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ユニバーサル遅延測定器:各タイトルの比較(スト5、GGST、VFes)

更新履歴

2022/08/16 DOA6の結果を末尾に追記しました

はじめに

トライアングル・サービスさんのユニバーサル遅延測定器を使った遅延測定の結果です。しばらくこのシリーズが続きそうです。
今回はいくつかの格ゲータイトルを横断的に比較してみます。対象はスト5、GGST、VFes、それと前回までに計測した鉄拳7、SC6です。

注意事項

あくまで自分の手元環境での結果なので、機材・PCスペック、ソフトウェアのバージョンなどが変われば、結果も変化しうるということには注意してください。また気をつけてはいますが、何らかのミスがあったりする可能性も否定できません。

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鉄拳7の結果。機材セッティングの詳細などもこちらを参照してください。

ソウルキャリバー6の結果。

結果

このようになりました。

※鉄拳7は2022/8/17のアップデート前のバージョンです

使用した機材

PC:CPU : Intel Core i7-7700K
 メモリ : 32GB
 グラボ:GeForce GTX1080Ti
 ストレージ : Samsung SSD 1TB 960PRO
モニタ:ASUS ROG PG258Q ※最大リフレッシュレート240Hz、G-SYNC対応
ハード:PS4 Pro
アケコン:RAP N
撮影:iPad PRO ※240fpsで録画できる機材

計測方法

10回平均の数値です。やや試行回数が少なめです。

所感

極めて低遅延のGGST

GUILTY GEAR -STRIVE-は、Steam版、PS4版ともにもっとも遅延の少ないタイトルでした。
Steam版・240Hzの2.25fともなれば、ほぼ遅延を気にせずにプレイできそうです。開発にUE4を使っていてもここまで低減できるんですね。PS4版も全体に低遅延となっています。
また2022/8/8のアップデートでPS5版の遅延を低減したそうで、現在はPS4相当になっているようです。

GGSTなどの結果については、kimagre gamingさんの検証結果も参考にしてください。独自の遅延測定ソフトで広範なタイトルの遅延を検証されています。
なお下記の結果はBrook Universal Fighting Boardで計測されたものだそうです(自分の結果はRAP Nなので、その分、遅延が大きくなっています)。

リフレッシュレートで差の出るスト5

スト5のSteam版ですが、240Hzの遅延が妙に小さくなっています。
というよりも、これは逆に「60Hzの遅延が妙に大きい」と言うべきかもしれません。他のタイトルでは60Hzと240Hzでここまでの差は出ていませんし、フレーム帯域も考慮するとスト5の60Hzだけ浮いている感じがします。

最初は「計測ミスかなあ……」と思ったのですが、前々回で紹介した記事では、60Hz:77.7ms、240Hz:61.8msとなっており、60Hzの数値を見ると今回の計測(77.08ms)とほぼ一致しています。
また、kimagre gamingさんの検証でも、60Hz・240Hzの差が1.5fもあり、今回の計測(1.7f差)ともかなり近くなっています。

鉄拳7を計測した時には、60Hzと240Hzでの差がここまで出なかったので「あれ?」と思ったのですが、どちらかというとスト5の方が例外的な挙動のようですね。
なぜスト5だけこのような結果になるのか、理論的な説明はできないのですが、とりあえずスト5(Steam版)をプレイするのであれば、高リフレッシュレートのモニタを使うとおトクなのかもしれません。
今後、より細かいリフレッシュレートごとの比較(60Hz、120Hz、144Hz、240Hz)をする予定でしたが、その際にスト5でも計測しようと思います。

3D格闘ゲームの中ではもっとも低遅延のVFes

VFesはPS4版しか出ていませんが、鉄拳7・ソウルキャリバー6など3D格闘ゲームの中ではもっとも低遅延のようです。 ※DOA6は未計測
ただし、業務用のVFesについては不明です。前バージョンに当たるVF5 Final Showdownと比べて(体感で)遅延が大きいというウワサも聞いているので、このあたりどうなっているのかは調べないと分からないですし、現状VF5FSで計測ができる環境が少なそうで、きちんとした調査はなかなか困難だと思います。VF5FSの稼働が2010年ですから、仕方ない面もありますが……。なお2012年には家庭用が出ています(PS3/Xbox360)。

Dualshock4(無線・有線)の遅延比較

「Dualshock4の無線の方が有線よりも低遅延」というのは以前から知られていたことですが(逆だと思いがち)、5タイトルで比較した時の差の平均は0.5fでした。有線接続ではだいたいこれくらい遅延するものと思っておいた方が良さそうです。
アケコンとの比較では、アケコンが遅延最小である場合が多いようですが、ソウルキャリバー6のように、アケコンが一番遅延が大きいというケースもあるようです。原因はよく分かりません。

Steam版の総評

Steam版4タイトルの比較ですが、先に説明したスト5のせいでちょっとややこしいことになっています。

4タイトルSteam版のみでの比較

GGSTとSC6は60Hzでも240Hzでも問題なく快適にプレイできると思います。鉄拳7も4f前後は遅延がありますが、240Hzまで頑張る必要があるかは微妙です。スト5は可能なら240Hzまで頑張りたいところです(ただし、120Hzや144Hzで十分な可能性もかなりあります)。
60Hzでのワーストはスト5ですが、240Hzになると鉄拳7の方が遅延が大きくなっています。
個人的な感覚ですが、遅延が3fを切っていればほとんど遅延の心配をせずに遊べるかなと思います。鉄拳7だけは4fあるようですので、Brook UFBに換装するなどして、低遅延を求めていく価値が高いのかなという気がしました。

追記:DOA6の調査結果

DEAD OR ALIVE6を調べ忘れていたので追記します。

DOA6ですが、気になったのはSteam版のリフレッシュレートが60Hzに固定されているという点です。OS側で240Hzに設定していても、ゲームのウィンドウを選んだ瞬間に60Hzに切り替わってしまいます。

推測ですが、これはべつに意地悪ではなく、遅延フレームを統一したいという意図があるのではないかなと思います。PS4版もアケコン、DS4(無線・有線)で基本的に遅延が変わらず、Steam版ともほぼおなじくらいの遅延に収まっています。これにより、Steam版とPS4版を反復横跳びするような状況になってもプレイフィールが均一に保たれると思います。
ただし、8f近い遅延はプレイヤーとしてはかなり厳しいです。遅延を統一しようとした時に遅い方に合わせるというのはひとつの考え方だと思いますが、かすみのPが発生10Fのところ、いきなり8f遅延しているのは数値的に見ても「う~~~ん」という感じです。鉄拳7のPS4版が発売になった時の遅延が8fくらいで大炎上していましたしね……。

今後の予定

先にすこし触れましたが、リフレッシュレートごとの比較(60Hz、120Hz、144Hz、240Hz)を優先したいです。これはBrook UFBで行う予定です。今のところトライアングル・サービスさんの計測専用ソフト、鉄拳7、スト5で計測することを考えています。
また「そもそも遅延とはなんぞや?」みたいな内容の記事も必要かなという気がしているので、そちらも取りかかるかもしれません。

今回の記事は以上となります。


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