているのですがそれはまた改めて。食材としては昆布や海藻類は絶対ダメで、そのほか海の物、和風と名のつくもの、外食やスーパー、コンビニで販売されているものはポテトチップス、お茶、ヨーグルトなど意外なものにまで昆布が含まれるので入ってないのを捜すのが結構大変で結局自炊しました。今でも食べてはダメではないけれど食べ過ぎには注意なものが結構あります。

野菜のダシを多めに作っておいて鍋にすると具で変化をつけられるのでおススメだったりします。鶏肉や豚肉、トマトなどが意外とダシが出るのでキノコなどとの組み合わせは簡単で便利でした。玉ねぎやにんにくをしっかり炒めると味に厚みが加わりますし。今にして思うとチキンウプカリに近いものを知らずに作っていたようなもので。

今の食習慣を踏まえてこれからの時代どんな食事がいいのかを考えた時に店側としては、カロリーや栄養のバランスを考えて、油、糖、塩を減らすのは当然として、アレルギーへの対応、ヴィーガン、ベジタリアンの方や文化的にタブーとされてる食材への対応と真面目に考えるとかなり難易度が高い。

生産、流通、消費のどのセグメントでもエコロジカルであるとともにエシカルである事も必要かと思うのですが、ガタリのいうエコゾフィー、ティモシー・モートンのいうダーク・エコロジー、的な視点を踏まえるとどうなるかっていうのは個人的な課題で。地方からの発信であったり、自然回帰的な文脈がどうも単なる再領土化または拡大・再編入な要素も紛れ込みやすいのではないかと感じたりします。それよりは現状を踏まえた上でどんなネットワークを築き上げていくか、提示していくかに興味があったりします。

もともと海外の料理本や雑誌をチェックするのが好きだったのですが健康的な食生活(これもちょっといろんな考えがあるので悩ましいですがバランスのいい食事くらいで)を志向する方のレシピに結構な割合で地中海系とは別にインドや中近東的な料理の要素が含まれることが多く。振り返ると2005年くらいからインドから中近東、アフリカなどのレシピが載ってる本を集めてたことに今更ながらに気づく。

野菜を中心とした組み立てで、過度なコクや旨味に頼らず、調理過程がシンプル。動物性食材はオプション的な位置付け。油や塩は必ずしも少ないわけではないですがスパイスやハーブとの兼ね合いもあり前面には出てきません。

いつからかわかりませんが料理についてのテキストでPlant-Basedっていう言葉が目立つようになって来たりもしています。国単位の料理の区分ではなく食事の志向性で考えると食べるのは毎日なのでバリエーションはいろいろあった方がいいと思っています。

パセミヤの場合はお好み焼き、焼きそば、焼きうどんで小麦粉は提供するのでそのほかの料理には小麦粉が含まれず、野菜中心、他の料理と比べてアクセントとなる要素が多いものをとなった場合に個人的な嗜好と関心から南インドや中近東、マグレブなどの要素をもう少し増やそうと思っています。

元々フレンチやイタリアンで働いてたこともあり大枠のロジックはそちらを踏まえ、ワインを一方の軸としつつも料理をもう少し多様な要請に対応していけたらなと。けどまずはなによりも日常の中で1人ででも複数人でも美味しく楽しめ、「食べる」事の根源に触れる何かをお客様と一緒に探っていけたらなと考えています。

この三ヶ月ほどみっちり調べて試してある程度の法則がつかめてきたスパイスとワインの組み合わせについてはまた改めて。

自然派ワインとお好み焼きパセミヤ Pasania
大阪市北区中之島3-3-23 中之島ダイビル3階
TEL ->06-6225-7464
19:00 - 23:00 (最終入店)、不定休、要予約
予約ページ https://pasania.osaka/booking-form/
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自然派ワインとお好み焼きパセミヤ Pasania店主。某店ワインペアリングのアドバイザー、たまに専門学校の社会人向け開業支援クラスの講師も。ご予約、取材依頼、講師などのお仕事の依頼お待ちしております。