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「魅惑の心理」マガジンvol.171(130万円の壁が作る日本人の心理)

世の中には壁がたくさんある。北アイルランドのベルファストには暴動を止めるために「平和の壁」が街を分断し、ペルーの首都リマでは「恥の壁」が富裕層と貧困層を分けている。韓国と北朝鮮の間にある軍事境界線には全長250kmにも及ぶフェンスと有刺鉄線からなる壁が走ります。国と国、国の中でも誰かと誰かを分ける壁がある。壁は日本にもある。日本にある人を悩ませる高い壁のひとつが「130万円の壁」であろう。
 
パートタイムで働く人は、年収が130万円を超えると配偶者の扶養控除から外れてしまい社会保険を払わなくてはいけなくなります。この130万円は「壁」と言われていて、多くのパートタイムで働く人は130万円を超えないように、働きたいけど働かないようにセーブしながらコントロールしています。「最低賃金を上げよう」という動きがある中で、上げてもその分仕事を自ら抑制してしまうなんとも変な現象が起きるのです。人材不足と言われていて、働きたいけど働けないそんな状態を作っているのです。
 
「いやいやだったら130万円を200万円とか300万円にしたらいいんじゃないですか?」そう思われる方もいると思いますが、政府は「保険料を負担する者との間で不公平感が拡大する」という理由で見直しには慎重です。
 
この130万円の壁を紐解いていくと税の問題だけでなく、日本人の思考にとても大きな影響を与えていることがわかります。なぜ130万円の壁が日本人の心にまで影響を与えてるのか、その影響はどんなところまで及んでいるのか、今回の「魅惑の心理」マガジンは130万円の壁が作る日本人の心理。誰も考えないだろうけど、本当は大事なものの本質に迫ります。

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