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アトピー性皮膚炎のバイオマーカーはどれがいいの?

この記事は書きかけです。
完成後には有料にする(缶コーヒー1本くらい)予定です。


アトピー性皮膚炎におけるバイオマーカーの重要性はますます高まっています

アトピー性皮膚炎の診察において重要なのは問診や視診、触診が重要であることは間違いないでしょう。

痒みの程度を問診し、湿疹の部位や掻爬痕の確認、湿疹が慢性化していないか、浸潤や苔癬化の程度を触診で確認していくという診療は今でも極めて大事です。

だからこそ、アトピー性皮膚炎の重症度は、SCORADやEASI、POEMなどの主観的な症状であるかゆみや、視診や触診で得られる情報で評価されるのです。

一方で、アトピー性皮膚炎の診療において「subclinicalな炎症」と「皮膚バリア機能」をコントロールする必要性がますます高まっています

「subclinicalな炎症」とは、目に見えない皮下の炎症のことであり、血液や皮膚からのバイオマーカーで推測されます。
また、「皮膚バリア機能」は皮膚機能を反映した、経皮水分蒸散量などの検査で推測されます。

これらは、これまで行われきた問診や視診、触診では把握が難しいものです。ですので、それらを反映したバイオマーカーに関してまとめてみます。

この記事は「専門医向け」です。でも、ご興味がある方はだれでもOKだと思います。


更新履歴
2019/2/2 初版 第1章 1-1のみ公開


=もくじ=

第1章 血液検体
 1-1 血清総IgE値
 1-2 血中好酸球数
 1-3 血清LDH
 1-4 血清TARC
 1-5 SCCA2
 1-6 CTACK
 1-7 ペリオスチン

第2章 皮膚バリア機能
 1-1 経皮水分蒸散量(TEWL)

第3章 テープストリッピング

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第1章 血液検体

1-1 血清総IgE値

アトピー性皮膚炎患者において、血清IgE値は、アトピー性皮膚炎がない対照と比較して有意に高いことはよく知られています。

そして、重症度も血清IgE値と相関していたという報告が多数あります。

Wüthrich B. Serum IgE in atopic dermatitis: relationship to severity of cutaneous involvement and course of disease as well as coexistence of atopic respiratory diseases. Clinical & Experimental Allergy 1978; 8:241-8.

Johnson EE,et al. Serum IgE concentration in atopic dermatitis. Relationship to severity of disease and presence of atopic respiratory disease. J Allergy Clin Immunol 1974; 54:94-9.


その傾向は小児に関しても同様です。

たとえば、小児345人(平均2.9歳)について、アトピー性皮膚炎の重症度と血清IgE値に有意な相関があることが報告されています(相関係数0.31; p <0.001)。

Laske N, Niggemann B. Does the severity of atopic dermatitis correlate with serum IgE levels? Pediatr Allergy Immunol 2004; 15:86-8.


しかし、相関係数からもわかるようにアトピー性皮膚炎の重症度と総IgE値の関連はばらつきが大きく相関の程度は低いといえます。

そして、治療を開始した後も低下はゆるやかであり、アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも明確な基準値はないと述べられており、発症早期の乳児では正常範囲である場合も多いため、短期的な指標としては不十分だと考えられます。

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018.日皮会誌:128(12),2431-2502,2018
アトピ—性皮膚炎診療ガイドライン 2018. アレルギー: 67 (10), 1297-1367, 2018

アトピー性皮膚炎の診療におけるIgE検査は、あくまで参考の範囲内であり、その値の動きも、短期的な診療には使えないといえるでしょう。

なお、現在多くの検査機関で使用されている総IgE値の基準値は、1歳未満20 U/ml以下、1~3歳30 U/ml以下、4~6歳110 U/ml以下、7歳以上で170 U/ml以下が用いられていますが、元になった報告はそれぞれ20人未満の症例から推定されていることには注意を要するでしょう。

島津伸一郎、榎本雅夫. 小児期の血清総IgE値の正常値について – キャップIgE FEIA (ファルマシア)による検討. アレルギーの領域 2 : 1995: 920-925


noteでは、ブログでは書いていない「まとめ記事」が中心でしたが、最近は出典に基づかない気晴らしの文も書き散らかしています(^^; この記事よかった! ちょっとサポートしてやろう! という反応があると小躍りします😊