東京事変が好きすぎる〈亀田誠治編〉

こんにちは。

突き刺す12月も終わり、とうとう2022年です。先日の紅白の「緑酒」、圧巻でしたね。事変メンバーに降り注いだ紙吹雪になりt…なんでもないです。

さて、ということで(?)今回は東京事変が好きすぎる〈亀田誠治編〉です。〈師匠編〉でもいいでしょう。

bass
亀田誠治 カメダセイジ
1964年6月3日生まれ
辰年
NY出身

89年、アレンジャー、プロデューサー、ベースプレイヤーとして活動を始める。
これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、大原櫻子、GLIM SPANKY、山本彩、石川さゆり、MISIAなどのプロデュース、アレンジを手がけ、2007年・2015年に日本レコード大賞編曲賞を受賞。
2009年、2013年に自身初の主催イベント「亀の恩返し」を開催。
2019年、フリーイベント「日比谷音楽祭」を手掛け10万人を動員。2020年には第2回目の開催を予定。
近年では様々なコンテンツを通じて次世代へ音楽の素晴らしさを伝えている。
https://tokyojihen.com/bio/

いやあ改めてすごい人ですね、師匠。ちなみにこの師匠という名前は椎名さんが使っているので、てっきり音楽の師匠みたいな意味かと思ったのですが、どうやら違うようですね笑。なんでも、和服を着た亀田さんがが落語の師匠に見えたから、だそうで。

確かに。
(上右:右から2番目、上左:中央が師匠)
(これは別の写真ですが)
それでは本題に参ります!今回も師匠作曲の曲の中から特に語りたい5曲を厳選してお送りします。今回の選曲が過去で一番悩みました。師匠作曲は数こそ少ないですが名曲揃いですし。昨年末に滑り込んできた曲もありましたし。

①透明人間

 2ndアルバム『大人』に収録された曲。シングルカットもされていない初期のアルバム曲なのですが、ファンからの人気がとても高い一曲です。数年前に歯磨き粉のCMにも使われていましたね。実は、メンバーの違う第一期の頃に既に新曲としてライブで実演されていました。第一期と第二期の違いを楽しめるのもこの曲の魅力です。
 シンプルなベースのリフから始まるのですが、遅れて入ってくる浮雲のギターといい、サビの流れて弾けるような一葉氏のピアノといい、第二期メンバーの個性が炸裂しています。そして何と言っても、ポップながらも美しい歌メロに乗せられた印象的な歌詞。こんなに旋律も歌詞も楽しい曲なのに、聴き終わったあとほろっと泣きそうになります。
んー、とっても大好きな曲なので逆に解説が難しいですね。初期の曲ではありますが、東京事変の真髄の一端が表れているように感じます。聴くたびに、この5人が集まらなかったら作られなかった曲、書かれなかった歌詞、できなかったアレンジだなあと実感します。えー、要するに、聴いてください


②私生活

 3rdアルバム『娯楽』の4曲目。シンプルなアレンジのミディアムバラードです。これもシングルカットされておらず、また先月発売されたベストアルバムにも収録されていない(!)のにもかかわらず、アルバム発売から14年経った2021年のクリスマスイブ、Mステスーパーライブで披露されました。普段の派手な衣装とは打って変わって、シンプルな紺のコートにメガネがまた皆さんお美しく、麗しい。素敵でした。(実は椎名林檎は体調不良で直前までメディア出演のキャンセルが続いたためファンは心配していたのですが、当日はそんなことを全く伺わせないパフォーマンスで全OTKが涙したのでした)

つい前置きが長くなりましたね…曲の話に移ります。
 イントロがなくいきなりボーカルから始まります。冒頭から歌詞が…と引用しようと思ったのですが、なんだか全部キラーフレーズすぎて途方に暮れてしまったのでやめます。アルバム『娯楽』は椎名林檎が一切作曲をしなかったアルバムで、浮雲や伊澤色の強い曲の中で箸休め的な役割を担う曲です(ちなみに『金魚の箱』と『OSCA』に挟まれている)。椎名林檎ソロが全ての女の子のBGMなら、この曲は全ての社会人、全ての「大切なあなた」のBGMになり得る曲だと思います。アレンジがシンプルな分、思いの吐露のようなボーカルが際立ちます。はい、要するに聴いてください。

③空が鳴っている

 5枚目のアルバム『大発見』より。この曲は『女の子は誰でも』とのカップリングで両A面シングルとして先行発売されました。伊澤一葉がキーボードをギターに持ち替え、しかもリードギターを弾いています(たぶん)。それもあり、普段の東京事変のサウンドよりもロックみが強く、かつ乾燥した印象を受けます。どこか無機質な色のMVも印象的ですね。コメント欄かインタビューで「寒々とした東欧の雰囲気の曲」というのを読み、驚くほどしっくり来たのを覚えています。無機質で乾燥していながらも、内に熱いものを秘めている感じがします。無意識のうちにこの曲に惹かれてしまうのはたぶん私が小さい頃からオルタナに親しんできたからですかね。
 歌メロ、特にサビはとてもシンプルです。八分音符で同じ音の連続が1小節続くだけなのに、なぜこんなにも印象的なのかと考えさせられてしまいます。やはり流石はボーカル椎名林檎、一見単純なメロディーだからこそ個性が滲み出ています。
 サビの最後に、一番と二番それぞれ「終わらせないで」「あきらめさせて」とありますが、この曲が2012年の解散公演終盤に演奏されたことを考えると、いろいろリンクしてやはり泣きそうになります(泣きすぎ)。


④毒味

 6枚目のアルバム『音楽』より。音楽の日でのパフォーマンスも記憶に新しいですね。椎名林檎の後ろからひょっこり顔を出す浮雲が可愛かったあれです。みんなサングラスかけてたあれです。「O.A.できないささめごと」のあれです(もういい)。

 冒頭のベースがカッコよくていきなり悶えます。「音楽」は最近の流行からか、イントロがない曲も多いですね。これもそのうちの一曲です。「OSCAは浮雲作曲なのに、イントロのベースが神フレーズみたい」と師匠が仰っているのをインタビューで読んだのですが、この曲のベースもOSCAにも引けを取らない「神フレーズ」です。このフレーズにギターが加わり、シンセが変奏して、と曲を通して繰り返される動機でもあります。真っ直ぐで美しい旋律の曲という師匠の曲のイメージがひっくり返りました。アレンジのアプローチもあるのでしょうが、かなりファンキーな曲に仕上がっています。何度も言いますがカッコいい。また別の曲のフレーズも複数取り入れられていて、OTK大興奮の一曲です。


⑤原罪と福音

 昨年末に発売されたばかりのベストアルバム『総合』に収録されている新曲です。こちらはFNS歌謡祭で初披露されました。サンタクロースチックな赤い服装なのに、サンタっぽいのは師匠だけ、他は神父さんや天使や超絶ロングマントやカート・コバーンでした(?)

 この衣装の影響か、勝手に東京事変流のクリスマスソングだと思っています。一番はまるまるピアノとルートだけを弾くベースと歌のみ。最低限の音数で、最高のアレンジに仕上がっています。間奏部分の聖書の一節のような古英語のフレーズも、曲の神聖で静謐なイメージをより濃くしています。「Glory be, unto thee」と思わず祈るように口ずさんでしまうようになればもう沼から出ることは許されません。
 何もかもうまくいかなかった日に「何れ運の尽きよ」と椎名林檎に言われたらもう泣かざるを得ませんよね。ね。


 今回は以上となります。
 「あれ、あの曲がない」とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。毎回のことですがかなり個人的な選曲をさせていただきました。また、あとで〈共作編〉の特集も組む予定ですので、お楽しみに。
 なんだか泣いてばっかりの回でしたね。やっぱり旋律がとにかく美しい師匠の曲は感涙必須ということで、、、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

※記事内でメンバー名は敬称略とさせていただいたことをご了承ください。

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