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何気ない言葉と行動だって、誰かの心に響いている

婚活で知り合った相手とビデオ通話をするため、カラオケに籠る予定だった。

1軒目のカラオケは待ち時間が長すぎて引き返し、2軒目は予約が反映されていなかった。直前のダメ元での予約だったから仕方ない。

ただしVIPルームだけは1部屋あると言われ、時間もないので泣く泣く入室した。みんな暑くてカラオケに引きこもっているとは、我が家のように冷房のない環境なの…? ※レアケース

相手も、入室したカラオケでWi-Fiが使えると書かれていたのに整備されていない環境だと判明し、急いで他の店舗に行くと今度は混雑していて入れず、仕方なく自宅に帰るという予想外の展開を繰り広げていた。今度から予約して行くのが良さそうだ。

ビデオ通話は相手が自宅環境を気にしながらの通話で、たびたび中断することもあり、急にブレイクタイムがやってくる面白さもあった。3曲歌えたぞ!

通信が途切れて休憩になったため、私はお手洗いに向かった。

エレベーターで、お手洗いに行きたいのに場所が分からなくなったおば様から声をかけられた。エレベーターの表記をそのまま説明して、口頭で簡単に案内した。

私は別の階でお手洗いを済ませ、エレベーターを待っていると、先程のおば様と再会した。

どうしたのか話を聞くと、自分がいた部屋が分からなくなってしまったらしい。
部屋数が少ないカラオケだけど、どのフロアも見た目が似ていて複雑なので、混乱するのも無理はないと思った。

「年寄りだから…」と言っていたけれど私でも少し混乱する作りだったので、これは分からないですよね〜と少し雑談をした。たまにこうやって知らない方とお話出来るのが、実は嬉しかったりする。


思い出してみると、私がエレベーターに乗った時には、既におば様が中にいた。

「私と同じ階じゃないですか? 4部屋しかないから、その内のどれかですよ」と伝えて、一緒に元の階に戻ることにした。

戻ってみると、「ここです!!」と部屋を見つけたようだ。

私の隣の部屋が、おば様の部屋だった。

4部屋だから確率は高いとはいえ、まさかのおとなりさんで驚いた。

「迷って不安だったから、優しく言ってくれて嬉しかった」と、びっくりするほど感謝してもらえた。

エレベーターにいたのが私とおば様だけで、声をかけてくれたから案内しただけなのに、そんな風に言ってもらえると、嬉しくてなんだか泣きそうになった。見ず知らずの人に声をかけるのは、とてつもなく勇気が必要だったはず。

私が少しでも役に立てたこと、おば様が嬉しい言葉を伝えてくれたことに、全身があたたかくなった。

嬉しい気持ちや感謝の言葉を率直に伝えてもらうと、こんなに心に響くのだな、と改めて感じた出来事だった。

おば様は、どなたかと一緒に来ていたように見受けられた。部屋に戻ってきたあとも、皆で楽しめていたらいいな。

たまたま入ったカラオケで、泣く泣く入室を決めたVIPルームでの、ほんのり嬉しい一期一会。

こうした小さくて明るいかけらは、本当は毎日の中に沢山あるはずなんだろうな。
でも小さかったり、光り輝く時間が短くて、すぐに見落としてしまうのかも。なんだか勿体ないことをしていたなぁと思う。自ら灯りを付けにいって、小さなかけらを輝かせていきたい。

今日のこの瞬間を忘れたくなくて、無我夢中で書き留めた。

ちなみに相手との通話は、私のスマホ本体がヒートアップしたせいか、後半はほとんど途切れてしまい、退室時間10分前にはお開きとなった。終了時間だけは計画的だった。


人生うまくいってもいかなくても、ハプニングもまた面白いし、自分の捉え方次第だ。
なんて、最近相手に話していたばかりだった。万年ネガティブウーマンの私も、考えすぎた結果、開き直ることを覚え始めた。歳を重ねるのも悪くないみたい。

自分の発した言葉をより深く実感できたことで、少しだけ自分が心強くなった。

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