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「魅惑の心理」マガジンvol.198(蛙化現象のメカニズム)

最近、 SNSやネットニュースで聞くようになりました「蛙化現象(かえるかげんしょう)」。パッと聞くと何だかよくわかりません。知らない人が聞くと人が蛙に変身してしまうと思うかもしれません。 蛙化とはどんな状態なのか「? ? ?」という感じかもしれません。

この現象、簡単に言ってしまうと、ずっと好きだった男性がいて、あるとき思いが実って、自分のことも好きになってくれると、なぜか突然、冷めてしまい、相手のことを「気持ち悪い」と生理的に嫌悪感を抱くようになってしまう心理の変化のことを言います。若い女性に見られる現象です。最近では生理的な嫌悪感までいかなくても、単に「好き」が「嫌い」になるという心変わりまで広範囲で使われることもあります。

この「蛙化現象」の言葉の由来はグリム童話の「かえるの王さま」です。グリム童話の巻頭を飾る物語です。この物語では王女が森の泉に金のまりを落としてしまいます。そこにカエルが「ぼくと友達になって食事と一緒に寝てくれるなら取ってきてあげる」という提案をしました。王女は約束をしたもののまりだけ拾ってもらうとカエルを置き去りにしてお城に戻ってしまいます。翌日、カエルは城にやってきて王女様に約束を果たすように迫るのですが、王女は嫌悪から拒絶します。そして王様の命で仕方なく、カエルと部屋にいくのですが、どうしても受け入れられなく、カエルを壁に投げつけます。すると魔法が解けてカエルは立派な王子になり、王女は王子と婚約するという話です。「蛙化」という言葉はこの王女がカエルを受け入れられない生理的な拒絶からきていると考えられています。

この現象は最近の若者、特に女性に起こる現象で、恋愛障害のひとつにもなっています。なぜこんなことが起こるのか、そしてなぜ女性に起こりやすいのか、今回の「魅惑の心理」マガジンはそのあたりを深掘りして、考察していきたいと思います。

まず欲しいものが手に入った瞬間、急に情熱が冷めることはたまにあることです。これは女性でも男性でも起こります。むしろ、男性のほうに多いと考えられます。欲しいものが100%手に入るのではなく、手に入ったり、入らなかったりすると、手に入ったときの快楽が強く出ます。これはギャンブルと同じで部分強化といわれるものです。脳ではドーパミンの影響で成功時に強い快楽を作り、繰り返したくなる病みつき要素を作ります。圧倒的に男性に強く現れる行動です。男性が意中の女性を口説くのに盛り上がり、自分の彼女になると急に冷めたりするのはそのためです。「釣った魚に餌はあげない」などと比喩されます。

「蛙化現象」のポイントは、相手が悪いことをしたわけではないのに「生理的な拒絶感」まで「嫌い」が進んでしまうことです。男性は念願の女性と結ばれたとしても、その後に「無関心」になっても、生理的な拒絶感までは進みません。ここが大きな違いです。

ネットで「蛙化現象」の記事が上がってくるようになりましたが、そのメカニズムをもう少し深く探っていきたいと思います。なぜ若い女性なのか?、なぜ生理的拒絶まで進むのか、そこには現代の日本人が持っているある心理が深く関わっているのです。

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