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片目の世界〜いつの間にやら4年生に〜

2017年11月24日、28歳の時に左目を摘出しました。

ぶどう膜悪性黒色腫(メラノーマ)いわゆる目の癌です。
1年目のことはこちらに書いています。

片目になって3年が経過。
あっという間に感じるのと、もっと時間が経過したようにも感じます。

随分間があきましたが、片目になって2年目以降の心境の変化をつらつら書き残しておきたいと思います。

2年目以降、1年目と何が変わったかというと「片目に慣れてきた」ことでした。

1つは
「片目の距離感」への慣れ


もう1つは
「自分が片目である」ことへ慣れ


まず「片目の距離感」について。
最初はスポーツをするのもおっくうでしたが、様々なスポーツに挑戦してみました。

テニス、バトミントン、ゴルフ、キャッチボール、陸上競技(十種競技)、バッティングセンター、卓球、逆立ち、お手玉

走ることには、片目であることはあまり影響がないように感じました。
球技に関しては、最初は怖さと難しさに戸惑いました。。

一番怖かった(驚いた)のはキャッチボールです。
是非、両目で見れる人も片目でキャッチボールを体験してみてください。
(飛んでくる物に対する距離感が瞬時にわからず戸惑います)

できなくなったり下手になったことはたくさんありますが
何度も挑戦するとかなり慣れてくるようにも感じました。

ざっくりな感覚ですが両目での実力が100%とすると
片目になった直後は10%
1年目は30%
2年目は50%
3年目は70%
といった感じです。

時間(後1年?)をかければ85-90%くらいにはなりそうな予感です。

日常生活でも距離感は掴めないことも多く
お酒をこぼしたり
コンビニのタッチパネル(年齢確認ボタン等)を空振りしたり
段差を見誤ったり
と小さなミスはありますが、ミスを通じて新しい距離感ができてきていると感じます。(最近でもよくあります)

私だけかもしれませんが、前後の距離感より上下の距離感の方が難しく感じます。

「片目の距離感」への慣れは

できないことが徐々にできていくので自分の成長を感じることができて嬉しいことも多々ありました。


次に
自分が「片目であること」への慣れについてです。

今振り返ってみると1年目は自分が「片目であること」をなかなか受け入れられてなかったのだと今では感じています。
自分では「片目がないくらい問題ない」と思っていましたが
そんなに簡単な問題ではなく、自分が「片目になったこと」受け入れるのに時間がかかりました。

本当は片目2年生の時も書こうと思ったのですが、
なかなか書こうと思ってもかけませんでした。成長した。片目に慣れた。と言いたいけど言い切れない状態でした。
なんだかうまく言えないのですが・・

片目1年生で書いたnoteにも「今では慣れた」ようなことを書いていましたが、「この強がり!」と自分に言いたくなります。
良いかっこをしようとしていたのだと思います。
(もう大丈夫!と自分に言い聞かせてたのかも)

どういうことかというと
「片目であること」を何か特別視しているように思っていました。
「片目」は間違いなく強烈な個性だと思いますが
「片目の自分」を何か特別視していたように感じます。

それは2年目でもそうでした。
「私は片目です!」ということを知ってもらわないといけない。
知らせないといけない。そんな風にも一時期感じていました。
新しく住む場所も職場も変わったから、「私」という人を知ってもらいたかったからかもしれません。

そして3年目。。
ようやく落ち着いたと言える心情になったと思います。
どう変化したかというと「自分が片目である」ということをあまり意識しなくなりました。(気にすることが減ってきたというのが正しいかな)

また、人が「片目の自分」をどう思っているかについてもあまり気にしないようになりました。というより、自分が思っているほど他人は自分のことをそんなに気にしていないことに気づきました(随分と自意識過剰だったのだと思いました)。

日常生活では、写真写りが気になったり、義眼がひっくり返っていないか心配したり、目やにがついていないか心配するので、もしかすると今でも100%自分を受け入れられていないのかもしれません。

でも、
1年経ってnoteを書いた時よりも
格段に「片目の自分」を気にしなくなったと感じています。

片目になって3年。やっと元の自分に戻った?心の傷も癒されてきた?
と感じます。
過去の自分に伝えるなら
「落ち込んだ時は無理に元気ぶる必要もなく、見栄をはらず、焦らず、辛い時は辛いで良くて、ゆっくり時間が解決してくれる。マイペースに片目の世界に慣れればおっけい!見た目は多少変わっても、周りは自分(中身)を見てくれている。両目ででも片目でも私は変わらず私のままなのだ。わざわざ卑屈になる必要もないし、遠慮する必要もない。これまで通りでいいのだ。」
くらいかな。

「片目になってよかった」
とはまだ思えないですが

片目になって新しい考え方やものの見方をするようになったので
「片目になって成長できた」
と感じることはよくあります。

障害について考えることがなかった自分が、
障害について考え。
パラリンピックスポーツに興味をもち。
共生社会について考える。
障害があるなしに関わらず楽しめる体育の授業ができないか。
自分の興味関心、考えがこんなに変わるとは思ってもなかったです。

自分にとっての幸せ。についてもよく考えるようになりました。

片目になったから不幸せかと言われたら
全くそんなことはないです。


同じく片目になった人に向けてですが(私だけかもしれませんが)
現在の症状を書いておきたいと思います。

・片目をとった側のまぶた、おでこ、頭部に麻痺あり(少しずつましにはなってます)
・摘出した左目が眩しく感じる

眩しさは、外では出来るだけサングラスを、室内ではPCメガネをかけていると目が疲れにくいです(サングラスはかけていると安心して目にも心にもいいので、おすすめです)。

あとは。。
半年に1回のpet検査(転移していないかの検査)はドキドキしますがそれにも少しずつ慣れてきました。直近の3年目の検査もクリア。
東京がんセンターでは、転移の確率は20-50%と説明されました(サンプルが少なくばらつきが大きい。転移する場所は肝臓が90%以上)

このまま今後も転移しませんように。

片目になってしまう方がいないに越した事はないのですが今回の内容も同じ境遇の方が少しでも不安がなくなりますように。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

ps
片目になってからゲゲゲの鬼太郎やワンピースのゾロや伊達政宗など
片目のキャラや人に愛着が湧いたりしています。


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