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「魅惑の心理」マガジンvol.227(人間関係は「距離感」を考えるとわかりやすい)

割引あり

人間関係の構築はなかなか難しい問題です。職場や学校、新しい習い事の場所、ご近所、ママ友、新しい場所で新しい人間関係を築くことを苦手にしていたり、根本的に人と仲良くなる方法がわからないと、接し方にに悩む人が増えています。

人間関係の構築を難しくしている原因に、「心地よいと感じる距離感は人によって違う」いうことがあります。自分の心地よいと考える距離感と相手が考える距離感の違いです。例えばある人は仲良くなるためにどんどん相手に質問をして相手を知ろうとします。しかし、聞かれたほうの人は仲良くなってからでないと、そんな色々な質問に答えたくないと考えていました。個々の人が心地よいと考える接し方の差、距離感の差は人によって違います。

ポーポー・ポロダクションは心理に関係することを仕事としておりますが、けして人との関係構築を得意としている訳ではありません。むしろ、得意ではありません。セミナーや講演などで、お会いしたことある方はその気配を読み取っているかもしれませんが、人が多い場所では、まるで昭和初期に作られたロボットのように動きがカクカクしています。さわやかな振る舞いの「さ」の文字もありません。

しかし、苦手だからこそ、どうすばよいのかをずっと考えてきて、常に最適な方法を考えています。この話の概要は書籍でも書きましたが、今回は出会いのサンプルをたくさん増やして検証した結果から、さらに発展させてまとめたいと思います。もし、あなたが人間関係の構築を苦手にしているならば、ここでの知見はきっと役立つはずです。

○「信頼感」を数値化して距離感をはかる

相手と仲よくなりたいけれど、どんな距離感で話をしたらよいかわからない。そんなときは「信頼感」を数値化する方法があります。人はなんでも「比較」します。意識化でも無意識にでも、過去の記憶と比較して判断をしているのです。距離感はとても曖昧な感覚なので、比較を難しくしています。ならば、比較しやすく数値化をしてしまおうという考え方です。

ポーポーはこの比較を容易にする目的で、数値化できるものは、できるだけ数値化にすることを推奨して実践しています。「とにかく数値化」です。それも単純な数字に落とし込みます。数値化をするのに複雑な式を用いたり、複数の数字での比較をしても意味がありません。数字が苦手な人に対しても、簡単に求めて比較できる数値が必要なはずです。

心地よい人との距離は個人差があり「相手との距離感」と漠然と捉えてもわかりにくいので、「相手との信頼感」と置き換えます。相手との信頼感を「90%」「70%」「50%」「30%」「10%」と5段階で考えるとわかりやすいでしょう。心の距離は目で見えませんから、信頼感と考えて5段階に可視化してみるのです。自分が相手に感じている信頼感と相手が自分に感じていると思われる「%」を意識して、一致させてみるのがポイントです。

この関係を一覧表にしてみました。

まだ相手と知り合ったばかりで「相手との信頼感」が10%しかないのに、
90%の人と同じような話し方、質問などをしたら、相手が不快になるのは当たり前です。相手との信頼関係が構築できていった実感とともに、対応を30
%から50%、70%と上げていく、すなわち信頼感を縮めます。それが距離感を縮める方法でもあります。

最初に出会う人は「10%」からのスタートです。0%と考えるのは少し冷たすぎると思いますし、最初から上げてしまうと、馴れ馴れしいと感じられることがあります。人間関係の上級者の中には、いきなり30%、50%と入ってきて、馴染んで上手に切り込んでくる人もいますが、私たちは人間関係の不安を抱えた素人です。最初は低いところから段階を上げていくのがおすすめです。

最近、人との距離感がわからない人が増えたのは、ツールの影響が大きいと思っています。今までは人と仲良くなるのは、対面での人間関係構築がメインで、人の反応を確かめながら、関係を築くチャンスがありました。「こういう話をすると相手の反応が良い」「この手の話は盛り上がらないのね」と相手の「顔色」をみることができて、相手の感情を察知する能力が高まっていったのです。人間の色覚は系の顔色を見ることで発達していったと考える神経学の研究者もいます。

対人での関係が利便性から電話になり、急速にメールやSNSといった非対面のツールに変化してきました。そのため、相手が考えていることが読み取れなくなり、「相手の感情に合わせて距離を詰めていく」練習ができなくなったのです。人は面白いもので、情報が少ないと、懸命に情報を集めようとしますが、それでもわからないと何をするかというと、情報を遮断してしまう傾向があるのです。同時に情報は多すぎても処理できなくなり、遮断してしまいます。適度な情報がないと人の「読み取る力」は退化したり、「なかったこととして」無視するようになってしまうのです。人の感覚は面白いですよね。

考えることを放棄した人の一部が、リアル対面でいきなりタメ口を聞いてきたり、センシティブな部分に簡単に入ってしまい不快感を作ることもあります。「こんなことを言ったら相手がどう思うのか」そんな想像力も育まれない背景もあると思います。

相手の接し方が感じ悪いと思っても、実はそれは相手の性格や人間性からきているものではなくて、ツールによって脳が適切に作用していないことが原因かもしれないのです。なので、無礼な人に「無礼だ」と感じるイライラは持つことはありません。相手は単に距離感がわからないだけなのかもしれません。

ぜひ、この表を参考にして、人間関係の構築にお役立てください。そして、もしこの数値化に興味を持って下さった人がいるようでしたらば、相手との距離感を縮める方法について書籍「ゼロからわかる人間関係の心理学」(ポーポー・ポロダクション著)をご覧いただけるとまとめてあります。また、このnoteでも後半、「相手との距離を縮める心理術」を詳細にまとめています。ご興味ある方は、こちらもご覧いただけるとより知識が広がり、人間関係の構築に役立つかと思います。価値ある情報をお届けするつもりなので、よろしくお願いします。

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