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「魅惑の心理」マガジンvol.47(心理的恋愛映画の楽しみ方)

休みの日はなかなか外出しにくい状況ですし、仕事も早めに帰って家にいる機会も多いと思います。そんなときに何をするか? 普段できないことをやってみるのが良いと思います。たとえば恋愛映画を見て泣いてみるのはどうでしょう。ポーポーがお勧めしたい恋愛映画を心理学を絡めながら紹介したいと思います。

○猟奇的な彼女(韓国)

韓国に行きたいけど行けなくなってしった人もそうでない人も、こんな時期ですから双方の文化に触れてみるのも良い機会だと思います。

物語は恐ろしく凶暴だがキュートな「猟奇的な彼女」とその彼女に翻弄される「心やさしい青年」をコミカルに描き、若い女性を中心に共感と感動を誘い韓国では社会現象にまで発展した作品です。

ふとしたきっかけで酔っぱらいの「彼女」を助けたキョヌ。彼女のおかげで留置所に入れられたり、恥ずかしい思いをしたり、相手のわがままに付き合わされる日々が続きます。一見するとこんな女性に振り回されるのは最悪でごめんだと思うが、優柔不断で気弱なキョヌには逃げるに逃げられないのです。そして次第に「彼女」に惹かれてゆく。ここには「相補性の法則」という自分の足らない部分を持っている人に惹かれる心理が見えます。厳格な男性と柔軟な女性、積極的な女性に慎重な男性など、恋人同士は一定の価値観が揃った上で、性格的に異なるとバランスがとれてうまくいくことがあるのです。また男性的にはちょっとわがままだけど、連れて歩くと自慢できるようなかわいらしい子を彼女にして、少し振り回されたいという心理もある。小悪魔効果ともいうべき心理効果です。

さらに「彼女」は心にある大きな傷を持っていました。そんな思いを知ると男性は庇護欲から「なんとか幸せにしてあげたい」という気持ちになるものなのです。実に心理学的にも見所がある1本です。物語の終盤に「彼女」が他の男性(『宮廷女官チャングム』で王様を演じていたイム・ホ)に「彼女」の取り扱い説明をするときも注目したい。恋心が「愛」に変化したことを感じさせる泣けるシーンのひとつです。これは泣けます。単なるコミカルな恋愛映画だと思っていると後半でちょっとやられてしまうでしょう。物語の閉じ方も秀逸。ラストに流れる音楽との相性にも最高です。韓国恋愛映画史に残る極上のラブストーリーです。


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