見出し画像

アマチュアサッカー選手の恥骨過重症と鼠径部痛の非外科的治療

▼ 文献情報 と 抄録和訳

アマチュアサッカー選手の恥骨過重症と鼠径部痛の非外科的治療:前向き二重盲検無作為化対照研究

M Schöberl, L Prantl, O Loose, et al.: Non-surgical treatment of pubic overload and groin pain in amateur football players: a prospective double-blinded randomised controlled study, Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc (IF: 3.166; Q1). 2017 Jun;25(6):1958-1966.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] アスリートにおける鼠径部の痛みの発生率は着実に増加している。鼠径部痛を伴う症候性恥骨過重症や無菌性恥骨炎は,アスリートのオーバーユース損傷としてよく知られており,誤診も多い。本研究では,迅速なサッカー復帰のための標準化された非外科的治療の利点を検討した。

[方法] プロスペクティブな二重盲検対照研究において,鼠径部の痛みと恥骨過重症の臨床症状を有する143名のアマチュアサッカー選手を1年間分析した。無作為化された2つの研究グループは,衝撃波治療の有無にかかわらず集中的な物理的リハビリテーションプログラムに参加した。対照群は,標準的なリハビリテーションプログラムには参加せず,スポーツ活動を中止しただけであった。治療開始から1ヵ月後,3ヵ月後,1年後にフォローアップ検査を行った。エンドポイントは,ビジュアル・アナログ・スケール(VAS),機能テスト,サッカー復帰時期,再発した愁訴,MR画像の変化であった。

[結果] 鼠径部の痛みと無菌性恥骨炎を持つ44人のサッカー選手が2つの研究グループに無作為に分けられ,26人が衝撃波治療を受け,18人は受けなかった。臨床検査の結果,恥骨過重症は複数の場所に存在することがわかった。衝撃波治療を受けた選手は,受けていない選手に比べて,VASでの痛みの軽減が早く(p < 0.001),サッカーへの復帰も有意に早かった(p = 0.048)。両研究グループの44名の選手のうち42名は,治療開始後4ヵ月以内にサッカーに復帰し,外傷後1年以内に鼠径部の痛みが再発しなかった。対照群の51人の選手は240日後にサッカーに復帰したが(p < 0.001),そのうち26人(51%)が鼠径部の痛みを再発した

[結論] スポーツ選手の恥骨過重症と恥骨炎の治療には,非外科的療法が成功している。局所治療としての衝撃波治療は痛みを大幅に軽減したため,外傷後3ヶ月以内にフットボールに復帰することができた。集中的な理学療法を成功させるためには,早期の正しい診断が不可欠である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

「衝撃波」シリーズ、ラストです(笑)。キャリーオーバーがしっかりなされているところが面白い。

少しでも参考になりましたら、サポートして頂ければ幸いです。