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自創作を振り返る#6『また明日』

 概要
6本目『また明日
 本編・・・不思議な能力学園
 更新日・・2021/07/31
 注意事項・本編微ネタバレ有/よその子お借りしてます

 不思議な能力学園の本編のすこ~し前の話。千薬の年齢が20歳のとき。
 これは創作ブログを作ってから一番最初に更新されたオリジナルの能学の短編。青い空白の作品は気が向いた時にちょこちょこ移行させているくらいで、実は全ての移行が完了しているわけではない。
 創作ブログを作って一番最初に書いたものは実は別であるんですが、諸事情により作品を消すことになってしまったので、一番最初に書いた作品ではないということだけ注釈しておきます。


あらすじ
 千薬は兄弟喧嘩に巻き込まれ、拗ねた勢いで学生時代の旧友、闇之豹那の家に転がり込んでいた。
 日頃姉……ではなく、”兄”として一家の長を務めることに千薬は辟易としてしまったのだ。
 気分転換に外へ行こうと千薬は豹那を外へ連れ出す。
 連れ出した先は、かつて二人が通っていた学園。豹那の心臓である、千本桜だ。


振り返り・技術
 ぐあ~~~ッ視点移動が気になる!! 前回より特にブレブレ!
 書いてる時は中々気付かなくて、書いて投稿してすぐの時も中々気付かなくて、これだけの時間を経てようやく違和感に気付くわけです。
 読んでて気付いたけど動作描写は正直今よりこの頃の方が上手かったようにも思う。なんというか、説明的でないというか、かなり自然に見える、気がする。
 出来ることなら成長だけし続けたいところだけど、やっぱり時間が経つごとに苦手になってしまう部分もあるね。なんとかしないと。
 自分の作品の強みであるという自負をしている部分でもあるけど、会話のテンポはやっぱ良い方だなって思います。軽快に行きたいところだけど、あんまりその要素だけが強くなるとシリアスシーンとかの重みが薄くなっちゃうしな~。
 要研究。


振り返り・内容/キャラ
 読んでて思った、この千薬相当疲れてる。
 こう、ネタが全部ド滑りしてる感じ(普段からド滑りしてる? それはそう)。ド滑りしてるっていうか、なんか、旧友の手前無理して前の頃を保っている感じ。装ってるとも言うかもしれない。ワードセンスのキレがない。
 でも前述したように、この頃の千薬は20歳なので、実は自分の在り方にすごく悩んでた時期でもある。これは詳しくは裏話とか思い出話のところで深掘り出来そうだったらしようかな。
 自分で言うもんじゃないかもしれないけど、これかなり綺麗な話だなって思った。大人になっちゃったな~って空気感が凄い好きかもしれない。空気感ってなんだ、小説を読んで出てくる感想じゃないような気もするが。
 綺麗な話だな~って思うだけに、視点ブレだけが本当に勿体ないな~。


裏話とか思い出話
 千千千家…千薬の家には10人を超える兄弟が居ます。そのうち千薬と血が繋がっているのは3人、それ以外は養子縁組の全くの他人です。
 千薬は施設に入れられた子達を保護する活動のようなものを学生の頃からしていて、その中でも積極的に能力者の子を保護。中には非能力者の子もいるけど、半分以上は能力者なので、一種の能力者の巣窟でもあるという。それがバレて大事件になっちゃう話を書いたことがあるんだけど、これも諸事情で消しました。結構頑張って書いた話だけにいつかリメイクしたいなーとは思ってる。
 話を戻して、千薬がなんでそんなことをしてるかっていうと、自分が能力者なのが一つ。それから前記事の「酷い扱い」を受けたことが一つ。もう一つ生々しい、かつ今までしてこなかった話をすると精神がぶっ壊れてて、誰かを助けなきゃいけない、という一種の強迫障害を患っています。理由は後述。
 元々相性の悪い二人…フィデリオとをとめ。二人とも千薬に保護された能力者の子なんだけど、フィデリオの千薬への感情は信仰とか崇拝に近いもの。をとめは感謝はしてないことはないけどそれはそれとしてなんだかなぁって懐疑的な部分がある。千薬の強迫障害に薄々気付いてる。
 それに加えてフィデリオは気が弱くて自己主張もそんなにせず、逆にをとめはガンガン発言するタイプ。フィデリオみたいにおどおどされるとムカッ! とくるので、それが原因であまり相性は良くない。をとめが一方的にガン詰めするんだけど、フィデリオも能力の影響で幼い部分があるから、あんまり続くとカッとなって言い返す。
 ただし、フィデリオの能力が陰陽五行に由来するものなので、能力バトルになるとフィデリオが格上。そういうのもあって能力喧嘩は禁止してる。
 千薬「オレサマちゃんもうおにいちゃん疲れたぁ!!」…姉でなく兄。というのも、千薬には血の繋がった弟が2人と妹が1人いるんだけど、実はもう一人、兄が居ました。
 過去形ってことで察してほしいんだけど、千薬はその兄の代わりを務めるために、どちらかというと自身への鼓舞として「兄」であろうとする側面がある。学生の時は特にそれが強くて、兄貴分っぽい喋り方をすることも結構あった。元の千薬の性格は興味のあることや知的好奇心を刺激するものにしかはっきりとした反応を見せなくて、兄弟喧嘩があっても、自分が巻き込まれさえしなければスルーしてたくらい。ずっと一人で本読んでたり勉強したりするのが好き。でも「兄」になることで大人しい自分を殺す事を選んで、家でも外でも常に気を張りっぱなし。
 ここで先述した強迫障害の原因に触れるんだけど、千薬の兄は千薬が原因で命を落としています。千薬も賢いのでそれを知らない振りも出来ない。でも時間は戻せないし、失った以上手元に戻ってくることも無い。贖罪だとか後悔だとか、いろんな複雑な感情が雁字搦めになって、「誰かを助ける」ことでしか自分を許せなくなってしまうのでした。
 ちなみに「オレサマちゃん」っていう独特な一人称もお兄ちゃん譲り。さらにその原因は、千薬がずっと小さい頃にやっていた戦隊もののブルーの一人称でした。お兄ちゃんがよくブルーの真似をしてた。
 ロシアと日本を行き来…科学者の顔も持つ千薬、研究所が二つあって、そのうちの一つがロシア。両親も科学者の科学者一家というやつで、特に父親は全ての教科書に名前を連ねるほどの脅威の頭脳の持ち主。名前からもじって「万物の知」という通り名のようなものもありました。
 それだけの頭脳の持ち主かつ、幅広いことに深い研究をするにはどうしても土地が必要で、広大な土地かつ、気候の影響で人口に偏りのある国としてロシアに研究所を持っています。
 簡単な区別として、ロシアの研究所は「千千千家」のもの、日本の研究所は「千薬」のもの。てかこれもしかしたら初出し情報かもしれない。
 千薬「忘れられてたら、怖ぇもん」…これは本編にも出ている情報なので出しますが、豹羅さんにはわけがあって記憶がありません。後々出てくる短編もあるんだけど、千薬はもちろんそのことを知ったうえでこの発言をしています。
 忘れられてることは分かってる、話には聞いてるから。だけど、それはそれとして直視したくない。みたいな、そんな感じ。ここは豹那さんも同じ感情だからこそ、千薬の言葉に何も言えなくなってしまうわけです。
 双子の兄に忘れ去られている恐怖を豹那さんが抱くのは当然としても、千薬も似たような感情を抱いているので、学生の時から千薬にはうっすらと好意はあったのかもしれないね。本人にその自覚があるかないかはともかく。
 元々千薬が臆病というのもあったかもしれないけど、仮に記憶を失ったのが竜也くんや狼華ちゃん、或いは虎幸さん、それこそ豹那さんだった場合、千薬は同じように怯えていたのだろうか? という疑問は私としても思うところではあります。
 千薬「また明日」…作品の冒頭部分にも出ているように、千薬には失踪癖のようなものがあります。前述の強迫障害に由来するんだけど、ジッとしてるのが駄目なんだよね。失うのが怖いからってのもある。あのー、よく話題になるアレだね、嫌われる前にリセットする、みたいな、リセット症候群?
 だから「明日」なんて約束をしても、千薬はその明日の約束を守ることって実はほとんどない。それこそ、科学者としての仕事でもない限り。責任が無いことに関しては本当にルーズ。
 今回の件に関しては「明日会えるわけ無いじゃん」ってツッコミが入るのは100も承知で、それでも「また明日」って表現を使ったのは、千薬にとって失いたくないものだったから。守れない、無責任な約束をしてでも、豹那さんや学園との縁を繋ぎとめておきたかった。
 他の言葉だったら、もしかしたらもう会えなくなるかもしれない、今度会った時には忘れられてしまっているかもしれないっていう漠然とした不安があるから。千薬は「明日」という具体的な日時を使って、「今日」をその場所に留めておきたかったのです。


感想
 この頃の千薬の迷走気味っぷりだとか、時間が経って、割り切るしかないと分かっていてもそれを許してくれるほどの時間が経っていなくて、それでも平気を装うしかない豹那さんとか。
 その辺の微妙~な描写が妙に上手いなって思いました。読み返しててね。
 豹那さんと千薬の二人の話は、全体的にはかなげな雰囲気の作品が多いなと思う。元々豹那さんにそういう、綺麗なもの特有の儚さや美しさがあるのもそうなんだけど、そんな豹那さんと一緒に居るときだけ千薬もまた少し落ち着いた雰囲気になるというか。
 多少つられてるのもあるかもだけど、千薬は元々かなり大人しい子なので、素の自分をほんの少し出せる唯一の相手でもあるんだろうな。

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