救急外来で覚えておくと便利な公式集
体重の推定方法をお話ししましたので、便利公式集を整理しておきます。
気管チューブサイズ
まずは気管チューブサイズを定めます。これを定めることで、他の公式に流用することができます。
カフなし
I.D.(mm) = 4 + 年齢(歳) / 4
カフあり
カフなしチューブの 0.5 - 1 mm サイズダウン
ただし、この式を使った場合、臨床的にサイズが適切である、と判断される割合は47 - 77%に過ぎないという報告があり、PALS(Pediatric advanced life support)ガイドラインでは年齢毎のサイズとして下記の表が推奨されている。手元のメモに、本表を持ってしまうのもひとつの方法です。
気管チューブの深さ
適切な挿入長を決定する式は確立していないのが現状です。このため、胸部X線写真などをもちいて、適切な挿入長を決定することが必要ですが、蘇生中になかなかそこまで至れないことも多く、一旦何らかの形で挿入長を決める必要があります。
① 気管チューブのサイズを用いる方法
気管チューブのサイズ(I.D.) ×3 (cm)
② 身長を用いる方法
5 + 身長(cm)/10
③ 年齢を用いる方法
12 + 年齢(歳)/2
ちなみに私自身は ① を参考にしています。
気管吸引の際に用いる吸引チューブのサイズ
シンプルに覚えます。気管チューブは"mm(ミリメートル)"、吸引チューブサイズは "Fr(フレンチ)" で表記されることにご注意下さい。
吸引チューブサイズ(Fr) = 気管チューブサイズ(mm) × 2
胸腔ドレーンサイズ
こちらも Fr 表記です。
胸腔ドレーンサイズ(Fr) = 気管チューブサイズ(mm) × 3
計算なんてしていられないという方は、、、
昨日ご紹介したBroselow tape のご利用をお勧めします。身長を基準に、気管チューブだけでなく、胃管、尿道カテーテルなどのサイズも規定してくれています。実際には身長幅毎に色が決められています。
【参考文献】
1. 柴崎雅志、志馬伸朗 人工呼吸 2010; 27(1): 50 - 56
(本文中 表2, 表3 は本文献からの引用)
小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン