見出し画像

Peak2Peakのデジタル写真講座第13回「マクロレンズで高山植物」

NIKONのZマウント用のマクロレンズがついに発売された。今回はそのうちの一本、NIKKOR Z MC 50mm f/2.8を使って、マクロレンズの世界を楽しんでみよう。

<最短撮影距離とワーキングディスタンス>
レンズにはそれぞれ被写体に最も近づける距離があり、それ以上近づくとピントが合わなくなる。これを最短撮影距離と言っている。例えば、ニコンのZマウント用の標準レンズであるNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの最短撮影距離は「撮像面から0.4m」である。(撮像面とはセンサーの位置であるからおおよそボディの真ん中あたりだ。)
一方同じZマウント用のマクロレンズNIKKOR Z MC 50mm f/2.8の最短撮影距離は「撮像面から0.16m」だ。これはどれくらい被写体に近づけるかというと、下の写真のようにレンズの先端から約5cmまで近づいて撮ることができる。このレンズの先端からの距離を「ワーキングディスタンス」と呼んでいる。

画像1

<撮影倍率と露出倍数>
NIKKOR Z MC 50mm f/2.8の最大撮影倍率 1倍である。上の写真は最短撮影距離にピントを合わせた状態で、1:1という表記が見えるが、これが撮影倍率が等倍(センサー上に被写体が実寸で像を結ぶ)の状態である。つまり実際の長さと同じ画像がセンサーに記録されるわけだ。フルサイズのセンサーであれば、センサーサイズはおおよそ24mmx36mmであるから、36mmの長さの被写体が実寸で記録できることになる。
マクロ撮影では、レンズの光学的な仕組みから、センサーに届く光の量が通常の撮影よりも少なくなってしまう(ここでは詳しくその仕組みは記さない)。多くのカメラメーカーでは、被写体に近づいて行った時に起こるこの光量の変化を表面上無視して撮影者には表示しないようにしている。カメラの露出計はそのことを承知して自動的に露光値を計算しているから、撮影者には気付かれない。これを「露出倍数」と呼んでいるが、等倍で撮影す場合、この倍数は4になり、もし絞り値を2.8に設定していて等倍まで近接して撮影しようとすると、絞り値は2.8から2絞り絞った値である5.6となる。これを実効絞り値と呼んでいる。が、ここでレンズの絞り羽根は無限遠の時の開放F値2.8の状態と同じだ。つまり近接撮影の時、実効絞り値は変わっても物理的に絞り羽根が閉じたわけではない。

絞り優先オートならカメラは常に適正な明るさになるように計算してくれるから、実際には気にしなくていいが、ニコンのカメラはマクロ撮影時に実効絞り値を表示するので、5.6よりも小さなf値を設定していた場合、自分が設定した絞り値が勝手に変わっていると思い、カメラが壊れたと勘違いするケースがある。

ここから先は

1,753字 / 9画像

¥ 150

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?