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「魅惑の心理」マガジンvol.226(インポスター症候群)

1969年、ワシントンD.C.に住むサンドバーグ家の長女として生まれたシェリルは、高校時代の成績は常にトップクラス、ハーバード大学も主席で卒業をします。そして彼女はーバードの経営大学院であるハーバード・ビジネス・スクールに入学し、最高成績で経営学士を取得するのです。卒業後、合衆国財務長官チーフのラリー・サマーズのもとでアジア通貨危機の際に発展途上国の負債を免除する国務長官の仕事をサポートし、その後、グーグル社でグローバルオンラインセールス&オペレーションズの副社長を務めました。そして、彼女はフェイスブックの最高執行責任者にまでなるのです。誰もが認める実力と華々しいキャリアを持つシェリル・サンドバーグですが、自分について不思議なことを語ります。朝起きたとき、もしかしたら自分は、詐欺師(インポスター)なのではないかと…そんな感覚にいつも悩まされるというのです。

成功したときに、自分の実力を正しく認められず「運がよかっただけ」と感じることは珍しくない感覚でしょう。しかし中には、自分の実力ではなく、成功に値しないと過度に感じてしまう人もいるのです。そあ、私は誰かを騙し続けてきてここにいる、私は詐欺師に違いないと…
 
これをインポスター症候群といいます。社会的に成功した人、それも女性に多く見られます。必死に頑張ってきたキャリア女子が持ちやすい感情といえます。「フォーチュン」誌における「ビジネスにおいて最もパワフルな50人の女性」に選ばれ続けているシェリル・サンドバーグでさえ、そんな感情に苦しめられているのです。せっかく、人生において美しいホームランを打ったとしても、自分がそれを認められないのは悲劇です。

インポスター症候群はシェリル・サンドバーグだけではありません。たとえばエマ・ワトソンもそのひとり。映画『ハリーポッターシリーズ』でハーマイオニー・グレンジャーを演じ、 2011年 世界で最も美しい顔100 では堂々の1位に輝いています。子役で大きな役がつくと、その後に成功から離れてしまう役者も多いのですが、彼女は『美女と野獣』の主演を務めるなど、「過去10年間で最も興行収入を稼いだ女優」としてギネス世界記録に認定された経歴もあります。彼女も「これまでの成功は 全く私の力ではなく、いつか私がペテン師だと気づかれるような気がする」とコメントするなど、キャリアを積み重ねた女性の多くがそんな苦しみを抱いています。
 
成功した人が「私は運が良かった」と感じることは理解できます。実際にビジネスの成功は、実力だけではなく、運や偶然の影響を強く受けるからです。しかし、「詐欺師」と考えるのは考えすぎではないでしょうか。そして、なぜ、「女性」に多く見られる問題なのでしょうか。今回の「魅惑の心理学」は、このインポスター症候群を少し深く考えてみたいと思います。

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