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「魅惑の心理」マガジンvol.224(キーワードで語る2023最新心理)

人は同じものを見たり経験しても感じかたが異なります。人の反応は多様です。しかしながら、ある一定の傾向があるのも事実です。政治家の不祥事に対してはみんなが腹を立てますし、動物のほっこりとしたニュースには笑顔になります。ポーポーのからだ作りの遅さを見たら、誰もがきっと大相撲初場所には間に合わないかもと心配すると思われます。

特に2023年は約3年ぶりにコロナの閉塞感が明けて、ここ数年とは異なった環境になりました。この中で人の心を見てみるとトレンドというか流れというか、傾向のようなものが浮かび上がります。「魅惑の心理」マガジンの2023年の総決算として、この傾向をキーワードで捉えて解説して見たいと思います。ポーポーが感じた2023年の心の潮流を解説します。

・自尊感情
・ブリシットジョブ
・確証バイアスとエコーチェンバー現象
・補償的自己肥大
・ピーターパン症候群
・タイパとコスパ
・阪神ファンが道頓堀に飛び込む理由
※2023年12月31日更新

・自尊感情

日本人は自尊感情(自尊心)が世界の中でも低く、それも圧倒的に低いという話をよくさせてもらっています。個人的には聞き分けの良い子に育てようとする日本人の教育システムが問題であるとは思っていますが、平安時代の文献からも日本人の自尊感情の低さは気になるところであり、もともと低い国民性に、さらに低くする教育が加わり、圧倒的に低い自尊感情が作られていくのだなと感じています。自尊感情の低さは、自分を成長させる糧になることは稀で、むしろ自分や周りを苦しめる毒になりやすいものです。
 
自尊感情の低さは近年ずっと続いていて、少し高まっているという調査結果や相変わらず低いままで続いてるものがあります。ポーポーは全体的にはゆるく低くなっていると考えています。個人を見ると自尊感情の低さから、性格的に問題のある行動をとる人が増え、様々な場所で迷惑行為をしている人が目につくようになった年でもあります。
 
特に「自分は大事にされるべきである」という思考を持った人がいて、公務員や店員、医療者などに威圧的に接してくる中高年、シニア層が増えました。自尊感情の問題だけではなく自己中心的な要素も大きいのですが、自分で自分の価値を自分が認められないので、他人に自分を認めさせることを強要するのです。相手のミスを高圧的に注意し、「謝れ」と上下関係を明確にして満足します。この反応も自尊感情の低さがベースにあり、ストレスフルな生活の発散を、他人を使っておこなっているとも見えます。
 
この自尊感情の低さ、これは2023年の多くの心理キーワードと深く関係性を持っているので、重要なキーワードのひとつであると思われます。

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