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花魁の覚悟

花魁道中
美しく着飾り、遊郭の中を練り歩く
行列を仕立ててゆっくり、優雅に練り歩く

わっちは器量良しでも根性悪の花魁でありんす
愛想なんか振りまきやしません
流し目一つで男を虜にしやす

わっちは身売りされ、禿となり
足抜けしては折檻され
稽古に明け暮れ、教養を叩き込まれ
自由なんて言葉知りやしません
この大門の外も知りやしません

わっちの姐さんは間夫に殺されやした
心中しておくんなんし、と言い
一人だけで逝きやした
惚れた男に命取られるなんて
殺して逃げるような男に惚れるなんて
浮かばれねぇし、やりきれねぇ

女郎は惚れたら最後、苦しいだけ
根性悪の姐さんの唯一の教え
わっちはその根性悪と教えだけ引き継いで
もって生まれた器量と意地、手練手管で姐さんと同じ花魁になりやした

身請けなんていりんせん
妾という名の飾り物
夫婦になれてもこころがなければ
苦労しかありゃしやせん
わっちの人生、この遊郭で終えましょう

花魁になっても誰もこころはくれやしない
わっちのこころもあげやしない

ねぇ、姐さん
わっちは最期まで苦界に身を沈めやすが
けふの月のおかげで
キセルがうまいでありんす

月とだけ孤独な夜を共にする
月なき日誰と孤独を分かち合う


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