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「魅惑の心理」マガジンvol.235(教科書とは異なる心理の実際)

世界中で研究されてきた心理の実験。ここから人の心の中や様々な心理効果がわかってきました。○○効果や○○の原理といったものは、私たちが人の心を感情を知ったり、自分を理解するのに役に立ちます。ところが、このような教科書に載っているようないくつかの心理は、時代の変化とともに変わってきたものや、そもそも条件が限定されて実験されていて、「それって本当に正しいの?」ってものもたくさんあります。

ここではポーポーがそうした教科書に載っているものと、よりリアルなものとの乖離を感じていて、必ずしもそうとは言えない心理効果を紹介し、修正していきたいと思います。きっとどこにも載っていない、リアルな心理学の話ができたら良いなと思います。みなさん、こういう話って好きでしょ? いや、好きになって〜

[目次]
・美人は得をしない
・マズローの欲求5段階説って何ですか
・アンダードック効果の効きかたが変わってきている
・青年期は本当に心が不安定な時期なのか

○美人は得をしない

「美人は得をする」そんな言い伝えが私たちの社会に蔓延して、もうどれぐらいの月日が経ったでしょうか。「美人」という定義が曖昧で、美意識は個人差や文化さがありますから、なかなか難しいですが、「大勢の人に綺麗と評価される顔」とするならば、今の時代「美人が得をする」とは言えないようになってきています。ちなみに心理学で考える美人は単なる平均顔です。100人、200人と大勢の人の写真を合成してどんどん平均化すると、どんどん美人と見える、評価される顔に近づくことがわかっています。

アメリカの心理学者シンガーが女子大の先生たちの評価を調べたところ、自分が美人だと評価した学生と自分が評価した学業の成績がなんか一致しているということを明らかにしました。この実験も何十年も前のものですし、これだけで「美人は得をする」と言い切ってしまうのも些か強引です。主観的な成績をつける場合、自分が美人と考える生徒には点数が甘くなりやすいということでしょう。

これはハロー効果と呼ばれる心理効果の一種と考えられます。私は美人効果って呼んでいます。ハロー効果とは見た目の情報の一部などで全体の評価を変えてしまう現象です。人にもよりますが、とても強い心理効果です。英語が話せる人を賢いと感じるあれです。実際には賢いから英語を話せるかもしれないけれど、英語が話せることは必ずしも賢さとは関係ありません。美人効果には、評価する側の下心も入っています。良い点数をつけて気に入られたいという邪心です。

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