毎年、多くの企業の不正や不祥事が明らかになり報道されます。中でも2023年7月に明らかになった中古車販売のビックモーター社の自動車保険の大規模な不正請求、故意の車両破壊は、かなり悪質なものでありました。水増しの請求を実施していたのは、ビッグモーター全国33工場の全てであったといいます。

みなさんは飲食店の中高生による迷惑行為を見たときに「なぜバレるのにそんなことをするのか」と疑問に思ったはずです。しかし、今回のようにお客様の車両破壊などは「なぜバレるのにそんなことをするのか」と同じことを思ったはずです。結局は大人も似たことをやるのです。むしろ大人のほうが悪質なものが多いようにも感じます。

そもそもなぜ企業は不正や不祥事を起こすのでしょう。そして不正や不祥事は相次ぐのでしょうか。

そのメカニズムはハード面として「不正をおこないやすい構造をしている」という問題と、ソフト面では「経営者が不正をおこないやすい心理がある」「社内にいる社員が不正を防ぐ心理が機能しない」という問題があります。いわばシステムが不正を作りやすく、心理的に経営者は暴走し、社員はそれを止められないという構造があるのです。今回の「魅惑の心理」マガジンでは、その形を解説していきます。