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「魅惑の心理」マガジンvol.107(音楽と言葉の不思議な心理効果)

今回のテーマは「音楽と言葉の不思議な心理効果」として、映画の中で出てくる音楽やCMの中で使われる音楽、音と言葉について心理学的な検証をしてみたいと思います。何気なく聞いている音楽が奏でるその奥にある不思議な世界に出かけてみましょう。

[目次]
○フィルムに刻まれた音楽の心理効果
○なぜ赤ちゃんはタケモトビアノのCMで 泣き止むのか
○耳に残るスーモのCM戦略
○富士サファリパークのCMが作る爽快感

○フィルムに刻まれた音楽の心理効果

映画には効果的に音楽が使われて、私たちの感情を刺激します。ジャズ、ブルース、ロック、クラシック、音楽に彩られた音楽映画とその心理効果を紹介します。

心の底からノリノリで楽しめて、思わずスウィングしてしまう。『スウィングガール』はそんな音楽の楽しさが詰まった映画です。山形の田舎の高校を舞台に、軽い気持ちでビックバンドジャズをはじめた女子高校生たちが、次第に音楽に魅せられ、学生音楽祭に挑戦する姿を瑞々しく描いた作品です。彼女たちが最初に練習する「A列車で行こう」から、映画祭のクライマックス「シング・シング・シング」までご機嫌なジャズナンバーが揃っています。

ジャズは音量やリズムが常に変化があり、何度でも聴きたくなる効果があります。「田舎」「女子高生」「ジャズ」という不思議な構図がまた新鮮で面白く感じるので、普段、ジャズを聴かない人にも面白いと感じる作品でしょう。ジャズは緊張感とリラックスを作る音楽でもあります。そしてこの映画は音楽効果を見事に使っています。たとえばある事情で松茸狩りに出かけた女子高生たちが、山の中でイノシシに襲われるシーンで使われる「この素晴らしき世界」。愛と平和を歌い上げる曲をバックに、イノシシに追い回される高校生の姿がとてもシュールで面白いのです。これは自由度のあるジャズの面白さと物語が見事に一致しいてる構成で、見事なハーモーニーを奏でていて、心の中にすっきりとした気持ち協和音が生まれます。

また竹中直人さんが演じるジャズマニアの教師、歌で愛を伝える謎のデュオ兄弟など、濃い不思議なキャラクターの存在が映画のエンタメ性を上げています。監督は『ウォーターボーイズ』の矢口史靖。矢口監督もこの映画の影響でサックスをはじめてしまったのです。でもそれもよくわかります。映画を観たら誰もがサックスやトランペットを弾きたくなる、そんな人の心を動かしてしまう映画なのです。

ジャズとはタイプが異なり、ロックに多大なる影響を与えた音楽に黒人音楽ブルースがあります。ブルース生誕100周年を記念して制作された「ザ・ブルースムービープロジェクト」。これは映画界を代表する7人の名監督たちがブルースをテーマにして映画を取り上げたドキュメンタリーです。もし見る機会があったら是非観て欲しい作品です。どれも魅力的な作品ですが、ピアノにスポットを当てた「ピアノ・ブルース」。クリントイーストウッド監督がデューク・エリントン、デイヴ・プルーベックなどのピアニストを通して、ブルースの魅力を紡いだ作品です。注目してほしいのは、レイ・チャールズが弾くピアノの横に座って、本当に幸せそうな顔を見せるクリントイーストウッド監督。全くダーティーハリー色はありません。日本人は「ブルースが好き」っていう人が少ないと思いますが、ブルースには作った人と歌い手の感情が詰まっています。このソウルに触れると、意味はわからなくても共鳴する部分もあると考えられます。まるでその人の人生と感情を聞いているような曲。人は人の感情によって動くのだと感じる瞬間でもあります。

そしてブルース映画といえば忘れられないのが

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