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研究してて最近読んだもの。#1

はじめに

ポピュラー音楽の研究をしてて最近読んだものをまとめました。何かしらの形で書いておかないと忘れるので……笑
こっちのページにもまとめてありますので見てね!

南田勝也『ロックミュージックの社会学』

卒論でテクノ・ミュージックのことをメインで書いたこともあって、あまりロックについて勉強してなかったので、改めて知るために読んでみました。音楽研究ではロックの話題が出てくることも多いので、基礎知識として得るものがかなり多かったかも。第2章~3章で述べられているロックを含めた音楽実践の〈場〉の力学やその展開に関する理論は、社会と音楽実践のかかわりを考えるうえで重要な基礎となるでしょう。

永井純一「〈参加〉する聴衆――フジロックフェスティバルにおけるケーススタディ」

(所収:日本ポピュラー音楽学会『ポピュラー音楽研究 vol.10』p.96-111)

フジロックに来場する聴衆をフィールドワークによって分析した論文です。フジロックの聴衆は「消極的(passive)にフェスティバルを消費するのではなく、積極的(active)にそれに〈参加〉」することで、ただの来場者ではなく〈参加者〉と呼ばれています。また重要なこととして、フジロックの参加者にとって「音楽はきっかけにすぎ」ず、音楽以外のコミュニティやフェスティバルの楽しみかたが成立している点が挙げられます。

そのような「イベント性」の高い空間を形成しようという動きは、近年よく見られる「ギャラリーにレストランやカフェ、バーを併設する」といった「文化施設の複合化」の面からも説明できる気がします。

大和田俊之編著『ポップ・ミュージックを語る10の視点』

卒論でもちょっと参考にした本を改めて読んでみました。やはりポピュラー音楽の研究となると、1つの音楽ジャンルのことばかり知っていてもしょうがない気がするので。現在のポピュラー音楽研究の全体像を大まかにつかんでおくという点ではいい本です。

吉成順「ミュージック・ホールとTVショーをつなぐもの――初期ポピュラー音楽の上演における身体的・視覚的要素」

(所収:国立音楽大学研究紀要 第55巻 p.131-137)

音楽史が様式史として認識されていることの是正や、そもそもメディア的問題で上演様態に関する記録が乏しいという点をクリアする必要性を提示しつつ、19世紀イギリスのミュージック・ホールにおける大衆音楽の上演様態が、20世紀のTVショーに受け継がれていることを示したもの。ちょうど今トム・ガニングの初期映画論や、細川周平のレコード論を読んでるところだったので、同時代的な観点で色々考える部分がありました。

千葉雅也『現代思想入門』

テクノ的な音楽とロック的な音楽の関係について、ジャック・デリダのグラマトロジー批判をベースに論じる……というのを修論でやろうと思っていてそれで読んでみました。学部にいた頃は「現代思想って難しそうだな」と思って避けがちで結構苦手意識があったんですが、これを読むとかなりスッと入ってきて本当に助かりました。

難波江和英、内田樹『現代思想のパフォーマンス』

「現代思想を実際に使ってみる」ところに焦点が置かれている一冊で、学部の頃に友達におすすめされた本を久しぶりに読んでみました。現代思想ってとりあえず頭に入れとけばそのうち役に立つかも…という感じで読んでます。でもなかなか難しいところありますよね…笑  もっと頑張らないと…



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