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小説のようなエトセトラ

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せっかく生きているので、妄想でもなんでも書き留めておこうではないですか。
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2019年8月の記事一覧

路上の宇宙飛行士

路上の宇宙飛行士

Street astronaut.

「宇宙っていいよな。
でかくてさぁ。なんか考えすぎたら怖くなるけどその感じもまたいい。
宇宙人って居るとおもう?絶対いるよな。なんかさ、多分みんながイメージするよりはいい奴だと思うんだよなぁ。侵略しにくるみたいなイメージあるじゃん?向こうは向こうで自分の星でちゃんとコミュニティとかあってうまいことやってるんだろうからそんな物騒なことしないよなさすがに。一緒

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空蝉

空蝉

「んー。最近の先生の書く話はなんというか、こう、一般の人には難しいというか、わかりにくいような気がしますね、、、」
編集部の柏木は目線を原稿に落としたまま申し訳なさそうに言った。
「は、、、はぁ。そうですか。僕としては今回はすごく言いたいことが込められたかなと思ったんですけど、、、」
遠藤も柏木よろしく原稿に目を落としたまま答えた。
冷めて色が薄くなった緑茶のそこに沈んだ茶葉のカスが視界に入る。

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北海道を歩いていてなんか思い出したみたいに思いついた話。

等間隔に並ぶ街路灯に無機質さ以外の何かを感じるのはおそらくその一つ一つの経年劣化と電球の光がまちまちだからだろう。
彼女の少し後ろを歩きながら街路灯によって艶のある髪を滑らかに滑るハイライトを見つめていた。
早足で一歩踏み出すたびに小さな体に震度が伝わるのが髪の先のハイライトの破片によってわかる。
「どうしてこうなったでしょう?」
と、不意に彼女がいうので
「倦怠期ってやつのせい?」
と答えてしま

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