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もりりょうた
2019年6月22日 23:49
アルミ製のサッシには大きな磨り硝子がはまっていてそこから流れ込んだ朝日の予感が寝室に充満している。光と呼ぶにはまだ幼いその予感は彼女の頬に柔らかな陰影を浮かび上がらせている。砂漠の夜明けがその斜面を滑らかに描き出すように、そして細やかな砂の粒子によってその丘が形づくられるように、その寝顔には広大さと繊細さが同居している。その世界の均衡をなるべく崩さないように抜け出し、リビングの椅子に座る。