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呼吸が悪い原因は何か?

「呼吸が悪い」と判定したら?

呼吸が悪いと、判定したら、次はどうしたらよいのでしょうか。多くの方は、その「原因」を考えるため、「なぜ」呼吸が悪いのか?と考えますね。何を当たり前のことを、と言われそうですが、ここに落とし穴があります。

「なぜ」呼吸が悪いのか?と考えた場合、●●ウイルス感染が原因である、とか、肺炎が原因である、など、何らかの検査を加えて、ある結果に対して何が影響を与えるのかを洗い出し、特定していく作業になります。原因は多岐にわたり、その影響の出方によって呼吸への影響も様々です。

「呼吸が悪い」(=呼吸窮迫、呼吸不全)と判定したら、そのまま心停止に到る可能性があるということですから、心停止に到らないように、迅速に直接的な介入を行い、楽に呼吸ができる状態を作り出す必要があります。

「呼吸が悪い」という目に見える事象を分解・層別化して、問題箇所を絞り込むことで、問題箇所についてのみ原因を考えればよくなり、原因の洗い出し、特定がやりやすくなります。

「どこ?」にこだわる

ここまでをまとめると、

 「なぜ」呼吸が悪いのか?

ではなく、

  呼吸の「どこ」が悪いのか?

と問いかけることが重要である、いうことになります。

ここで「事象を分解・層別化して、問題箇所を絞り込む」ということを考えてみます。

「分」は「分けていくこと」を表してていますね。「析」は木偏に「斧」、つまり木を斧で分解していく様子を表したものです。つまり、本質的には「析」も「わけていくこと」を表す文字です。従って、「分析」とは本質的に物事を「分けること」つまり「分解」することということになります。「分ける」と「解る」と書きます。また、「わかる」は「分かる」とも書きますね。こう考えてみると、分かるためには分ける必要があるともいえるし、「分けない」と解らないともいえるかもしれません。また、逆に、うまく「分けられない」のであれば、「わかった」とはいえないと捉えられるかもしれません。
(岡重文執筆 グロービス著 『ロジカル・シンキング』より引用して要約)

呼吸の問題点を素早く探し当て問題箇所を絞りこむためには、「呼吸」を筋よく分解・層別化することが不可欠です。

ここで注意しなくてはいけないのが、「もれなく、重複なく」分解すると言うことです。漏れがあれば見落としにつながりますし、重複があれば非効率です。この「もれなく、重複なく」をいうことを、ロジカルシンキングのなかでは、 MECE (Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive) と呼びます。

【参考文献】
グロービス著 岡重文執筆
『ポケットMBA ロジカル・シンキング 互いに理解し、成果につなげる』
PHPビジネス新書, 2017年



小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン