見出し画像

保健師等救急蘇生法指導者講習会

昨日、一昨日と事故予防のサイトをご紹介していましたが、実は伏線がありまして。

昨日は、指導を行う保健師さんの養成のための研修会に講師として参加してきました。講義の内容を補う形で、リンクを掲載したのでした。

講習会の内容を少し振り返ってみます。

事故予防は何故重要か?

「蘇生法」ということで、蘇生法の講習会なのに、なぜ「事故予防」なのか?ということです。このあたりは以前解説しています。

子どもの死因に「不慮の事故」というのがかなり上位に名を連ねることを確認してください。

で、救命の連鎖的の一つ目の輪が「心停止の予防」となっていて、じゃあ子どもの死亡率は何?となると、「不慮の事故」であることから、不慮の事故の予防、を考える必要がある、ということになります。

もう一つ。

以前にもお話ししましたが、事故で怪我をしやすい部位と、事故で部位におきにくい部分があります。事故でおきにくい身体の側位に外傷を負っている場合、何らかの「意図を持った」外傷 = 虐待ということなり、虐待の早期発見につながる可能性があります。虐待の面からも事故予防に習熟しておくことは重要だと考えています。

で、一体どんな講義をしたの?

今回の講習では、保健師の皆さんが、実際にワークショップなどの企画を行う場合に、どんなことに気をつけたらいいか、どうやって考えるか?を考え、実際に「ワークショップの企画ができる」ことを目的としています。

この為、ワークショップ開催のための Tips や問題解決をする場合の考え方などもご紹介しています。

たとえば、「事故予防を啓発したい!」と考えたときに、

「そもそも事故予防ってしなくちゃいけないんだっけ?」

とか

「そもそも事故って予防できるの?」

なんてことも考えていただき、お題を鵜呑みにせず、自分で考えるところかはお話をしています。その上で、どうしても「何をやるか」「どうやってやるか」について議論を始めてしまいがちなので、そうではなく、そもそも何が問題なのか?から同定して、定義した問題から解決方法、提供するもの、その効果判定の方法が一貫しているか?を皆さんで考えて頂くことにしました。講義はそのための知識を解説しながら、最後にワークショップ形式で、実際に知識を活用して実際に企画をしてみる、ことがゴールです。

実際に活用していただいた考えかとして、問題解決のステップを以下にお示しします。

スクリーンショット 2019-11-07 22.07.24

システム思考も活用して、どこに力をかければ問題解決に動くのか、レバレッジポイント(てこのように一つ動かしたら問題点が芋づる式に解決していくポイント)を探します。

最後の発表の形式は下記の通りとしました。

スクリーンショット 2019-11-07 22.20.58

受講生の取り組みから

実際に受講生の皆さんが作られたホワイトボードを見てみましょう。

スクリーンショット 2019-11-07 22.31.13

スクリーンショット 2019-11-07 22.31.36

スクリーンショット 2019-11-07 22.31.44

スクリーンショット 2019-11-07 22.31.53

慣れないながらも皆さんシステム思考を使いこなし、問題の本質を「構造的に捉える」ということにチャレンジしていただきました。

その上で、同定した「問題点」と対策・介入方法、介入した後の評価方法などが整合性がとれているか?などを議論しました。

一つの問題点を考えるにしても、因果関係の矢印は一つだけでなく、またループを描いてぐるぐる回ってしまい、鶏が先か?卵が先か?になり、自分たちが「対策」だとおもっていたことが、実は対策にならない、ということも実感していただきました。

効果判定をするときのポイントや、整合性がとれていることの重要性などが少しでも伝わっていればうれしいです。

私自身としてもこのようなファシリテートをさせて頂いたことが大変勉強になりました。受講生の皆さんに「きちんと流れに乗っていただく」ための質問の仕方、ツッコミの入れ方など、まだまだ勉強しなくてはいけないことがあるなあと、自省をする機会となりました。

システム思考、についてはまたどこかでご紹介しますね。

小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン