レーズンもしくは干しぶどう

レーズン。

いやなひびきだ。

では干しぶどう。

うう、苦しい。

私はレーズンが苦手だ。

ある日甥っ子が
「パンはパンでも食べられないパンは?」
なんてなぞなぞを出してきた。きやがった。

私は迷わず
「ぶどうパン」
と答え、やつを混乱させてやった。ざまあみろ!
いや、でもほんとフライパンのほうが食べれるんじゃないかしら。
そう思える。

でも私は子供のころレーズンを食べれたらしいのだ。家族を押し分けてでも食べようとしたらしい。そのとき一生分食べたのだろう。今は見るのもこわい。

特にバーとかでたまに出される枝付きのが怖い。あれは悪魔の木だ。怖すぎる。隣の女!そんなの食んでるんじゃねえ!といいたくなる衝動を懸命におさえる私。

私は蒸しパンが好きだ。あのふんわりした甘さが最高だ。
でもあの最高な中にレーズンがくっついているのを見たときはショックだった。
なぜだ。なぜなんだ。
渡された蒸しパンからレーズンをほじくりだして、寄せて食べる。
ああ。味、残ってるから。

私はピラフが好きだ。でもそこにまたあいつは入っていた。
やめて、やめて。
たのむから。
合うの?それ。ハーモニー奏でられるの?

そんな嫌いなものでも大人になれば平気な顔で食べなければいけないときもある。
年末仕事で親しくしていただいている人とワインバーにいった。
そこでいきなりレーズンとくるみの入ったパンが出された。チーズをのせて食べてください。なんて言われて。
「レーズンとくるみの入ったパン好きなんだよお」
その人はにおいのやや強いチーズをパンにのせて食べる。そして赤ワインをくいっと流し込む。
えええ?私もやるの?やるよ。だって好き嫌いあるって思われたくないもの。
心を決めて私もその人がやったようにレーズンとくるみの入ったパンをもつ。ほどよく焼かれているのでご丁寧に私の鼻に甘酸っぱいにおいがただよってくる。においをかき消すように私はチーズをパンにのせ、すぐに口に入れる。

おい

おい

なかなかいけるじゃないか。レーズンとくるみ、チーズがにおいを打ち消す、いや、美味しく混ざり合って、のどに落ちていく。ワインを飲む。

いい

私はレーズンとくるみの入ったパンを2枚も食べてしまった。
克服できた。

正月家に甥っ子が遊びにきた。
「おじさん、なぞなぞ。パンはパンでも食べられないパンは?」

「ぶどうパン」

まだだな。

まだ迷わず反射的に答えることができる。

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パウレタ雑文帳

おもいついたことなどをただなんとなく短く綴ります
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