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慢性蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬、毎日内服?症状があるときのみ内服?|2023年8月22日

■ ブログで公開した内容の深掘りです。

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慢性蕁麻疹に対し、抗ヒスタミン薬を症状があるときのみに内服するか、それとも毎日内服するか。

■ 蕁麻疹とは、蚊に刺されたような膨疹や赤くなる(紅斑)ことが一時的に、そして場所を選ばずに発症する疾患です。

■ 6週間未満の蕁麻疹を急性、6週間以上持続した蕁麻疹を慢性と分類され、小児であっても少なからずあり、慢性蕁麻疹の有病率はアジア地域で1.4%というメタアナリシスがあります。

Fricke J, et al. Prevalence of chronic urticaria in children and adults across the globe: Systematic review with meta‐analysis. Allergy 2020; 75:423-32.

■ 個人的に、慢性蕁麻疹の方には症状があるときのみ抗ヒスタミン薬を内服するのではなく、『毎日』内服をすすめています。

■ しかし、このテーマに関しては、十分なデータはありませんでした。
■ そして最近、Allergy誌にこのテーマの検討が報告されました。


この論文でわかったことをざっくりまとめると?

18歳以上の慢性蕁麻疹患者63人をルパタジン毎日内服群、症状があるときのみ(On demand; OD)群にランダム化し、UAS7が0になる率を比較したところ、

✅ 4週目に、連日治療群の疾患活動性とQoLは、OD治療群より有意に改善された。

UAS7とは、ガイドライン上で推奨されている蕁麻疹のスコアリングです。
UAS7は瘙痒スコアと膨疹の数からなる42点満点のスコアです。
そう痒スコア(0:なし, 1:軽度,2:中程度,3:重度)と膨疹スコア(0:なし, 1:軽度<20個/24時間,2:中程度20~50個/24時間, 3:重度≧50個/24時間)の合計で、1日のスコアを7日分合計したものがUAS7です。



以下は、論文の解説と管理人の感想です。

背景

■ 非鎮静性H1-抗ヒスタミン薬(nsAH)は、慢性自然じんま疹(CSU)の治療に最も一般的に使用されている薬である。
■ 多くの患者は、維持療法としてではなく、オンデマンド(OD)療法としてこれを使用している。
■ 本研究では、nsAHであるルパタジンのOD治療と連日の維持治療を比較し、ルパタジンの更新投与の有効性と長期的な疾患修飾効果の可能性を検討した。

方法

■ この多施設共同無作為化試験は、2週間のスクリーニング、8週間の二重盲検治療、6週間の無治療フォローアップ(OD可)から成った。
■ 成人患者は10mgのルパタジンOD群または10mgのルパタジン連日投与群に無作為に割り付けられた。
■ 4週目に完全な奏効が得られなかった患者は、ルパタジンの1日10mgから20mgに増量するか、偽薬を投与(ルパタジンOD10mgの患者の場合)された。

論文から引用。研究デザイン。


■ 主な目的は、フォローアップ終了時のCSUの疾患活動性を連日投与とOD投与で比較することだった。
■ さらに、ルパタジンの増量投与の有効性も評価した。
■ 主要アウトカムは、疾患活動性、CSUに関連するQOL、疾患のコントロールだった。


結果

■ 4週目に、連日治療群の疾患活動性とQoLは、OD治療群より有意に改善された。

論文から引用
OD群と連日投与群における疾患活動性とルパタジンの週間内服量。



■ ルパタジンの増量投与は平均疾患活動性を改善しなかったが、OD投与中の完全奏効者の数は5%から22%に増加した。

■ 追跡調査終了時には、OD治療群と連日治療群の疾患活動性の間に有意な差は認められなかった。


結論

■ ルパタジンの連日投与は、OD投与と比較して治療中のCSUの疾患活動性とQoLを有意に改善した。
■ しかし、ルパタジンの投与を中止した後の改善は確認されなかった。 これにより、nsAHの連日維持投与スケジュールの有益性が示唆された。


管理人の感想:確かに『毎日内服』のほうが良さそうだが…

■ 抗ヒスタミン薬ルパタジン(ルパフィン)は、小児では12歳以上で使用できますが、やや眠気が多く出現することがしられています。
■ 個人的にはインペアード・パフォーマンス(意識されないパフォーマンスの低下)に配慮してデスロラタジン(デザレックス)を使用することが多くあまり使用しませんが、他剤で不十分な慢性蕁麻疹の患者さんに使うことがあります。

■ 今回の研究では、内服初期の有効性が高いことから『毎日内服』がより有用とされていました。
■ しかし、長期間内服すると、その差が少なくなってくることに注意は必要でしょう。
■ 慢性蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬の効果は、長期内服で効果が高まってくることが前提条件としてあるのですが、そのような効果は余り見られないように見えます。


■ なお本研究では、ルパタジンを増量しても慢性蕁麻疹が有意に改善しなかったとされていますが、増量により、完全に改善した患者が 22% 増加しており、対象が増えれば有意差が観られただろうと推測されました。
■ ルパフィンは、新規抗ヒスタミン薬のなかでは『効果が高いけれども眠気に注意』という立ち位置であり、他剤との比較も知りたいところです。

■ そのうちいくつかを紹介すると…
■ ザイザルとの比較試験は行われていて、ザイザルよりも有効とされています。


■ なお、ザイザルとデザレックスでは、ザイザルのほうが有効性が高いという報告があります。

■ このような比較試験は研究により逆転したりすることもあるので、なんとも言えませんが、個人的には、ルパフィン>ザイザル>デザレックスのような順序を意識しています。
■ 一方で、インペアード・パフォーマンスも考えなければならないことも確かです。



元文献

慢性特発性じんま疹における、ルパタジンの症状があるときのみ(オンデマンド)投与と連日投与の有効性と安全性:無作為化試験。

Weller K, Gimenez-Arnau AM, Baron J, Brehler R, Ferrer M, Groffik A, et al. Efficacy and safety of on-demand versus daily rupatadine in chronic spontaneous urticaria: A randomized trial. Allergy; n/a.

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