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あの時のお台場観覧車をしまいにきた。

とてつもないエモいことをしようとしている。

UNIQLOで買ったJ.W.Andersonの黒いベルテッドラペルワンピースをついにおろした。


買ったのは、春くらいなのに、
仕事以外で外に行くこともほとんどなく、
友達と会うことも、デートのご予定もなく
やっとおろした。



下に着る白いブラウスをきてワンピースを羽織って、いつもうまくできないこういうリングベルトも今日はなんとか綺麗にまとまった。


晴れているようだから、白い靴下を履こう。


準備をして、化粧をした。
久しぶりに、砂時計のペンダントもつけた。
指にはリングもしたし。
ちゃんとカラコンもいれて。



デート仕様みたい。


今日の眉は80点くらいかな。ヒルナンデスがついてるリビングで朝食を食べて、薬と、この間から飲んでいるHAKUのサプリを飲んで、鞄も準備した。


スニーカーも新しいのが欲しいところなんだけれど、その前に、そろそろちゃんとした鞄、欲しいなあ。


香水は、最近開けたお気に入りのYSLのLIBRE。


宅配がなって、母が受け取ってくれたのは、
私のBMSGのTHE FIRST FINALのDVDだったよう。箱を開けずに、準備を続けた。


マスクになってからあまり塗らなくなったけれど、あの日みたいに、あの日より、ちゃんとリップを塗って、髪にも香水を少しふって。



自画自賛みたいでなんだけど、
あの日より、ずっとおしゃれになったと思う。
今だっておしゃれには疎いけれど、
あの頃は全くわからなかった。化粧の仕方も、服の合わせ方も。香水もまだつけていなかった頃かも。どんな格好してたか覚えてないけどダサかったのは覚えてる。自分に似合う格好とか考えたことなかったんだよね。



あの日はまだコンタクトをしていなかったかも。

ベルテットワンピースの下は悩んだけれど何も着ず、お気に入りの白いスニーカーにした。6月中旬頃から、夏休みみたいに暑い。マスクをしているから余計に暑くて、
あまり汗をかくタイプでもない私も額に汗が滲む。


日焼け止めもしっかり塗って外に出ると、
快晴だった。あの日は、晴れていたっけ?
曇っていたっけ?観覧車から観た景色が
綺麗だったから雨は降っていなかったと思う。



私は、お台場の観覧車に向かっていた。
8月に閉業する、あの観覧車に。


長袖はやっぱり暑かったなあと思う。けれど、半袖より長袖が合うと思ったんだ。
マスクの下の顎のあたりと生え際あたりに汗の水滴を感じながら熱気をまとう駅のホームに立った。


パレットタウンの閉鎖が決まった頃から
その前に行くぞ!って決めて、観覧車も閉まるってなってから、それならもう6/28にいくって決めていた。雨が降ってもこの日にと。それにもかかわらずチケットをとるとか、そういうこと何にも調べてなかった。



お台場のヴィーナスフォートはもう閉まってしまったから仕方ないけれど、観覧車はこの日にまだあって本当に良かったと思う。今日が暑すぎるけれど晴れていて良かったと思う。


8年前の6/28。2014年6月28日。


それは、初めてできた彼氏と初めてデートをした日だった。お台場のヴィーナスフォートと観覧車。それは覚えている。映画を観たような気もするけれどそれは別の日かも。覚えていない。Facebook見たら載ってるだろうけど、思い出していくものではない。そういえば、日本科学未来館にいった。あそこでプラネタリウムも観た。あれが、私が完全にプラネタリウム好きになる最初のきっかけだった。初めての彼氏とデートで、日本科学未来館のプラネタリウムをみて、プラネタリウム楽しかったなあって私がとってもいうもんだから、きっとクリスマスの時、コニカミノルタプラネタリウムに連れて行ってくれたんだと思う。そしてそこで私は、コニカミノルタプラネタリウムのファンになって今もずっと好きなのだから。良いことも、楽しかったことも、たくさんあったんだよなあ、と思い出す。初めての彼氏が1番長く付き合った。それでも7〜8ヶ月くらいしかもたなかった。しかも、その期間を、私はずっと、「いつか別れるんだ」と思って付き合っていた。でも、初めての彼氏とというのは、なんでも根底をつくってしまう。



この、8年後の今日、6月28日、
同じ日に、私は同じ観覧車に乗るために
出かけた。


初めてデートをした、初めて告白をしてもらえた、初めてキスをしたあの場所に行くために。


なんでこんなエモいこと、してるんだという気持ちもあるけれど、どうせ観覧車がなくなってしまうなら、なくなる前にエモさ満開な思い出でも作って前に進もうと。


初めての彼氏のことは、もうなんとも思っていない。別れてからしばらくは好きだったし友達だったけれど、私が過労になって倒れる要因を作った人だから、ずいぶん嫌いになったし、縁を切りたいと思ってから2年半くらいかかったけれど縁を切って、縁を切ってからしばらくは、過労をつくった原因の人たちはみんな死んで仕舞えば良い、消えてくれれば良い、不幸せになって欲しいってくらい恨んでいたけれど、そのことも彼に対してはもう恨んでもいなくて、どちらかというと今は、


昔、付き合っていた、あの頃の、懐かしい、
いい思い出、だけ残りかけている。


私の知らない遠くで、ちょっと苦しみながら生きていて欲しい。


今日までにそうなれていて良かったと思う。


今日私が、思い出したいのは、刻んでおきたいのは、過去付き合っていた時の、付き合いはじめて初めてデートしたあの日の、私と彼だから。


日傘をさして直射日光を避けているのに、もう下着のあたりはびしょ濡れな感じがする。まだ6月末というに、暑すぎる。あの頃より絶対に暑くなった。今日は、夏日だと思う。


家を出てから、思ったより脚がチラチラ見えることを気にしていたけれど、この暑さだから何も着てなくて良かったかもしれない。大井町駅まで出て、りんかい線に乗り換える。りんかい線は、4月のEXITのライブのために乗ったから久しぶりじゃないけれど、お台場に行くのも、母と昨年末にヴィーナスフォートに行ったから久しぶりじゃないけれど、お台場に電車で行くのは、本当に久しぶり。




 あの頃は、どこで待ち合わせして一緒に行ったんだろう。彼とは家が近かったから自由が丘待ち合わせで大井町線からずっと一緒に乗って行ったのかな。何も覚えていない。8年前ってのは、そのくらい昔。正直、お台場が初デートだったことも、ヴィーナスフォートを歩いたことも、ヴィーナスフォートの中のイタリアンで夜ご飯食べたのも、観覧車に乗ったのも覚えているけど、それ以外ほとんど覚えていないくらい。こういうことに関するもの覚えがとてもいい私が。さっき、やっぱり日本科学未来館へ行ったんだと思い出して、じゃあきっと、そこでずいぶん過ごして、その後もその話をしていたんだろうなと想像した。



ほとんど乗らないりんかい線は地下で、だから、さっきの暑さを感じなくなった。4分ほど待っている間に喉が乾いてピーチティーを買う。電車が来て爽やかな風が流れている車内に座ると、少しだけ、あの頃一緒に電車に乗った感覚が蘇ってきた。今もしょっちゅう迷うけれど、あの頃は今よりずっとしっかりしていなくて、デートへ行くといっても行きたい場所は伝えてもその後は彼に任せっきりだった。


彼にはLINEで告白されて、その後もLINEと電話だったから、初めてのデートの時、ちゃんと告白されていなかったし、何より、告白が
「まだ前の彼女を忘れられないけど、忘れたい、だから、付き合って欲しい」って感じだったから、私は、"彼はその彼女のことが好きなんだ"って思っていた。不安と、でも好きな彼と付き合ってデートしている嬉しさと、けれどやっぱりいつかは別れるんだよなっていう寂しさを20歳で、初デートで複雑に抱えていた。

電車に乗って、過去に想いを馳せていたら
なんとなく感覚が蘇ってきた。たぶん、電車の中で時々手繋いでた。恥ずかしくて、ドキドキして、心臓飛び出そうで、でも嬉しくて、お互いなんとなく恥ずかしくて顔見れなくて、電車横並びでよかったって思っていた気がする。


その電車に、今日はひとりで乗って、電車の中に爽やかに通る風を感じていたら、東京テレポート駅に到着した。


お台場は、何回か友人とも遊びに行ったことがあるし、母と買い物しにきたこともあるけれど、観覧車に乗ったのは多分母と1回と、あのデートのみ。親以外ときたのは、彼だけ。


東京テレポート駅に着くと、日本語のアナウンスと英語のアナウンスのあとに、もう今の若い人は知らないんじゃないかという、

レインボーブリッジ封鎖できません!の青島刑事が頭をよぎる踊る大捜査線の音楽が流れる。


エスカレーターを上がって改札を出ると上に、パレットタウン、大観覧車  ←出口Aの案内板が見えた。


通り過ぎようとして、この看板も、変わるのかもしれない、と思って写真を撮った。


 雲ひとつない、本当に快晴。


ヴィーナスフォートと観覧車の間の、建物は既に取り壊しが始まっていて、大きなクレーンで、ガタンガタンと音を立てながら壁のなくなった施設のなかは剥き出しだった。そのむきだしの工事を横目に見ながら、遊歩道を歩く。



時折吹く風が脚にかかって心地いい。雨よりは、暑いくらいの快晴で本当に良かった。目の前にある観覧車にどう回り道をしたらたどり着くのかわからずに、工事の音を聞きながら歩いていると、工事現場の方に会う。そこで道を聞いてエレベーターにとりあえず乗ったら、そこが観覧車乗り口だった。


観覧車のシートはシースルーと普通のとどちらがいいか聞かれた。
どっちに乗ったか記憶がなくて、シースルーにした。多分そうだったんだと思う。


観覧車に乗り込んで、
ビデオとカメラを交互に回して、
この景色をおさめようとしていたらあっという間に上の方まであがってきた。フジテレビのビルが同じ高さにきたくらいで、


この辺りで、キス、するんだろうなと思って、スッと外を見ながら目を閉じて、そしたら、案の定彼が名前を呼んで話しかけてきて、寝たふりしてる私に
「寝ちゃった?」って呟いて、キスされたの思い出した。自分のことを好きじゃないだろうと思っている、大好きな初めてできた彼氏に観覧車の中でされた、ファーストキス。思い出したらいい思い出だけ残っていて、甘くてちょっと心がきゅっとした。あの頃私は、不安もあったけれど、ドキドキして、ちゃんと幸せだった。好きな人とやっと付き合えてやっとデートできて、そして、初めてキスされて、、緊張しながら、でも幸せだった。




観覧車はアナウンスと共に最上部へきて、
横の観覧車とまっすぐ並んだ。下に下がり始めると風に煽られてか、少し揺れながら、後ろを振り向くと走っている電車と、車と、左手に港に停まるRKK LINEと書かれた青と白の船と、手前に観覧車の赤い骨組み、右手にお台場の交通をみていた。


シースルーの観覧車の下を覗くと、だんだん地上が近づいてきた。もうすぐ思い出の時間が終わる。私は思い出を、思い出しながら、今を感じながら、胸がきゅるるると少し締まったのを感じた。もう地上へついてしまう、と思っていると、お兄さんがやってきて、あっという間に降りる時間になってしまった。忘れやすい人間だから、たくさん写真や動画におさめておいた。


でも、しっかり過去のいい思い出も胸に思い出しておいた。もう、見ることのない景色を、もう見ることのない角度からたくさんおさめておいた。


8年前のあの日を少し思い出せて嬉しかった。
8年前と同じ6月28日に、8年前は彼氏ときた観覧車に、ひとりで乗って、8年前の光景を思い出しながら、確かに今、目にうつる8年前とは変わり果てたお台場を目に焼き付けて、楽しかった思い出だけを頭に流して、過去を清算した。ここで清算しよう、と決めた。付き合う前の嫌だったことも、付き合ってた時の嫌だったこともあんまり覚えていないけれど、別れた後の嫌だったことはたくさんあって、色々ありすぎて過労になったわけだし、色々ありすぎてこんな生活になっていて、だから彼も彼女もゆるせなくて。それも全部含めて、清算しようと。彼との間につながっていたすべての人を忘れて、彼と付き合っていた時の良い、あの頃の私が好きだった彼だけを残して、過去にして後は全部、清算しようと。そうじゃなきゃわたしが苦しいだけ。


あの頃の自分と彼を観覧車の向かいの席に見て、ちゃんと楽しかったんだと、思っていたらあっという間に地上について、降りてから乗ったゴンドラを写真に撮ろうとしたら、スタッフさんにあっという間に追い出された。


でも、楽しかった。


歩いていたら、遠くに日本科学未来館が見えて、
ずいぶんと、彼のことは、付き合ってた時の、好きだった時の、いい思い出だけになっているんだと気づいた。あの頃は、ちゃんと好きだったし、ちゃんと楽しかった。


彼との過去の出来事がすべて思い出に昇華した気がした。


 DiverCityの中に入って、少し迷ってから優しいスタッフの女性にスタバの場所を聞いた。ゲームセンターの前を通ると、わたあめのようなチョコ菓子のような甘い香りがして、通り過ぎていく人々は、家族連れもカップルもお友達っぽい人たちもみんな楽しそうだった。

 行きのりんかい線ホームで買ったピーチティー、暑すぎて一気に飲み切ってしまった。




 1999年、ヴィーナスフォートという新しい商業施設は観覧車とともに、華やかに20世紀と21世紀を渡り、人々の憧れと特別な日を彩ってきた。彼らは、ヴィーナスフォートは2022年3月27日に役目を終えて閉業し、家族やカップルや友人を乗せて、お台場の街を見守ってきた観覧車は、23年と5ヶ月ほどの務めをおえてこの夏、営業を終えて取り壊される。


 私が彼とヴィーナスフォートと観覧車のデートをしたのは2014年の話だから、彼らの歴史を考えればごく最近の一部だけれど、彼らには、私の恋愛の最初の思い出が詰まっている。しかも、閉業するまでに新しい恋人と訪れることはなかったから、これから先もヴィーナスフォートと観覧車には、初めての彼との初めてのデートという、極々甘い思い出だけが私の心に、頭に、残る。



 観覧車に乗る前も乗っている時も乗り終えた後も、爽やかな気持ちだったのに、Diver Cityのスタバに入ったら、取り壊しという言葉で、あの頃の画が、写真のように切り取られて額に入って流れてゆく。20歳だった私は、もうすぐ29歳になろうとしていて、あの頃、まだ若くて初々しくて、何にも知らなくて、穢れなく純粋だったあのハタチの私は、綺麗な思い出にきちんと収まった。


何もかも、彼との間に起こった悪いことは水に流そう、それによって今も生活に、人生に、進路に大きな影響が出ているから、苦しくて辛くて、恨んでしまっていたけれど、もう、彼のことは、好きだった時の、あの頃の、いい思い出だけを心に刻んで流して進もう、りんかい線に乗る時からそう思っていた。


そして、観覧車で思い出を、いまできうる限り鮮明に思い出せたことで、あの時の私があの時、嫌なところがたくさんあるのにどうしても好きだった彼を思い出すことができた。これで昇華するんだ。いや、もう観覧車を降りてからだんだんと昇華し始めている自分に気づいた。


 耳にSpotifyを入れると、ドリカムを流しはじめた。




このタイミングで大阪LOVERは、ずるいですやん。



とても、すっきりとした気持ちで、爽やかな気分になっていた。


楽しかったんだ、嬉しかったんだ、ちゃんと過去にそういう気持ちを感じていたことを思い出せて、本当によかった。


彼のことは、もう何も思わないし、
もう出会わないし、話さないけれど、

彼と付き合うことがなかったら
今の私はいない。だから、
過去は過去なんだと、そして、もう今の私は
今なんだと、もっと前に、明るく、強く、
進めるんだとわかった。


ELTが「出逢った頃のように」を流して、はっきりわかった。

過去の思い出も、爽やかな思い出にちゃんと色を変えられるんだと知った。


私の思い出がずいぶん昔であるように、過去、あんなに輝いていたお台場は、ずいぶん歳をとって熟しつくしていた

さようなら、観覧車。過去の私。


いい思い出だけを心にしまった。


#お台場

#台場観覧車

#初デートの思い出


「赦す」を実行できただろうか。
「赦す」ことで自分も解放されるのだと少しだけわかった。

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