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10/18 17:10〜

息子と家に帰ってきた。

16時過ぎにふたりで家を出て、マンションの広場で遊び、スーパーで買い物をしてきた。息子は、自分が遊べる場所だと認識しないと歩かない。だから、マンションの広場ではよく体を動かすけど、スーパーの帰り道は歩かなくなる。マンションのオートロックを、息子よりも少し年上の女の子とそのお父さんが開けてくれた。女の子が自分の荷物を持って歩いていたから、もしかしたら…と、息子を抱っこからおろし、スーパーの袋を持たせてみた。中にはクッキングシートと冷凍のミックスベジタブル、プラ容器しか入っていない。息子には少し大きいスーパーの袋だけど、一生懸命に持ちながら歩いた。かわいい。かわいい。ウルトラかわいい。急いでiPhoneを取り出し、写真を撮る。息子は結局、家までその袋を持って歩いた。

息子の靴を脱がせてから自分の靴を脱ぎ、仕事部屋で何かの身支度をしていた夫に、帰り道の話をする。「いいじゃん、役に立つねえ!」と夫が言うのと同時に、息子がそれまで運んできた袋を夫に渡した。「ありがとう」と受け取り、それを私が受け取る。

キッチンへ向かっているときに「俺バッセン行ってきていい?」と聞かれた。朝、今日は16時頃にバッセン行きたいなあと言っていた。さっき私と息子が出かけるときに「バッセン行かないの?」と聞いたら「行きたい〜けど忙しい〜」と嘆いていたので、今しがた仕事がひと段落したのだろう。「いいよ〜」と答えながら、時計を見る。17時10分を過ぎたあたり。
仕事部屋にいる夫と「何分くらいやるの〜?」「決めてなーい」「行くのに何分かかるの〜?」「10分くらいかなー?」というやりとりをする。18時過ぎには帰ってくる感じだろうか。

今日の夕飯は、唐揚げ、しめじとベーコンのバター醤油あえ、キャベツとツナのサラダ、豆腐の味噌汁。唐揚げと味噌汁以外は出来上がっていて、唐揚げも下準備は終わっている。あとは唐揚げをオーブンで焼いて、パッと味噌汁を作るだけ。
夕飯はいつも17時半から18時だけど、夫が帰ってきてから一緒に食べたいし、少し遅くなっちゃうかもしれないけれど、息子とバッティングセンターに行くのもありだなあ。でもその分夜はバタバタするよなあ……。でも今日は、息子もよく昼寝をして元気いっぱいだから、できる限り体を動かさせてあげたい。でもさっきおかずを作ったときの洗い物もまだ済んでいない。う〜〜〜〜ん…………!!
「バッセン、うちらも一緒に行こうかな。唐揚げだけ焼いていい?」リビングでストレッチをしていた夫に聞く。「あ、まじで?いいけど、つまんなくない?」声色的には、待つのが嫌とか一緒に行くのが面倒とかではなさそうで、ただ単純に心配してくれている感じだ。それなら行こうかな。「ベンチとかあるでしょ?」「それはあるけど」「あなたが素振りしてるの見ると笑うし、面白いかも」「そう?じゃあいいけど」

オーブンを予熱している間に唐揚げの準備を済ませる。ピピーッと予熱が終わったのを告げられたときに、ちょうど天板に肉を並べ終わった。オーブンに天板を入れ、20分に設定しスタートボタンを押す。
「終わったよー!」と声をかけると、ベランダで素振りをしていた夫が「オッケー!」とバッドを持ってリビングに入ってきた。息子は、さっきまで履いていた靴下を脱ぎ、丁寧に自分の椅子の上に置いていた。「またくっくだよ〜!」と声をかけ、靴下を履かせる。「さっき寒かったからパーカー着せちゃお!」とひとりごとを言いながら、息子のアウターを取りに行く。廊下でうろうろしている息子をつかまえて、おろしたてのアウターを着せる。叔母にあたる私の妹とお揃いのアウターは、モコモコしていて可愛い。私もお揃いで買えばよかった。
玄関で自分の靴を履き、息子にも靴を履かせる。夫が私の格好を見て「寒いんじゃない?」と言ったので「このストールは結構あったかいの」と答えた。1ヶ月ほど前に買ったラプアン カンクリのポケットショールが、ようやく使える。それくらいの気温になって嬉しい。

3人で家を出ると、息子はさっそく歩かないモードに入っていた。夫は、さっき私が話したことを受けて息子に財布を渡し、ひとりそそくさとエレベーターホールへ向かう。どうするんだろうと息子の隣で様子を見ていると、夫が抱っこしてくれないと気づいた息子は財布をその場に投げる。その怒り方があまりに可愛くて、私はつい声をあげて笑ってしまった。夫も振り向いて息子に笑い、迎えにくる。
「はい、抱っこ」と夫がしゃがんで両手を出すと、息子は両腕を横に伸ばして、黙って抱っこされにいく。

駐車場に着いても夫は息子を抱っこしたまま立っているから「あ、私が(車を)出すの?」と聞くと、うんと空返事をされる。運転は好きだから全然いいけど、なんでだろう、珍しい。
車を立体駐車場から出し、夫と息子が車に乗り込んでいる間にバッティングセンターの住所を調べ、ナビに入れていく。到着予定時刻が17時52分と表示され、いまが17時40分なことに気づく。ありゃ、帰ってくるのは18時半過ぎちゃうかな。
息子をベビーシートに座らせた夫が、後部座席から「場所わかる?」と声をかけてくる。「ナビいれた!」と返事をすると「ちょうど10分くらいだね」と言いながら、ナビの地図の縮尺を調整してくれる。

車を走らせはじめると、夫と息子は車内の照明を点けたり消したりしながら遊び始めた。かわいい。

ツイッターでフォローしている見ず知らずのママアカウントが「夫の仕事が忙しすぎて、夫が娘と一緒にいる時間が少なすぎる。今日は朝頭を撫でただけ。1日は24時間あるのに」といった内容のツイートをしていたことを思い出す。それを思い出してから、我が家の夕方のことを思い返す。
息子が仕事部屋に入っていってグズグズしていたときのこと。息子を迎えにいくと、夫は「あーもう邪魔!」と言った。その言葉はまるで息子に向けたようだけど、夫がイライラしていたのは私だ。仕事中なのに容易に息子を仕事部屋にいれ、気を遣わずにそれを放っておいた私。それと、息子が仕事を邪魔することでバッティングセンターに行く時間が遅れることにも苛立っていたのだと思う。それは自分勝手すぎると思うけれど。
グズグズと泣いている息子を抱っこしながら「ごめんね、つまんなかったよね。遊びに行こうね」と声をかけた。夫には、私にイライラしているなら私に言ってほしい…と思った。私と夫は、喧嘩をすることが劇的に下手だ。こればかりは、どうにかしなければ。

夫と息子が車の照明で遊びながらキャッキャッと戯れているのを、バッグミラーでチラチラ見る。私が運転してよかった。バッティングセンターに行くことにして良かったし、夕飯の時間を頑なに守ろうとしなくて良かった。
それに、少しイライラしてもそんなことはすぐ過去のことになってしまうくらい、夫と息子は一緒にいられてる。家族みんなで一緒に過ごせる時間があって良かった。
「こちょこちょ〜〜」と夫の声が聞こえてから、くすぐりに耐えきれず笑う息子の声が後に続く。「バッセンで笑うかなあ」と少しワクワクしてきて聞いてみたら「どうだろう、つまらなかったらすぐ帰ろうね〜」と私に返事をしながら息子にも話しかけていた。夫のそんな甘い声は、出産するまでは聞いたことがなかった。

バッティングセンター専用の駐車場が埋まっていたから、近くのコインパーキングに停めた。少し歩きそうだけど、散歩には気持ちいい気温だからむしろラッキー。夫に抱っこされながら、息子は初めての道に少しキョトンとしている。
少し歩いてバッティングセンターが見えてきたところで、「あ、入口ないや」と夫が言う。コインパーキングがバッティングセンターの裏あたりだったので、裏の方からバッティングセンターに入ろうとしたのだ。でもどうやら入口は表の1つだったらしい。これじゃ遠回りになっちゃうな。でも、歩く距離が増えて嬉しい。
11キロの息子を抱っこしてる夫に嬉しいとは言えなくて「あら、まあまあ歩くね」なんて苦笑いをする。

歩いている間にブーブーとバッグの中のiPhoneのバイブが鳴る。母からの電話で、焼肉屋にいくけどくる?とのこと。夫に聞くとどっちでもいいよと言うので、行くことにする。
夕飯はできあがってるけど、明日のお弁当に使えばいいや。母に外食連れてって〜とせがむことは多くても、誘われることはめずらしい。

バッティングセンターの入口は、3,4段ほど階段をあがって自動ドアになっていた。その中に入ると、左側には自動販売機の他には何もない。右側に1段上がると、右手側に受付やベンチがあり、左手側にいくつかバッターボックスが並ぶ。まあまあ人がいることに驚いた、どうやら小学生がよく来るところらしい。

1,2回ほど来たことのある夫は受付でコインを受け取ろうとするが、番をしていたおばちゃんが「ちょっと待っててね〜」と言い、どこかへ行ってしまった。持ち帰っちゃいけないはずのコインを持っていた夫は、おばちゃんを待つか始めてしまうか悩み、しばらく待ったあとに先に始めることに決めていた。上着を脱ぎ「これ持ってて」と私に渡す。

え、1歳児を段差のある場所で、小学生が行き交うこの場所で、妊婦の私が見るのに、荷物を持たせちゃう?まじで??

と思いつつい、受け取る。その辺に置いておけばいいのに。

夫の入ったバッターボックスが見えるベンチは埋まっていて、どうしようかなあと立ち尽くす…間もなく、息子はあちこちをうろうろする。自販機の釣り銭のところで遊んだり、入口付近の1段の段差で上り下りを繰り返したり。
家のベランダで素振りをしている夫を見ると笑うけど、バッティングセンターだと緑の網で夫をパパだと認識できないようだった。予想以上に興味を示さない。夫がバントの練習をしている間に息子を見るのは、想像していたよりも大変だ。小学生がバッドを持って行き交うから危ないし、とにかく息子をつかまえておくので必死だ。もうすでに帰りたい……。

1回目を終えた夫が出てくるとき、息子は嬉しそうに「パ!パ!」とドアを叩きはじめた。
思ってたより大変だった…って言おうとしていたけれど、あまりの「パ!パ!(ドンドン)」の可愛さに、大変という気持ちが吹き飛ぶ。帰りたいオーラはまだ出さないでおこう。

そういえば、いつのまにかパパやママが言えるようになっていたな。初めて呼んでくれた…!という日はなくて、アンパンマンと言っているのかママと言っているのか分からないことが多かった。なんでもマンマだった。サボさんもワンワンもアンパンマンもアンパンマンに出てくるキャラクターも私もばーばも。
いまは私をたたいて「マ!マ!」と呼ぶ。その呼び方はまだたどたどしいけれど、一文字ずつ丁寧に確認しているように感じる。息子の成長と呼ばれる嬉しさで、マ!マ!とたたかれる度に顔がとろけそうになる。

バッティングセンターにはしばらく来なくなりそうだから、夫の気がすむまで待とう。息子のうろうろにも危なくないように付き合おう。

小学生の男の子たちの大きさに少し戸惑いながら、息子の未来を思い浮かべる。小学生のときにどうなっているのかなんてまるで見当がつかない。半年後くらいから二語文を話し始めることすら信じられないんだから、何も想像できなくて当然だ。
夫と息子はどんな親子になるのだろう。私が知らない夫の一面も、これからたくさん見えてくるんだろうな。息子は、私と夫から大きな影響を受けることになるんだろう。
各々が好きなことをできる家族でありたい。息子が思いっきり好きなことをするためにも。だからこそ、夫や私がすすんで好きなことをしていかなければと思う。バッティングセンターは、やっぱり来てよかった。

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