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実際に体験してみないと本当の恐怖なんて分からない


ピピピピ…ピピピピ……


ああもう…うるさいなぁ


昨晩せっかくかけた目覚ましのアラーム音も
むなしく、スイッチを強く叩いて
止めた後私は今日もいつもと同じように
睡魔の誘惑に負けもう一度
布団にゴロンと横たわる


時刻を見ると8時15分


マズいなぁ…頭の中ではちゃんと分かっている


朝食を食べしっかり朝の支度を整えてから
余裕をもって家を出るためにはもうそろそろ
布団から起き上がらないといけないはずだ


頭では分かってはいても、自分の
今抱えている睡魔によって体が
思うように言うことを聞いてくれない…


あと10分だけ…それくらいなら…いいよね


この状態でゴリ押しのアラームもかけずに
10分きっかりで起き上がろうなんざ
夢のまた夢、というところで
あるのだが


私は自分に負けゆっくりとまた
瞼を閉じてしまったのだ


これが全ての恐怖の始まりーーー



私はある夢を見た


舞台はとある都内にある映画館


ここはどうやら最近オープンしたばかりの
最新設備が揃った映画館らしく
私の見る回も周りはほぼ満席、
劇場内は今か今かと作品が始まるのを
期待した目で待っている人で溢れていた


と、次の瞬間劇場の中が暗くなり
自分の座っていた席がいきなり
回転を始めた


これはどうやら映像や音に合わせて
席が回転したり振動がそのまま
伝わるようないわゆる4DXのような
仕組みになっているようで、
それを体験した人々からは歓声が
響いていた



私が今日見るのは今巷で話題の
ゾンビ映画だ(ここは夢でもお決まり)


本編が始まり私たちはゾンビ映画に
ハラハラドキドキしつつ、時々
発生する4DXも共に楽しんでいた


しかし、映画も中盤に差し掛かった頃

何だか劇場の中で不穏な空気が流れ始めた


さっきから何だか騒がしい…
ゾンビ映画であるのだから多少の
銃声やパニックになった人々が逃げ惑う
様子、ゾンビのおどろおどろしい声が
入るのは普通のことであるのだが、

そういったシーンでないときでも
騒音は劇場内に響いている…



何か外でトラブルでもあったのだろうか
そう脳裏に浮かんだ時、
劇場から外へ通じるドアがバンバンと
すごい勢いで叩かれる衝撃があった


「あれ…何?」


誰かがそう悲鳴のような声をあげた次の瞬間、ドアが一斉にバンっ!!!と
開き大量の……今まさにスクリーンで
眺めていたゾンビ達が劇場の中に
一斉に侵入してきたのだ


一瞬でパニックに陥る劇場内


4DXであったため上映中も
席から体が離れぬよう、観客たちは
シートベルトのようなものを
体に巻き付けていたが

逃げようかも暗闇の中でそれが
手に巻き付き中々外すことができなく
なってしまったことも相乗し
それが人々の恐怖心をより
一層強くさせることとなった



私も気が動転しとてもじゃないが
普通の思考でいることはできなかったが
何とか自分の体に巻きついたベルトを
外し逃げ惑う人々の群れをただ
呆然と眺めていた


こんな事が…現実に起きるのか……?


さっきまでスクリーン上で起きていた
出来事がまさか自分の身に降りかかる
ことになるなんて…


どうしよう…ゾンビパニックになったら
面白そう、なんて考えたこともあったが
もはや私の頭の中は真っ白になっていた


と、その時
真っ暗であった劇場内に照明が
いきなりパッとつき


先程まで叫び声を上げて暴れていた
ゾンビの群れの動きがいきなり
ピタッと静まった


一体何が起きたのか
展開の速さに頭がついていくことが
できない観客たち…


「皆さーん!これはこの映画と
この劇場のオープン記念の特別な
ドッキリですよ~!!!」


ここの館の責任者らしき人が
ニコニコと満面の笑みを称えながら
先程まで映画が上映されていた
舞台の上にゆっくりと現れた



なんだ…これドッキリだったのか…



ドッキリを仕掛けられたことに対して
若干の不満を呟く者もいないことは
なかったが皆実際にゾンビパニックが
本当に起きた訳ではなかったと
いうことを知り安堵を覚えているようで
あった


「申し訳ありません、なお
中断してしまった内容につきましては
今から再度上映をさせて頂きますので
皆さんもう一度ご自身の席におつきください」


まだ若干の動揺が観客の中に
見受けられたものの
皆その言葉を聞きゾロゾロと
自分の元いた席につこうとする


私もそうしようと思い
席の番号を再び確認しようとしていると
後ろから何やら観客同士で
揉めているとみられる声が聞こえてきた


「だから…もうそういう演出は
いいんですよ。ネタばらしだって
あったんだから」


「誰の指示が知りませんけど
もう僕自分の席に戻りたいんで…ちょ、
何すっ……うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



バッと声のした方を振り向くと
そこには男性が一人の人間の上に
のしかかりうごめいている様子があった


しかし、明らかに様子がおかしい


初めはジタバタと暴れていたその
人間もやがてパタッと身動きをとらなく
なった


周りには、おびただしい量の、血……



ちょっと君君、もうドッキリは
終わったから帰って大丈夫だよ


他のスタッフと思われる人がいつまでも
男性の上にのしかかり離れようとしない
者の肩をたたき引き剥がそうとする


しかし、ここで私は言いようのない
恐怖心を感じていた


違う、あれは作り物なんかじゃない…
あれは、本物の……




プツッ



再び目を覚ました時、時刻は
9時45分を迎えていた



遅刻、確定。


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